聴覚障害児に対する従来のハビリテーションを検証し今後を見通すために, 診断から成人まで経過を追い記録の残る症例 (男16, 女22, 26±4.5歳, 81.9±22.0dB) から質問紙法 (N=38) と面接法 (N=21) で資料を得た.その結果多くが統合教育を経験し高卒後進学, 職種は多様であった.7割が言語性で標準以上であったが6割弱で動作性より劣り, 重度 (90dB~) の半数で言語性, 読書力とも低かった.中等度 (70dB未満) , 高度 (70dB~) は発話明瞭だが口形提示等の配慮を要す例があり, 重度は明瞭度が低く書字の使用が必須と推察された.障害認識は重症度で異なり, 中等度で高卒後の勉学・就業の場で問題を認識する例が, 高度で障害認識が自他ともに不十分で軋轢を生じる例が, 重度で手話を通じて同障者と交流し転機を得た例が認められた.重度例のリテラシー習得, 言語獲得後のコミュニケーション・情報障害への対応が課題であり, 医療機関は長期的展望で支援すべきと思われる.
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