音声言語医学
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48 巻 , 3 号
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  • 田中 美郷
    2007 年 48 巻 3 号 p. 187-200
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    聴覚障害児の教育の目標は言語教育と人間形成にあるといえるが, 言語教育に関しては21世紀に入る頃から大きく変革を迫られている.その背景には新生児聴覚スクリーニング, 人工内耳の普及, 従来の言語教育法に対する反省, 手話言語学の進歩, バイリンガル・バイカルチュラル教育の主張などといった歴史的に未経験な新しい局面の出現がある.本論文ではこれらの動向を概観し, 筆者の40年あまりの臨床経験と合わせて, 今後の実践的研究に何が求められているかを展望する.
  • 飯干 紀代子, 倉内 紀子
    2007 年 48 巻 3 号 p. 201-209
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    介護老人保健施設 (以下, 老健) における言語および構音スクリーニング検査を開発するため, 試案作成, 信頼性と妥当性の検証, 課題および項目の抽出, 選別基準の設定を行った.老健利用者の特性を考慮した試案を作成し, 延べ217例に施行して, 高い信頼性と妥当性が示された.試案の結果について因子分析と通過率の分析を行い, 言語スクリーニング検査では単語の理解, 短文の理解, 仮名単語の読解, 身体命令の読解, 呼称, 短文の復唱, 仮名単語の書称, 短文の書取, 計8課題16項目, 構音スクリーニング検査では2~4文節のことわざ3項目を抽出した.感度と特異度の算出により, 言語スクリーニング検査では正答数13以下, 構音スクリーニング検査では明瞭度2以上を障害の選別基準とした.老健利用者の属性の分布を反映した対象に施行可能で, 選別基準も先行研究に比して妥当であり, コストやリスクも低いことから, 有用なスクリーニング検査になりうることが示された.
  • ―Rapid Automatized Naming (RAN) 検査を用いて―
    金子 真人, 宇野 彰, 春原 則子, 粟屋 徳子
    2007 年 48 巻 3 号 p. 210-214
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 就学前6歳児におけるRAN交互課題検査成績が1年後の小学1年生のひらがな音読力を予測する可能性を検討することである.対象は1, 001名中追跡可能であった377名である.その結果, 就学前6歳児が就学後7歳児のひらがな読み困難児を検出する予測可能性は, 規準値+1.5SDでは予測率が44%, 規準値+2SDでは40%に達した.RAN交互課題検査は就学前6歳児のひらがな読み困難児を検出するスクリーニング検査として有効であると考えられた.また, 6歳から7歳は, RAN課題の速度が速くなる群と変わらない群が見られた.就学前後1年間はRAN検査成績の変動が大きい時期であるように思われた.
  • 西尾 正輝, 田中 康博, 阿部 尚子, 島野 敦子, 山地 弘子
    2007 年 48 巻 3 号 p. 215-224
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    dysarthria263例 (言語治療実施群187例と言語治療を実施しなかった対照群76例) を対象とし, 言語治療成績について検討し以下の結果を得た.
    1.脳血管障害, 脊髄小脳変性症, パーキンソン病に起因する言語治療実施群では言語治療前後で比較して有意に明瞭度が改善したが, 対照群では有意差は認められなかった.
    2.脳血管障害に起因する言語治療実施群では, 重症度にかかわりなく有意な明瞭度の改善が認められ, 重症化するほど, 改善の程度が大きくなる傾向が認められた.また, 病期にかかわりなく有意な明瞭度の改善が認められた.
    3.ALSに起因する言語治療実施群では言語治療前後で比較して有意差は認められなかった.軽度例は経時的に明瞭度がほぼ確実に低下し, 重度例のほとんどは最重度の段階で停滞した.
    以上の結果に基づいて, dysarthriaの臨床において有効な言語治療手法について検討を加えた.
  • 清水 充子, 堀口 利之
    2007 年 48 巻 3 号 p. 225-226
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 山脇 正永
    2007 年 48 巻 3 号 p. 227-230
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • ―その評価法と新しいDysarthria治療の可能性―
    三枝 英人
    2007 年 48 巻 3 号 p. 231-236
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    現在のところ, すべての運動障害性構音障害 (以下, dysarthria) に対して有効な構音訓練法はいまだに確立されていないというのが実情である.一方, 嚥下障害の患者に対して, 構音訓練を行うと嚥下が改善するといったことがしばしば経験される.このことから, ある同じ器官を使用する別の反射性運動を誘発することで障害された機能が促通されうるということが示唆される.また, 構音運動そのものに反射性制御機構が存在するならば, それを誘発することでより有効な機能訓練が行える可能性が高い.今後, そういった観点も含めたdysarthria, 構音機能, 構音器官に対する臨床的および基礎的な研究が必要である.
  • 森 大毅
    2007 年 48 巻 3 号 p. 237-242
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    韻律的特徴および分節的特徴の両面から, dysarthriaの音響的特徴の評価を行った.共通の結果としては, 基本周波数 (F0) レンジの縮小が今回評価したすべてのdysarthriaに対して観察された.さらに, 原因疾患の違いがF0の分布の違いに反映されていた.また, 子音/母音のパワーおよび5母音のフォルマント周波数の対比はdysarthriaでは弱められていた.上記分析結果はまた, F0レンジと母音のフォルマント周波数の問に関連があり, 音声訓練によって韻律を強調することで構音も改善されている可能性を示唆していた.
