日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
12 巻, 6 号
リモートセンシングによる災害評価 ―近年の地震・津波への適用―
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
巻頭言
論文
  • 三浦 弘之, 翠川 三郎, Soh Hui Chen
    2012 年 12 巻 6 号 p. 6_2-6_20
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    高分解能衛星画像による建物被害の自動検出手法を検討するため,2010年ハイチ地震前後に撮影された衛星画像を利用して,被害建物における画像のテクスチャの特徴を検討した.倒壊した建物では瓦礫の発生によりテクスチャが地震後に粗く変化することを示した上で,同時生起行列に基づくテクスチャ解析を行い,被害建物とテクスチャ指標の関係を検討した.その結果,倒壊建物を評価するには,異質度(Dissimilarity)の指標がより有効であることを示した.さらに,地震前後の画像から算出した異質度の指標を用いて倒壊建物を自動検出したところ,全体の約70%を正しく検出できることを示した.
  • Pralhad UPRETY, Fumio YAMAZAKI
    2012 年 12 巻 6 号 p. 6_21-6_35
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    Two sets of high-resolution SAR imageries from TerraSAR-X were used to calculate radar characteristics like correlation coefficient and backscatter difference for building damage detection after the 2010 Haiti earthquake in the city center of Port-au-Prince. The Normalized Difference Vegetation Index from a Quickbird image was used to delineate non-vegetated areas. The threshold values for correlation coefficient and backscatter differences were determined to find the change. By our threshold values, we could achieve reasonable detection accuracy in low- and moderate-density areas.
  • 松岡 昌志, ESTRADA Miguel
    2012 年 12 巻 6 号 p. 6_36-6_49
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
     ペルーに適したLバンド合成開口レーダ(SAR)画像からの建物被害推定モデルの構築を目的として,2007年ペルー地震にて甚大被害を受けたピスコ市での現地調査データに基づき,被災地を観測したALOS/PALSAR画像から建物全壊率に応じた被災ランクを判別する回帰判別関数を提案した。回帰判別関数の説明変量である後方散乱係数の差分値と相関値の算出では,被害判別精度が高くなるよう最適なウィンドウサイズを検討した。そして,回帰判別関数の判別スコアから建物全壊率に関する基準化尤度関数を構築し,さらに,この地震の震度情報に基づく被害関数との統合処理により,PALSAR画像から建物全壊率分布を精度よく推定できることを示した。
  • 越村 俊一, 郷右近 英臣, 福岡 巧巳, 林 里美
    2012 年 12 巻 6 号 p. 6_50-6_62
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    本稿は,巨大地震災害発生直後の広域被害把握のための技術体系の構築を目的とする.広域被害把握までの流れは,衛星画像解析による津波浸水流況の把握,浸水域内建物棟数の推計,航空写真の判読による建物被害の把握,航空写真・衛星画像による瓦礫量の把握という,4つの技術で構成し,2011年東北地方太平洋沖地震津波災害におけるインプリメンテーションを通じて,その有効性と課題を明らかにした.
  • 花田 大輝, 山崎 文雄
    2012 年 12 巻 6 号 p. 6_63-6_72
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では,津波によって甚大な人的・物的被害が生じた.津波被害把握には衛星可視画像の利用が容易であるが,夜間には撮影することができず,空白の時間が生じる.一方熱赤外センサは,空間分解能は劣るが,夜間でも撮影可能であり,温度分布により津波浸水地域の把握が可能と考えられる.本研究では,地震前後のASTER熱赤外バンド画像を重ね合わせ,温度の差を取ることにより浸水被害地域の抽出を行った.これを同時期のフォールスカラー画像,および国土地理院により作成された浸水マップと比較した結果,昼夜を問わず比較的良好な抽出結果が得られることを確認した.また,同時期のNDVI画像と比較した結果,熱赤外画像は解像度は劣るものの,湛水域の把握においてはNDVI画像と高い相関があることが確認でき,その利用は津波のような大規模災害においては有効であることを確認した.
