音声言語医学
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27 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 遠藤 教子, 福迫 陽子, 物井 寿子, 辰巳 格, 熊井 和子, 河村 満, 廣瀬 肇
    1986 年 27 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    一側性大脳半球病変における麻痺性 (運動障害性) 構音障害患者26例 (左大脳半球病変群14例, 右大脳半球病変群12例) および, 正常者13例の発話サンプルについて, 5名の評定者が, 聴覚印象に基づき評価した結果, 以下の知見が得られた.
    1) 今回対象とした麻痺性構音障害群における評価成績は, 正常群とは明らかに異なっており, 話しことばの障害があると判定されたが, 障害の程度は全般に軽度であった.
    2) 障害の特徴は, 仮性球麻痺と類似していたが, 重症度など異なる面もみられた.
    3) 障害側を比較すると, 概して左大脳半球病変群の方が重度の障害を示した.
    4) 病変の大きさと話しことばの重症度との関係は, 明らかではなかった.
    5) 従来, 大脳半球病変による麻痺性構音障害は, 病変が両側性の場合に出現するとされていたが, 今回の結果は一側性病変でも出現し得るということを示唆するものであった.
  • 宮原 卓也
    1986 年 27 巻 2 号 p. 137-146
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    職業的テノール歌手による9種の発声サンプルについて声帯振動の超高速度映画撮影を行い, また平均呼気流率と声の音圧レベルを測定した.発声サンプルはHuslerのアンザッツタイプをもとに選定した.推定体積速度波形, 推定最大体積速度, 最大声門幅, 平均呼気流率, OQ, SQ, SI, 声の音圧レベル, 仮声帯間距離は声の音色によって決定し, 関係づけられるが, その主な結論は次のとおりである.
    1) アンザッツNo.2では声門を強く閉じ, 声門上部を狭くし, 強い呼息圧を用いて発声している.声門下圧, 声の音圧レベル, 推定最大体積速度, 平均呼気流率は大である.
    2) アンザッツNo.3aでは中等度の声門閉鎖と呼息圧を有し, 声門上部をあまり狭くせずに発声している.推定最大体積速度は大であるが, 平均呼気流率は中等度である.
    3) アンザッツNo.3bでは声門を弱目に閉じ, 声門上部を広く開いて弱い呼息圧を用いて発声している.声門下圧は小さいが, 推定最大体積速度は大きく, 平均呼気流率は中等度である.
    4) アンザッツNo.4, No.5ではファルセットの喉頭調節で発声している.推定最大体積速度, 平均呼気流率は低目である.
    5) アンザッツNo.6では声門をかなり強く閉じ, 中等度の呼息圧で発声し, 声の音圧レベルは高い.推定最大体積速度は大きいが, 平均呼気流率は小さい.
  • ―漢字使用の意義について―
    小島 千枝子, 横地 健治, 岡田 真人
    1986 年 27 巻 2 号 p. 147-156
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    言語発達遅滞から, 読字書字の困難を主とした学習障害に発展した1例を報告した.症例は13歳男児.妊娠, 分娩, 新生児期著変なし.運動発達は正常.幼児期前半は, 発語は少なく, 聴覚的理解も悪かった.学童期に入り, 読字書字が困難で学業が不振であった.11歳初診時, 知能は言語性と動作性で差があった (WISCでVIQ66, PIQ110) .仮名文字の読字書字に困難を示し, 音韻抽出能力にも問題があった.音韻と文字を対応させるかたちでの仮名文字訓練を行ったが, 習得が困難であったため, 表意文字である漢字の訓練に切り替えたところ習得が良好であった.本症例においては, 意志伝達手段の確立のために, 漢字を用いることが有効と思われた.
  • 牟田 弘, 福田 宏之, 佐藤 学, 高山 悦代
    1986 年 27 巻 2 号 p. 157-167
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    喉頭の発声機能を評価する指標の1つとして, 必要最小限の話声をどの程度楽な呼気により発声可能であるか (Flow Performance) を表すI/F指数を提唱した.これは, あらかじめ把握した被検者の話声と同様な高さと強さの持続母音/o/ (無関意発声) を, 検者が努めて誘導し, そのときの声の強さのレベルから基準値 (60dB S.P.L.) を減じ, これを平均呼気流率で割った値である.
    この指標が, 平均呼気流率, 最大発声持続時間, 垣田の音声波―呼気流指数など他の指標と比較して, 喉頭の発声機能をどの程度正確に反映しているかを検討する手法として, 音声障害をきたした喉頭疾患151症例に対して, スクリーニング検査にこれらの指標を利用したと仮定した場合の, retrospectiveなfalse negative率を比較検討した.
    この結果, I/F指数が男女とも最も低いfalse negative率を示し, これら対象とした音声障害例の病態を最も良く反映していることが示唆された.
  • 阿部 博香, 米川 紘子, 太田 文彦, 今泉 敏
    1986 年 27 巻 2 号 p. 168-177
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    嗄声の聴覚心理的評価“GRBAS”尺度を用いた評定の再現性について検討した.正常サンプル8例を含む98の音声サンプル/e: /を6名の聴取者におのおの5回ずつ評定させ, 聴取者間および聴取者内の変動を調べた.
    その結果, 聴取者・尺度あるいは音声サンプルによって再現性に差があった.一部の聴取者では, たとえば“G”の評定では試行間の相関係数が平均0.87と高く, これは比較的経験の多い聴取者であった.尺度については“C”や“B”で高く“A”では低かった.また, 各尺度についてその性質が極めて強いあるいは弱い音声サンプルでは再現性が高いが, そうでないサンプルでは必ずしも高いと言えなかった.“G”の評定と相関の高い尺度は“R”, “, B”, “S”のいずれかで, “A”との相関はどの聴取者でも最も低かった.
    以上のことは, 聴取者によって尺度の解釈や内的基準が統一されていないことを窺わせ, これらに対する具体的対策が求められる.
  • 19世紀中葉より日本音声言語医学会誕生 (1956) までの約100年間について
    切替 一郎
    1986 年 27 巻 2 号 p. 178-189
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    わたくしは音声言語医学の源流を, 19世紀中葉に求めたい.
    その頃, Helmholtz, BrocaやWernickeなど多数の学者が出現して, 聴こえ, 声や言葉, その障害について重要な発見をした.
    1854年にGarciaは喉頭鏡を発明して, 初めてヒトの生きた喉頭を観察, つづいてCzermakはこれを臨床に応用した.この頃から医学は一層進み, 細かい分野に文化した.
    音声言語医学も専門分化して, その主導者であったベルリンのGutzmannのところには多数の俊秀が集まった.1911年にはウィーンのFr隸schelsは耳鼻咽喉科学教室のなかに音声言語障害患者のための専門クリニックを開設し, これが1924年にIALPの創立される基となった.
    それより45年遅れて日本では颯田琴次の提唱により日本音声言語医学会が発足した.
  • 田中 美郷
    1986 年 27 巻 2 号 p. 190-192
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 福迫 陽子
    1986 年 27 巻 2 号 p. 193-195
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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