ルスチカタバコのダイアレルF
1を供試し,異なる環境条件下で草丈とその個体間変異に対する遺伝的効果たらびに遺伝的相互関連を検討した.草丈とその個体間変異には,ともに遺伝子型効果,環境効果および遺伝子型と環境との相互作用効果があったこれら遺伝子型と環境との相互作用効果は,ともに親系統の平均値を環境指標とする回帰モデルに適合し,環境変化に対する反応性を,回帰係数βilと回帰からの残差分散δil2で評価できた.草丈のβilには遺伝子の相加的効果と優性効果が作用L,環境変化に対し反応性が小さい方向に優性であった.δil2は相加的効果が大きく,優性効果はなかった.個体問変異のβ乞三には遺伝子の相加的効果と優性効果に加え,正逆効果があった、βilを支配する遺伝子は小さい方向に優性を示し,F
1の個体間変異を環境間で一定にする作用があった.δil2に対する遺伝的効果は,草丈のそれと同様であった.これらパラメータ間の相互関係から,発育不安定性と環境変化に対する表現型可変性は,異なった遺伝的支配を受けると推察された.環境変化に対する反応性(βil,δil2)は,草丈とその個体間変異の問で正の相関関係があり,両名の表現型可変性は共通の遺伝的支配があることが示唆された.個体間変異の大きさに対する遺伝子型効果は親系統とF
1の間で差がなく,異型接合体のF
1が発育的に安定しているとは言えなかった.草丈とその個体間変異の環境変化に対する反応性は,ともに親系統で高く,F
1で低かった.しかし,これらはF
1の異型接合性によるのではなく,表現型可変性を支配する遺伝子の相加的効果と優性効果によると考えられた.
抄録全体を表示