画像診断法の最近の進歩は著しい.X線CT, MRI, Positron CTなどが, その代表的なものであり, 小児の脳損傷と言語, 行動に関する診断・治療・教育には, 欠かすことができない.解剖学的な異常の同定には, CTよりもMRIの方が優れている.しかし, 両者とも1cmのスライス厚の平均画像で, 実際の脳とは異なることを留意しなければならない.Positron CTは, 脳の代謝異常や変化を知るのに良い方法で, CT, MRIでは明らかにできないような生化学的異常を明らかにすることが可能である.
電気生理学的な診断法の進歩もコンピューターの応用で著しい.特に誘発電位は, 睡眠時でも可能な, 各感覚の神経系に起源を持つものと, 覚醒時に, 被験者に判断行為をさせることで記録する事象関連電位 (ERP) に分かれ, 聴覚, 視覚に関連した障害の診断に臨床応用されている.各種の読字障害の診断に, 電気眼振計で記録する, 文章を読む時の眼球運動の分析も有用である.
小児では, 画像および電気生理学的診断法のような, 他覚的検査法の活用が, 脳障害と言語・行動の理解の鍵である.
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