幼児期に言語発達遅滞と診断され, すでに中学を卒業した人を対象に, 教育歴, 言語力, 伝達能力についてアンケート調査を行い, 回答を56名から得た.すでに死亡した3名を除く53名からの回答を検討した結果次のようなことが明らかになった.
1) 普通校の養護学級 (特殊学級) から養護諸学校への移動がみられたが, その逆はなかった.中学卒業後, 全体の34%は普通学校へ進学し, 62%は養護諸学校へ進学していた.
2) 約40%の人が話したり, 聞いたりは問題なくできるようになっていた.
3) 知らない人にも用が伝えられるのは47%で, 半数を上回る人は成長しても, コミニュケーション上の不便がみられた.
4) 「対人関係の障害」がある場合を除いて, 言語力と伝達能力には対応がみられた.
5) 言語の遅れの要因により, ある程度予後の推定が可能である.
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