1.化学物質による突然変異誘起の効果を知るために,ethyleneimine(EI),ethylene oxide(EO),diethylsulfate(DS),methyl methanesulphonate(MMS),ethylmethanesulphonate(EMS)およびpropylmmethanesulphonate(PMS)の各溶液(0.01~1%)を用いて水稲品種銀坊主の乾燥種子に処理を行ない,X線照射(5~50kr)との比較を行なった。本報は処理当代(X
1)の障害と次代(X
2)の葉緑突然変異の出現について述べたものである。2.X。の発芽率と生存率との関係は化学物質とX線とでは著しく異り,X線では100%致死の高線量でも発芽率に異常はないが,化学物質では両者はともに処理量の増加にともなって減少する傾向がおり,MMS,EIなどでは発芽遅延が著しい。3.X
1稔性の低下は各作因とも処理量に対して直線的であるが,不稔個体出現率との関係は一様でない。4.MMSを除くすべての作図が葉緑突然変異を誘起し,本実験の範囲ではX
1穂別突然変異率,X
2個体刑突然変異率ともに最高値はEI処理区にあり,それぞれ33.3%,4.83%を示した。5突然変異率とX
1障害との関係から,EIはLD
50程度の処理が適当であり,その他の化学物質は処理方法を究明することによってさらに高い突然変異率が期待されるが,すくなくともEI,EMS,PMSはX線よりすぐれた誘起効果を有するものと考えられる。
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