体力科学
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44 巻, 4 号
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  • 豊岡 示朗, 吉川 潔, 足立 哲司
    1995 年 44 巻 4 号 p. 419-430
    発行日: 1995/08/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    朝の起床後におけるジョギングの問題点, その実施時間帯による代謝特性を明らかにすることを目的として, 男子長距離選手5名 (19~26歳) とジョガー (32~50歳) を対象に, 絶食, スナック, 夕方の3条件を設定して60分間のトレッドミルによるジョギングを課し, 血中基質と代謝反応を測定し, 次のような結果を得た.
    1) 絶食条件のジョギング前後の血液グルコースは, ジョガー群で100.8mg/dl: 93.0mg/dl, ランナー群で101.0mg/dl: 105.6mg/dlとなり, ジョガー群の低下が大きい傾向が見られた.しかしながら, 両群間に有意差は認められなかった.また, 夕食を摂らなかった被験者1名 (48歳) が, 走行後65mg/dlとなり, 低血糖レベルに近づいた.
    2) 同条件での遊離脂肪酸は, ジョガー群の安静で, 0.37mmol/l, 運動後, 0.57mmol/l, ランナー群の場合, 運動前0.25mmol/l, 運動後0.37mmol/lとなり, いづれも, 約50%の上昇がみられたものの, 安静値の2倍に達した被験者は1名であった.また, その最大値は, たかだか, 0.86mmol//lであった.
    3) 上述の結果から, 起床後の空腹状況において, 50~60%VO2maxで60分間のジョギングを実施した場合, 脱力感, 不快感や低血糖症状に陥る例は稀であり, 遊離脂肪酸が急上昇 (安静の3~4倍) することもほとんどないことが示唆された.しかしながら, 中高年ジョガーの場合, β-ヒドロキシ酪酸が, 運動前に比べ1.3~2.6倍も増加する例 (6名中5名) が見られた.
    4) 血中基質の動態からみた夕方ジョギングの特徴は, 朝の2条件 (絶食とスナック) と比べ, 運動前のインスリンレベルが2.7倍高く, 運動中のアドレナリン分泌の亢進, 血液グルコース取り込みの増加, 脂肪分解能の抑制であった.一方, 朝の2条件の動態は, ほぼ同様となり, インスリン, アドレナリン, ノルアドレナリン, 血液グルコースの変動が小さく, グリセロールの増加, FFA代謝回転レベルの高いことが認められた.
    5) 60分間のジョギングによる全消費エネルギーは, スナック条件が他の条件より4~5%高く (P<0.01) 654.4kcal, 以下, 夕方条件・627.5kcal, 絶食条件・619.2kcalとなった.この差異の要因は, スナック摂取からくる酸素摂取量の増加に依る.
    6) 呼吸商 (RQ) から60分間のジョギングによる炭水化物と脂肪の酸化比率をみると, 朝の2条件 (絶食とスナック) の場合, 約51~50%: 49~50%とほぼ同様になったのに比べ, 夕方条件の場合は, 67.4%: 32.6%となり, 朝のジョギングの方が約16~17%脂肪の酸化が多い (P<0.01) ことが認められた.
    7) 以上の結果から, 朝の2条件 (絶食とスナック) によるジョギングは, 夕方実施する場合に比べて脂質代謝が高いと示唆された.
  • 藤井 勝紀, 山本 浩
    1995 年 44 巻 4 号 p. 431-437
    発行日: 1995/08/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    A study was conducted to analyze the height growth velocity curve based upon the maturity rate. Ninety-eight longitudinal data points for height (for subjects aged 6 to 17 years) were obtained retrospectively from health examination records in 1983. Growth distance and growth velocity curves of each individual were described by the wavelet interpolation method, and PHV age was determined with the described graph using computer simulation. We classified the growth velocity curve by the maturity rate approximated according to the PHV age. As a result, it was shown that the after-growth spurt in early maturity and somewhat early maturity type appeared more than in the average and somewhat late maturity types, and that conversely, the mid-growth spurt in the late maturity and somewhat late maturity types appeared more than in the early maturity and somewhat early maturity types. Specifically, it was demonstrated that two mid-growth spurts appeared in the late maturity and somewhat late maturity types.
  • 田路 秀樹, 末井 健作, 金子 公宥
    1995 年 44 巻 4 号 p. 439-446
    発行日: 1995/08/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    肘屈筋群の力-速度関係とパワーに及ぼす複合トレーニングの効果を知るため, 一般男子大学生18名を次の3群に分け, 週3日, 11週間のトレーニングを行った.すなわちトレーニング群は, 1) 最大筋力の30%負荷 (30%P0) で最大パワーを発揮する単一トレーニング群 (G30群) , 2) 最大パワーの発揮に加え, 無負荷 (0%P0) で最大速度を発揮する複合トレーニング群 (G30+0群) , 3) 最大パワーの発揮に加え, 最大筋力 (100%P0) を発揮する複合トレーニング群 (G30+100群) の3群とし, 次の結果を得た.
    1.最大パワーの増加はG30+100群で最も著しく, 次いでG30+0群, G30群の順となり, それらすべてが統計的に有意な増加であった.また, G30+100群とG30+0群の増加量間に有意差が認められた.
    2.最大筋力の増加はG30+100群で最も著しく, 次いでG30群, G30+0群の順で, 上位2群の増加に有意性が見られた.またG30+100群とG30群の増加量間に有意差が認められた.
    3.最大速度はすべての群で有意に増加したが, 各群の増加量間には有意差が認められなかった.