  • リュウ ウェン, 山崎 文雄, 郷右近 英臣, 越村 俊一
    2012 年 12 巻 6 号 p. 6_73-6_85
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により引き起こされた巨大津波は,日本の太平洋沿岸地域を繰り返し襲い,甚大な被害を引き起こした.本研究では,地震前後に撮影された高解像度衛星TerraSAR-Xの強度画像を用いて,津波による湛水域と建物被害の抽出を行った.後方散乱係数が極めて低いという水域の特性を利用して,地震前後画像から平均差分が減少した地域を湛水域として抽出した.また,1棟単位の建物輪郭データを用いて,輪郭内における後方散乱係数の平均差分と平均相関を算出し,浸水域内における建物被害を抽出した.これらの結果を航空写真の目視判読の結果と比較し,精度を検証した.
  • 北村 健, 丸山 喜久
    2012 年 12 巻 6 号 p. 6_86-6_103
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波は,東北地方だけでなく,千葉県九十九里沿岸地域にも大きな被害を与えた.本研究は,千葉県旭市における津波被害の全貌を把握することを目的に,本地震津波による被害調査と,衛星画像から浸水域の判読を行った.地理情報システム(GIS)を用いて,今回の地震による津波浸水域を特定し,既存の津波ハザードマップとの比較や,地形特性と浸水範囲の関係を考察した.さらに,国土地理院が構築した本地震の震源断層モデルを用いて千葉県旭市における津波数値シミュレーションを行い,シミュレーション結果と本研究で推定した浸水域を比較した.
  • 庄司 学, 高橋 和慎, 中村 友治
    2012 年 12 巻 6 号 p. 6_104-6_119
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震において津波作用により被害を受けた橋梁構造物の被害データをもとに、衛星画像に対する分析を行い、津波作用と被害モードの関係を明らかにした。津波作用の指標としては、対象橋梁の位置における浸水高とし、浅水理論にもとづくStaggered格子を用いたleap-frog差分法による数値計算によって算出した。その上で、津波により流出した主桁の流出距離及び洗掘作用を受けた橋台背面盛土の流出面積を推定し、それらと対象橋梁位置での浸水高との関係を明らかにした。
  • 杉安 和也, 村尾 修, 川崎 拓郎, 韓 海燕, シャー エムディフォエズ
    2012 年 12 巻 6 号 p. 6_120-6_132
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    明治・昭和三陸津波およびチリ地震津波、そして今、東日本大震災によって被災し、4度目の復興が進行しつつある宮城県・岩手県の沿岸部の40集落を対象に、津波常襲地域の住宅立地の変遷を分析した。これにより、今後の津波常襲地域における津波防災住宅整備施策上の示唆を得ることを目的とした。この結果、集団移転用の新興住宅地が集落内を占める割合が高い地区ほど明治・昭和津波時よりも東日本大震災での被害率が軽減されている集落が半数ほどみられた。ただし集落自体の拡大により、被害量自体は増加している集落も7割ほどあり、今後の復興に注意を払う必要があるだろう。
  • 岩崎 洋志, リュウ ウェン, 山崎 文雄
    2012 年 12 巻 6 号 p. 6_133-6_146
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    衛星光学センサ画像を用いた建物被害把握は,これまでに数多く行われてきたが,直下視による衛星画像からは建物上面しか観察できないため,中間層倒壊などの被害を判読することが困難であった.そこで本研究では,地震前後画像から建物の影の長さを計測することで建物高さを求め,それらの差分から倒壊などの大被害を把握することを試みた.2003年アルジェリア地震において多数の建物被害が発生したBourmerdes市を対象として,地震前後に観測された QuickBird衛星を使用した.その結果,目視により大きな被害を判読できたかった幾つかの建物について,高さの変化により倒壊と判断することができた.しかし,建物が密集していたり周囲に障害物があるような場合では,影長さの計測が困難であった.また,影計測が不可能な曇天時や夜間における建物高さの推定法として,SAR強度画像上の建物の倒れ込み長を計測し,建物高さを求める検討も行った.その結果,画像分解能の制約から建物倒壊の把握という点では課題があるもののその有効性が示された.
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