全周照射型細径ファイバーを用いた波長1470 nm血管内レーザー焼灼術(EVLA)の治療成績を波長980 nm EVLAと比較検討した。1470 nm群の術後疼痛,皮下出血の頻度は980 nm群と比較して有意に低値であった。術後の自覚・他覚症状,静脈機能は両群ともに有意に改善し,両群間で有意差はなかった。細径ファイバーを用いた1470 nm EVLAの治療成績は980 nm EVLAと同等以上で良好であった。
われわれは囊状腹部大動脈瘤に対しステント留置を行うことで血行力学的要因を改善させることを報告した。今回最適なステントサイズを明らかにするため,径と長さの異なる6種類のステントで解析を行った。全モデルで留置後に血行力学的要因が改善した。瘤内に入る流線は径が大きいほど減少したが,それ以外はサイズ間で明らかな差を認めなかった。留置するステントは動脈壁に密着し囊状瘤部分をカバーすれば十分効果があることが判明した。
右下腿が虚血により壊死に至った症例に対して膝関節温存を目的として腓腹動脈バイパス術を施行した。術前の血管造影検査では浅大腿動脈から膝窩動脈,脛骨腓骨動脈幹まで閉塞していた。腓腹動脈は側副血行路として開存しており,側副路を介して腓骨動脈が開存していた。腓骨動脈は壊死部に近く末梢吻合としては適さず,自家静脈を用いて,大腿–腓腹動脈へバイパス術を施行した。バイパス術後,下腿の良好な血行の回復を確認して下腿切断術を施行した。その後の経過は良好で半年後には義足による歩行機能を回復した。
症例は52歳,男性。Stanford A型急性大動脈解離に対して上行大動脈置換術を施行された。術後より溶血性貧血を発症し,人工血管の高度屈曲が原因と診断された。人工血管の屈曲に対して血管内治療を施行する方針とし,屈曲部にPalmaz EL stentを留置した。術後,溶血性貧血は速やかに改善した。人工血管高度屈曲による溶血性貧血に対して直達手術が施行されてきたが,血管内治療も選択肢の1つになり得ると考える。
人工血管内シャントの静脈側吻合部狭窄およびシャント瘤をステントグラフト内挿術により治療した1例を報告する。症例は36歳,女性。16年前に人工血管内シャントを造設し,静脈側吻合部狭窄に対して繰り返し血管内治療を行っていた。約1年前より静脈側吻合部シャント瘤を形成し,徐々に増大したためステントグラフト内挿術を施行し,狭窄部の血流改善と瘤内血流消失を認めた。術後瘤は縮小傾向となり良好に経過した。
孤立性上腸間膜動脈解離により腸管虚血を呈した症例に対してcovered stentを使用して血管内治療を施行した。対象は2008年から2014年の3例で,急性期は保存療法を施行したものの,腸管虚血症状が遷延するため血管内治療を施行した。急性期成績は良好であり,術後15年,9年,14年が経過しているが,全例covered stentは狭窄なく開存しており,慢性成績も良好であった。孤立性上腸間膜動脈解離に対する血管内治療でcovered stent留置も選択肢になりうると考える。