日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
18 巻, 8 号
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  • 金井 尚之, 小池 荘介, 鈴木 秀道, 九里 武晃, 片野 素昭, 佐々木 博一, 藤川 正, 池田 譲治, 池田 裕介, 牧野 義文
    1998 年18 巻8 号 p. 1167-1172
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル フリー
    重症のアルコール性横紋筋融解症 (RML) の経過中にイレウスを合併し, その原因が穿通性小腸潰瘍であり, 病理学的に小腸の平滑筋の融解がみられた1例を経験したので報告する。症例は57歳の男性で, 下血と意識障害を主訴に来院した。RMLによる急性腎不全に持続的血液濾過透析 (CHDF) を行い, RMLは軽快したが, イレウスを併発した。CHDF中強力な鎮静下にあったための麻痺性イレウスと判断していたが軽快せず, イレウス管造影により閉塞部位が確認できたため, 発症約1ヵ月後に開腹術を行った。小腸が穿通を起こし, 腸管どうしが癒着を起こしていたためのイレウスと判明, 穿通癒着腸管切除を行い軽快した。長期のアルコール摂取が横紋筋に障害を与えることはよく知られている。横紋筋と小腸平滑筋はアルコールに対し同様な振るまいをすることから, 今後アルコール性平滑筋融解による小腸潰瘍の発生の増加がみられる可能性があり, 注意が必要である。
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