症例は74歳,男性。右下肢の疼痛,運動麻痺と感覚障害のため救急搬送された。低血圧を認め,脈拍は心房細動であった。造影CT検査で約56 mmの破裂性右膝窩動脈瘤を認めた。右下腿のコンパートメント症候群を認めたため,減張切開を行った。後方アプローチを用いて右膝窩動脈瘤を切除し,大伏在静脈を用いて血行再建を行った。血管エコーでグラフトの開存を確認できた。術後2年経過し,グラフトは開存し虚血症状を認めていない。
症例は26歳女性。突然の右胸痛,背部痛と意識消失で救急搬送された。CTで右胸腔内血液貯留と右鎖骨下動脈遠位部に約15 mm径の囊状瘤破裂が疑われた。右上腕動脈アプローチでステントグラフト留置を行い救命し得た。術後の遺伝学的検査でCOL3A1遺伝子に病的バリアントが検出され血管型Ehlers-Danlos症候群の確定診断となった。血管内治療は縫合操作などを回避できるため,良好な早期成績が期待できるが,術後長期の注意深い経過観察が必要である。