音声言語医学
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48 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 見上 昌睦
    2007 年 48 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    発話困難の意識があり重症度の高い発吃3歳3ヵ月, 初診時年齢5歳1ヵ月の男児1例に対して環境調整, 遊戯療法とともに流暢性を促すために以下の直接的言語指導による治療を実施した.1) ゆっくり, ひき伸ばし気味の発話 (カメの玩具を動かして) , 2) タッピング (蛙の玩具を弾ませて) , 3) 柔らかな起声・発話: 吸気後に呼気にのせて軟起声で, ゆっくりと母音部をひき伸ばし気味に発声・発話 (発話困難な語音に焦点を当てて実施) , 4) 自由会話.言語指導終了後, 遊戯療法に並行して母親面接を実施し環境調整を図った.家庭でも本言語指導を実施してもらった.本治療を通して, 指導および家庭場面の吃音症状は顕著に改善した.また工夫・回避反応は消失した.吃音の進展した幼児に対する遊戯的要素を取り入れた直接的言語指導に焦点を当てた治療の効果が示唆された.さらに, 言語指導と遊戯療法を組み合わせて実施することの効果も示唆された.
  • 本間 縁, 今泉 敏, 小澤 由嗣, 丸石 正治, 村中 博幸
    2007 年 48 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    言語的意味が肯定的または否定的なフレーズを喜びまたは憎しみを込めて発話した音声を使用し, 成人男女を対象に音声から発話者の気持を推測する課題 (気持ち推定課題) , 発話者の気持とは関係なくフレーズの言語的意味を判断する課題 (言語課題) を行っているときの脳活動をfMRIで観測し, 背内側前頭前野が音声コミュニケーションに果たす機能および性差を考察した.その結果, 両課題とも左背内側前頭前野が活動し, 気持ち推定課題では, 女性被験者に比較し男性被験者のほうが右背内側前頭前野の活動が有意に強かった.反応時間は両課題とも男性のほうが長かった.音声の感情属性と被験者の判断の一致率には, 気持ち推定課題でのみ性差があり, 男性のほうが低かった.背内側前頭前野は発話者の気持を推測する機能に関与し, 活動レベルの性差が発話者の気持の推測過程の性差に対応することが示された.
  • 若島 睦, 能登谷 晶子, 金塚 智恵子, 丸山 裕美子
    2007 年 48 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    一側の軟口蓋麻痺により一過性に鼻咽腔閉鎖機能不全を呈した7歳女児と6歳男児について開鼻声と構音障害の経過を報告した.2例とも開鼻声と鼻腔への飲み物の逆流が生じたが, 数週間でほぼ完治した.原因は6歳男児でウイルス感染が推察されたが, 他の1例については不明であった.2例とも鼻咽腔閉鎖機能は回復した.
  • 室野 亜希子, 能登谷 晶子, 井上 克己
    2007 年 48 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    自閉症に知的障害を伴う27名を対象に, コミュニケーション行動の獲得と新版K式発達検査 (以下K式) との関連を検討した.〈S-S法〉のコミュニケーション態度チェックリストでは, 症例による差が得られにくい結果となった.そこで, コミュニケーション行動を3側面にわけ, それぞれ5段階で評価するリストを作成した.その結果, 5段階評価によるチェックリストでは, コミュニケーション行動の獲得の変化が捉えられた.K式の言語・社会の項目とコミュニケーション行動の発達には関係がなかったが, 認知・適応項目との間に関係があった.また, コミュニケーション行動の獲得には, 他者や物に注目するか否かといった, 認知の前段階ともいえる面の発達への関与が示唆された.さらに, コミュニケーション行動で改善が見られたものは, コミュニケーション手段の獲得も可能であることが示され, 重度例でのスモールステップの評価リストの有用性が示された.
  • 2007 年 48 巻 1 号 p. 36-75
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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