  • 濱村 真理
    2007 年 48 巻 3 号 p. 243-247
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    dysarthriaに関してQOLを視野に入れた二方向からの取り組みを示す.一つは, Acaderny of Neurologic Communication Disorders and Sciences (ANCDS) が治療効果研究のメタ・アナリシスに基づいて提案する臨床ガイドラインである.その目的は, 臨床家がその時点で得られる最良のエビデンスを参照しつつ, 対象者との協議を通じて, 最適な評価ないし治療アプローチを選ぶことにある.この取り組みの背景には, ケアの質は効果のエビデンスによって最良の形で保障されるという治療哲学がある.もう一つの取り組みは, 機能回復にとどまらず, コミュニケーションの場面やパートナーとの相互行為をも対象とする治療, 介入である.評価指標としては, コンテクストにおける「了解度 (comprehensibility) 」が用いられる.このようなアプローチを通じて個々人のQOLに関するニーズを汲み取ることが, 対象者の地域社会や職場への復帰を図るうえで求められる.
  • 白坂 康俊
    2007 年 48 巻 3 号 p. 248-252
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    AACを適応する場合, コミュニケーションを維持するための言語力ならびに精神機能の評価と, 機器を操作する身体機能の評価を行う.
    評価の結果, 言語処理過程のうちどの過程の障害かが判断できるので, それにそって適応を決定する.
    適応にあたっては, 実際の装用状態での継続的な評価が重要であり, 実用的に使用している状態まで確認することが大切である.
    また, AACの限界は, 使用する側の障害の重症度から生じる限界と, 機器そのものがもつ限界がある.こうした限界を十分知りながら適応を考えることにより, 初めて障害をもつ方のQOLに貢献することができる.その一方で, 適応の限界を広げていくための努力も強く求められている.
  • 伊藤 壽一
    2007 年 48 巻 3 号 p. 253
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 中村 公枝
    2007 年 48 巻 3 号 p. 254-262
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    乳幼児期の聴覚活用と言語習得について以下の観点から考察を加えた. (1) 聴覚・コミュニケーション・言語習得, (2) 聴覚活用と言語習得の関係, (3) 聴覚障害乳幼児の音声言語習得上の課題と対応.聴覚障害児の聴覚活用とは, コミュニケーション場面での意味ある聴覚的経験を通して「能動的な聴くシステム」を形成することである.そのための必要事項として, (1) 前言語的コミュニケーション, (2) 語彙習得, (3) 文法習得, (4) リテラシーと談話理解の4つを取り上げ, そこでの課題と対応を明らかにした.なかでも音声言語習得に必要な情報処理として統語構造処理の重要性について述べた.また最大限の聴覚活用をするために視覚を活用することの意義と重要性についても言及した.
  • 中澤 操
    2007 年 48 巻 3 号 p. 263-269
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    聴覚障碍の可及的早期発見は関係者の悲願であったが, 新生児聴覚スクリーニング (以下スクリーニング) がそれを可能にした.早期診断と早期療育は聴覚学習効果に直結する.またコミュニケーションや言語力を高めていくときに, 聴力レベル, 語音聴取能力の個々の違い, 発達障碍の程度, 家庭の言語背景などをも考慮すると, 視覚活用も含めてさまざまな言語モードを併用する療育体制も重要性を増している.これらについての保護者への啓発と専門家の介入が早期から組織的に行われることで, 聴覚障碍児自身の能力向上のみならず, その自己肯定感確立や社会的不利軽減に寄与することこそがスクリーニングの真の恩恵と思われる.
  • 神田 幸彦
    2007 年 48 巻 3 号 p. 270-276
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    人工内耳と聴覚コミュニケーションについて考察した.まず装用閾値と聴覚コミュニケーションについて, 1.日本語音声音圧レベルの測定, 2.音声言語による教育を受けている補聴器小児のデータ, 3.人工内耳施行患者の術前補聴器装用閾値と術後人工内耳装用閾値の平均値などを提示し考察を加えた.さらに音楽を介した聴覚コミュニケーション, 学校での聴覚コミュニケーションに重要なFM補聴システム, 言語発達と聴覚コミュニケーション等について言及し小児人工内耳において術後重要視される点を考察した.コミュニケーションは心理学的には認知および感情に基づくものであり, 人工内耳により聴覚認知を高めるとともに, 小児の心や動機に沿った心理学的アプローチ手法による (リ) ハビリテーションが重要である.
  • 藤木 暢也, 内藤 泰
    2007 年 48 巻 3 号 p. 277-283
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    言語には聴覚言語および視覚言語があり, これらの脳における処理過程は異なる.われわれは, MEGとPETを用いて, 健聴者と人工内耳装用者の言語の中枢処理, さらに高度難聴小児の視覚言語処理について, 検討を行った.MEGでは, 複合音の類型認知は, 聴覚連合野より下位の聴覚路ですでに行われていること, 視覚言語は視覚の背側経路を経て処理されることがわかった.PETによる解析では, 雑音では一次聴覚野しか賦活されず, 会話文で初めて聴覚連合野が賦活された.人工内耳装用者ではそれに加えて, ブローカ野や補足運動野 (言語の出力系) の賦活が見られたが, 人工内耳による聴覚言語の獲得が不十分な場合, 聴覚連合野は聴覚言語入力では活動せず, 視覚入力による賦活が見られた.先天性高度難聴小児では, 聴覚活用の程度が低いほうが, 聴覚連合野が視覚言語情報の処理を行う傾向が強く, また, 聴覚活用の程度にかかわらず, 視覚系の賦活が強く見られた.
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