日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
19 巻, 5 号
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  • 中川 国利, 桃野 哲
    1999 年19 巻5 号 p. 613-616
    発行日: 1999/07/31
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の男性で, 17年前に左腎細胞癌にて左腎臓摘出術を受けた。下血を主訴として来院し, 血液検査にて著明な貧血を認めた。超音波検査, CT検査, MRI検査および血管造影検査にて膵鈎状突起に径6cm大の血流豊富な腫瘍を認めた。また上部消化管内視鏡検査では, 十二指腸下行部に腫瘍が存在し, 出血を認めた。以上から, 左腎細胞癌の膵転移巣が十二指腸に直接浸潤し, 同部からの消化管出血と術前診断して, 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織学的には小型類円形の核と淡明な胞体を持った腫瘍細胞を認め, 17年前の腎細胞癌と一致したことより, 腎細胞癌の膵転移と診断した。術後経過は良好で, 術後7ヵ月現在, 再発所見は認めていない。
  • 畑 倫明, 村尾 佳則, 小延 俊文, 植田 史朗, 野阪 善雅, 酒井 利也, 横田 義子, 福島 英賢, 相澤 茂幸, 宮本 誠司, 中 ...
    1999 年19 巻5 号 p. 617-620
    発行日: 1999/07/31
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル フリー
    症例は32歳, 男性。突然発症した激しい持続性の左上腹部痛にて, 近医を救急受診し, 急性腹症の診断にて当院紹介となった。当院におけるCT, 胃透視, 上部消化管内視鏡検査にて急性胃軸捻転症と診断し, 同日, 腹腔鏡下に緊急手術を施行した。術中所見では遊走脾を先進部とした短軸性の胃軸捻転であった。腹腔鏡下に胃を正常な位置に整復固定し, 手術を終了した。術後経過は順調であり, 術翌日より経口摂取を開始し, 1週間後に退院となった。急性胃軸捻転症に対して緊急腹腔鏡を施行した報告は本邦でこれが最初と思われるが, 診断の容易な良性疾患であることから, 今後は緊急であっても腹腔鏡下手術の良い適応となると考えられる。
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