痙性斜頸の発現機序について, 次のような点が指摘される.(1)攻撃性の存在, (2)準備状態(ストレス)の存在, (3)発症直前の過剰適応状況, (4)器官選択として, 頭部頸部という局所に対する有害刺激(指圧療法, 冷房の暴露, 感冒, 不自然で無理な姿勢), 症状の象徴的意味などが認められた.すなわち, 攻撃性の強い人がそれを発散できない過剰適応状況でストレス下にあり, しかも頭頸部という局所に有害刺激が加わって, 痙性斜頸を発症するものと考えられた.他方, 器官選択の問題としてはこれまで, (1)情緒の特殊性, (2)象徴的意味, (3)特殊な情緒葛藤, (4)人格特徴, (5)器官劣等性, (6)条件反応などが一般に指摘されてきたが, 痙性斜頸における器官選択については, 特に(5)器官劣等性, すなわちより末梢性(局所性)の問題が重要であると考えられた.
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