育種学雑誌
Online ISSN : 2185-291X
Print ISSN : 0536-3683
ISSN-L : 0536-3683
22 巻, 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 中川原 捷洋, 大村 武, 岩田 伸夫
    1972 年22 巻6 号 p. 305-312
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    日本型の連鎖分析用標識系統と外国イネとの交雑によって認められる形質分離のゆがみ現象のうち、第11連鎖群の遺伝子に関与する形質分離のゆがみは、花粉の競争力を支配する遺伝子(配偶体遺伝子)と標識遺伝子とが連鎖するために生じる。ここでは、標識遺伝子、bc(鎌不要)、dl(たれば)およびch(黄緑葉)と配偶体遺伝子(ga2、ga3)との連鎖関係を明らかにした。組換価はF2の形質分離からは推定できないので、F3の調査から各F2個体の遺伝子型を推定することによって算出した。種々の交雑組合せを通じて、ga2はdlの近傍に座位し、ga3はdlよりもむしろbcにかなり近い距離に座位している。しかし、片親に用いた外国品種の違いによってその位置はかなり変異しており、しかも上記4遺伝子相互の組換価は日本イネ標識系統間交雑によって求められる通常の組換価よりもいくらか小さく見積られた。つぎに、算出した組換価を用いて、ga花粉のga+花粉に対する授精率を算出したところ、正常花粉(ga+)に対してga花粉は1/10以下しか授精に関与していない場合が多く、したがってgaはかなり強力な選択授精の要因であることが明らかとなった。このことは、栽培イネが分化した結果、ga遺伝子が生殖的隔離現象の重要な因子となっていることを示している。以上の結果は、雑種不稔性に加えて、配偶体遺伝子の存在によっても交雑によって形質の自由な組換が阻害されているために、外国イネがもっている望ましい形質を日本イネに導入する際に大きな障害となっていることを示すものである。
  • 曽 富生, 細川 定治
    1972 年22 巻6 号 p. 313-322
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    (1)大豆2品種、三号早生大豆とハロソイを親集団として、そのF1、F2および両戻し交雑集団を用い、開花期および成熟期の遺伝子分析を行なった。(2)開花期の早晩に関与する遺伝子は2対と推定され、早晩両親の遺伝子型をそれぞれAAbb、aaBBと仮定した、これらの遺伝子は、対立遺伝子間および非対立遺伝子間交互作用が存在し、その優性程度は他の遺伝子型によって優性から劣性まで変化した。交互作用の効果に関与する遺伝子要因はadditive × dominanceの相互作用であることが推定された。(3)成熟期の早晩に関与する遺伝子も2対と推定され、早晩両親の遺伝子型をそれぞれaabb、AABBと仮定した。両遺伝子間に交互作用が認められない。そして、両遺伝子ともその作用価は8.21日と推定された。ただし、一方の遺伝子はわずかな優性(1日)を示した。
  • 青葉 高
    1972 年22 巻6 号 p. 323-328
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    Brassica juncea is generally known to produce only seed coats in which the epidermal cells does not swell even after water absorption (Type-B). The author, however, observed in a number of varieties epidermal cells swelling up due to imbibition of water (Type-A). Most of the varieties grown in China, South East Asia and Japan are known to produce seeds of Type-B, while in Europe distribution of Type-A varieties have been observed.
  • 新城 長有
    1972 年22 巻6 号 p. 329-333
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    新城(1969)の発見した雄性不稔細胞質およびそれに対する稔性回復遺伝子の地理的分布を明らかにするため、本実験を行なった。本研究に用いたイネ品種は16国から蒐集した153品種である。細胞質検定親に遺伝子型(ms+)rf rfの6系統を、核内遺伝子型検定親には遺伝子型(ms)rf rfの6系統を用いた。前者の検定親は父本に、後者の検定親は母本に用いた。これら2種の検定親と153品種の交雑を行なった。主としてF1の花粉および種子稔性から、それぞれの品種の細胞質型と核内遺伝子型を推定した。これらの推定が困難であった品種についてはB1F1か自家受粉による後代系統の稔性から推定した。細胞質の検定を行なった146品種のうち、4品種のみがChinsurah Boro IIと同じ雄性不稔細胞質(ms)をもち、他の142品種は正常細胞質(ms+)をもっていた。雄性不稔細胞質をもつ4品種は、VavilovがIndian Centerと名づけたインドおよび東パキスタンから蒐集したboro型のものであった。核内遺伝子検定を行なった153品種のうち、54品種は効果的な稔性回復遺伝子を、28品種は弱回復遺伝子を、残りの71品種は非回復遺伝子をもっていた。効果的な稔性回復遺伝子はインド型が主に栽培される熱帯地方に、一方非回復遺伝子は日本型が栽培される温帯地方に分布していることがわかった。弱回復遺伝子はいずれの地域にも見られた。
  • 徳増 智
    1972 年22 巻6 号 p. 334-339
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    ナタネBrassica napus var. oleiferaの低四倍体(2n=72)と三倍体(2n=57)との交配より生じた異数体(2n=67)の次代より6対の双生子植物を得た。その出現率は9.1%であった。双生子を生じた種子と正常の種子との間には形態的にも、また大きさの点においても差異を認めなかった。双生子植物の半数は子葉数の異常を示したが、その後の生育には各対を構成している植物体間に著しい差異は見られなかった。一方、開花始期・草丈・花粉稔性・種子稔性についての調査では、双生子対によって若干の差異を示すものと、何らの差異をも示さないものとがあった。特にNo. 44は両植物とも特異な形態を示し、両者はきわめて類似していた。6対の双生子の体細胞染色体数はMIIにおける両娘核板上の染色体数の観察から、65-60、63-63、67-68、65-65、65-60、および40-40と決定された。MIの観察は40染色体数を持つ一対(N0. 44)のほかには行なわなかった。N0. 44では、一個体が5III+12II+1Iおよび6III+11IIの対合型を示し、他の一個体は5III+12II+1Iを示した。本実験で得られた双生子の出現頻度は他作物のそれにくらべきわめて高く、また子葉数の異常を伴うことも特徴的である。この高出現頻度が遺伝的なものかどうか明確にし得ないが、その後代に再び双生子の出現が見られず、非遺伝的である可能性が強い。双生子の起源について細胞学的ならびに形態学的観点から考察すると、60ないし68染色体数を有する双生子対の大部分の個体は2個の別々の生殖細胞(卵細胞あるいは助細胞)が、それぞれ雄核と結合して生じたものと思われる。その際2個の生殖細胞は同一の胚嚢のものか別々の胚嚢のものかは不明である。No. 32は、その構成個体が共に同一染色体数(2n=65)を有し、形質も差異がなく恐らく一つの接合体から分離して生じた一卵性双生子であろう。No. 44はその染色体数(2n=40)から減数卵が単為生殖的に発達したと推定され、またその構成個体の形態的、細胞学的類似性から一卵性双生子と考えられる。
  • 岩崎 文雄
    1972 年22 巻6 号 p. 340-345
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    Papilla cells became crumbled 4 days after flowering, and ovule was transformed 6 days, after flowering. Histochemical reactions were stronger during the period 1 to 3 days after flowering. The reaction of pollinated pistils became more stronger, but that of non-pollinated pistils became weaker afterwards.
  • 竹股 知久, 坂井 健吉
    1972 年22 巻6 号 p. 346-347
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
  • 藤巻 宏, 伊藤 博
    1972 年22 巻6 号 p. 347-349
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
feedback
Top