日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
19 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論文
  • 仲野 健一, 川瀬 博, 松島 信一
    2019 年 19 巻 2 号 p. 2_1-2_24
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    地震動は震源,伝播,サイト特性の3つの特性で表現される.Andrews(1982)によって提案されたスペクトルインバージョン法(GIT)は,これらの特性を評価する強力なツールである.本研究では,まず1988年から2016年までにK-NET,KiK-net,JMA,CEORKAで観測された強震記録を収集しデータセットを構築した.そして,同データセットにGITを適用し,推定された特性が解として安定していること,およびS波部を対象として評価した震源特性とサイト特性が理論モデルと整合することを確認した.さらに,S波部を含む全継続時間を考慮したサイト特性はAVS10,AVS30,Tz(基盤までの伝播時間)等と相関性を有することがわかった.また,同サイト特性により関東および近畿地方の堆積盆地における卓越周期を把握できることがわかった.

  • ―津波関連観測データをフル活用した推定―
    根本 信, 横田 崇, 高瀬 嗣郎, 今村 文彦
    2019 年 19 巻 2 号 p. 2_25-2_41
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    2011年東北地方太平洋沖地震の津波断層モデルとしては,これまでに多くのモデルが提案されている.しかし,これらのモデルでは一部の観測データは説明できるものの,GNSSの連続観測データや沿岸の津波痕跡高分布を含めて総合的に評価されていない.本研究では,沖合津波波形データ,陸域・海域測地データ,GNSS連続観測データおよび津波痕跡高データを用いて,これらのデータを説明する津波断層モデルを線形と非線形のインバージョン解析により構築した.その際,断層すべりを与えるプレート境界面として,横田ら(2017)で提案された現実的なプレートモデルを用いた.解析の結果,地震発生から約1分後に宮城県沖で主要な断層すべりが生じるとともに岩手県沖の海溝軸に沿って地震発生から4分後までゆっくりとしたすべりが継続する断層モデルが推定された.

  • 栗田 哲史
    2019 年 19 巻 2 号 p. 2_42-2_59
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    本研究ではスパースモデリングの代表的な考え方であるLasso回帰を用いて津波インバージョンを実施し,震源断層におけるすべり量の時空間分布の特性について分析を行った.スパースモデリングの特徴は,モデル出力に対して大きく寄与する解が自然に求められることである.この特性を利用することによって,予測モデル構築を視野に入れた検討が可能となる.本論文では,2011年東北地方太平洋沖地震津波を対象として,スパースモデリングを津波インバージョン解析に適用し,震源断層のすべり量の特性について分析した.

  • 小林 礼奈, 渡壁 守正, 脇山 善夫, 稲井 慎介, 石田 琢志
    2019 年 19 巻 2 号 p. 2_60-2_69
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    過去の地震では,構造躯体の耐震性が確保された建物でも,カーテンウオール等の外壁をはじめとして,ガラスや天井材などの非構造部材の脱落など人命を脅かす可能性のある被害が少なからず報告されている.本稿で取り上げるガラススクリーン構法の被害については,設置された建築物の構造体の地震時応答による影響も想定されるケースが見られるものの,地震時の構造体の応答を含めた定量的な検討は多くない.本研究では,ガラススクリーン構法を有する建築物を対象に実施した地震観測と,実測データの分析およびシミュレーション解析に基づき,面ガラスの面外挙動及び建物振動特性との関係について検討した.

  • 古川 愛子, 花房 陸斗, 清野 純史, Rishi Ram PARAJULI
    2019 年 19 巻 2 号 p. 2_70-2_86
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    2015年4月25日にカトマンズの北西約80kmを震源とするゴルカ地震が発生した.カトマンズ・バレーの主要都市の一つであるパタンでは,旧王宮広場の組積造建造物が倒壊するなどの被害が生じた.本研究が対象とする2階建ての組積造建物は,旧王宮広場から徒歩5分ほどの距離にあり,集会所として利用されている.倒壊は免れたものの,目視調査により,建物内の数カ所にひび割れが確認された.また,ゴルカ地震前後に行われた微動計測により,建物の固有振動数が低下したことも明らかになっている.本研究では,地盤の常時微動のH/Vスペクトル比により補正した集会所地点の地震動を,集会所の数値解析モデルに入力した地震応答解析により,建物の固有振動数の低下要因を検討することを目的とする.

  • Masanori HORIKE, Koji HADA
    2019 年 19 巻 2 号 p. 2_87-2_106
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    The modal parameters of a torsionally coupled shear building are determined from Green's functions by a two-step determination process. At the first step, the natural frequencies and damping ratios are identified by genetic algorithms before reliable values are selected using the property of the Green's functions that the two parameters are dependent only on the modal order. The damping ratios are revealed to be less than 3.5 % for all the four modes. At the second step, the participation vectors are first identified by genetic algorithms, restricting to narrow search ranges for the natural frequencies and damping ratios. Reliable values of the participation vectors are then selected using another property of the Green's functions. This results in the participation vectors with predominant spectrum tending to be determined well.

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