腹部救急領域で遭遇するショックでは出血性ショックと敗血症性ショックの頻度が高い. 敗血症性ショックにはhyperdynamicな状態とhypodynamicな場合があり, 各々特徴的な血行動態を示す.今回これらの諸病態下でのnitric oxide (NO) とendothelin-1 (ET-1) の動態を検討した. 対象はhyperdynamic shock 4例, hypodynamic shock 8例, 出血性ショック2例, ショック非合併敗血症5例である. hyperdynamic shockでは全例でNOが100μM/L以上に上昇し, hypodynamic shockではET-1の上昇が優位であった. 一方出血性ショックやショック非合併例ではいずれの上昇も著明ではなかった. 血管内皮障害の指標である thrombomodulinと嫌気性代謝の指標である1actateはET-1との問に相関がみられた. hyperdynamic shock の発症機序にはNO, hypodynamic shockにおける組織循環障害の発現にはET-1の関与が考えられた.
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