サイコオンコロジーが目指す2つのゴールは,(1)がんが患者,家族,医療者に与える心理的影響を明らかにし,それに対応すること,および(2)がん患者のQOLや生存に関与する心理・社会・行動学的因子を同定し介入法を開発すること,といわれている.これまで,がん患者が呈する対応が必要な精神的負担として適応障害,うつ病,せん妄の頻度が高いことが明らかにされ,その評価・対応に関心が向けられてきた.また,がん患者のQOLや生存に関与する可能性のある介在要因として,さまざまな因子が検討されてきている.本稿では,サイコオンコロジーが目指している2つのゴールの中から,がんの情報開示が行われた後にがん患者が呈する通常の心理的反応,精神医学的対応を必要とする精神的負担の診断とその対応,およびがん患者のQOLや生存に関与する可能性のある介在要因に関して,これまで明らかになっていることについて概説する.
抄録全体を表示