    以上の結果から, パワー・トレーニングにおいて, 筋力強化を加えた複合トレーニングは, 単一負荷のトレーニングと同様に優れた効果を発揮するとともに, スピードを重視した複合トレーニングよりも効果的であることが示唆された.
  • 石井 好二郎, 山崎 昌廣, 村木 里志, 小村 堯, 菊地 邦雄, 宮側 敏明, 藤本 繁夫, 前田 如矢
    1995 年 44 巻 4 号 p. 447-455
    発行日: 1995/08/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    脊髄損傷者 (SCI) の持久的運動時における体温変動を知ることを目的とし, SCI 5名 (T6-T12) , 及びcontrol 7名 (健常者) に気温約25℃, 相対湿度約50%に調整された人工気候室内において, arm cranking運動 (20 watts) を30分間実施させ, 運動開始10分前から運動終了10分後までの鼓膜温 (Tty) 及び皮膚温 (額部, 上腕側部, 胸部, 大腿前部, 下腿前部, 及び下腿後部) を測定し, 以下の結果を得た.SCI群のTtyはcontrol群に比べ, 運動開始10分前から運動終了10分後まで低値を示す傾向にあったが, 統計的に有意差が認められたのは運動開始時のみであった.また, 運動の持続と共に両群間のTtyの差が縮まる傾向にあった.なお, SCI群の安静時のTtyは36.05~37.15℃であり, 運動開始後にはSCI群の内4名に0.04~0.12℃の初期下降が認められ, 運動終了時には運動開始時より0.66℃±0.19 (mean±SD) 上昇した.
    上腕側部を除いて各部位の皮膚温はSCI群が低値を示す傾向が認められた.統計的に有意差が認められたのは, 額部では運動初期時, 及び運動終了後であり, 胸部では運動開始10分後から運動終了5分後までであった.大腿前部は運動開始10分前から運動終了10分後までの全てにおいて有意にSCI群がcontro1群に比べ低値を示した.下腿前部では運動開始10分前, 及び5分前に, 下腿後部では運動開始前より運動開始15分後までに統計的な有意差が認められた.SCIの胸部, 大腿前部, 下腿前部, および下腿後部の皮膚温は個人差が顕著であり, SCIの麻痺域や麻痺域に近い部位における皮膚温反応の特異性が示唆された.
  • 田巻 弘之, 北田 耕司, 倉田 博
    1995 年 44 巻 4 号 p. 457-464
    発行日: 1995/08/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    足関節角度を20°に保持し続ける下腿三頭筋の持続的等尺性収縮において外側腓腹筋, 内側腓腹筋およびヒラメ筋が時間経過とともにどの様な活動様相を呈するのか, 筋放電活動を観察することによりその活動様式に検討を加えた.その結果, 10%MVCの軽い負荷において,
    1) 各筋とも時間経過とともに大きな筋放電活動がみられるところと, 休止もしくは大きく低下するところが観察され, これが3筋間で相補的に交代する様相を呈した.下腿三頭筋における協働筋間のwhole muscleレベルにおいても, 活動交代が発現することが見出された.
    2) 運動中に活動参加している筋の組合せの回数はMG+SOLが最も多く, Ta/Ts比はMG及びSOLはLGより有意に (p<0.05) 高い値を示した.本実験の運動においてはMGとSOLが主たる働きを担い, LGはそれらの補足的活動を担うものと推察された.
    3) 全運動時間の前半と後半では下腿三頭筋の活動様相が異なった.後半では活動交代回数は有意に (P<0.05) 増大し, 腓腹筋ではTa/Ts比は増大し, 総活動時間が長くなり, ヒラメ筋ではTa/Ts比が低下し, 総活動時間が短くなる傾向が示された.
    4) 1回の筋放電活動中の筋電図積分値は前半から中・後半にかけて有意に (P<0.01) 増大したが, 中盤から後半にかけては大きな変化はなかった.疲労に伴う筋放電量の増大を示す前に他の筋と活動交代するものと考えられた.
  • 桑森 真介, 岩根 久夫, 浜岡 隆文, 村瀬 訓生, 黒澤 裕子
    1995 年 44 巻 4 号 p. 465-474
    発行日: 1995/08/01
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to find a key to clarifying the mechanism of lactic acid production during exercise. Five healthy men performed the grip and wrist flexion exercises at different occasions. Exercise intensities were increased by 5% MVC (maximum voluntary contraction force) per minute from 10% MVC. Intracellular pH, oxygenated hemoglobin/myoglobin (Oxy-Hb/Mb), inorganic phosphate (Pi), and phosphocreatin (PCr) in forearm flexor muscles were measured by 31P-MRS and NIRS. The lowest Oxy-Hb/Mb concentrations during the grip and wrist flexion exercises were 40.7± 8.86% (average±SE) and 15.4 ± 2.26%, respectively. These results suggest that oxygen remain sufficient in the muscles at least during the grip exercise. Intracellular pH dropped as exercise intensity rose above 25% MVC for the grip and above 10% MVC for the wrist flexion exercise. These results support the idea that oxygen deficiency is not the only cause for lactic acid production during exercise. On the other hand, intracellular pH fell with either negative or positive relations to Pi/PCr ratio, Pi, and PCr in each exercise. These results support the suggestion that the main causes of lactic acid production during exercise are the changes in ADP, Pi, and PCr.
  • 岩根 久夫, 浜岡 隆文
    1995 年 44 巻 4 号 p. 475-479
    発行日: 1995/08/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
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