断層運動に伴う地殻変動を境界要素法により計算する解析法を開発した.境界要素には三角形の線形要素を用いるので断層形状や断層面のすべり分布が不規則でも連続的なモデル化が可能である.ただし,通常の境界要素法では積分点と観測点の間の距離が短いとGreen関数の特異性が現れ,計算精度が著しく低下するが,本解析法ではHayami and Brebbia (1988)によるPART法を用いてこの特異性を除去することで,精度の高い地殻変動量が求められる.相模トラフで将来発生が予想される最大クラスの地震を対象に,本解析法とOkada (1985)の解から得られる地殻変動量を初期水位とした津波シミュレーションを行った.その結果,本解析法では,Okadaの解に見られる震源断層の不連続なモデル化による影響が現れることなく地殻変動量を求めることができるので,安定した津波シミュレーションが行える.