音声言語医学
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41 巻 , 4 号
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  • 進 武幹
    2000 年 41 巻 4 号 p. 320-329
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    咽頭期嚥下の神経機序についてわれわれの研究発表を中心に述べた.
    嚥下の惹起に必須である咽喉頭粘膜の知覚受容機構は自由神経終末, 味蕾, 数珠状神経終末が広く分布し, これらの神経の起源は上喉頭神経および舌咽神経である.
    これらの両神経の中枢投射は延髄の弧束核の間質亜核に収束されている.咽頭期嚥下は反射性に惹起されるが, これらは延髄のパターン形成により制御され, 嚥下関連ニューロンは弧束核のtype Iニューロン, 小細胞性網様体のtype IIニューロン, 疑核のtype IIIニューロンに分類された.
    神経機序からみた嚥下障害の病態は皮質延髄路の障害による嚥下惹起遅延型, 脳幹の障害すなわち嚥下のパターン形成障害による嚥下停滞型, 咽頭期嚥下惹起不全型に分類し病態について考察を加えた.
  • 小島 好雅, 加我 君孝
    2000 年 41 巻 4 号 p. 330-334
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    高度混合性難聴を有する成人の1例について言語面, 心理面を中心に検討し, 治療に関わる問題について考察した.症例は29歳の男性で, 診断は小耳症, 外耳道閉鎖症, 中耳奇形である.聴力障害で当センター入所となり, 入所時の耳鼻科検診で混合性難聴であることが判明した.平均聴力は右81dB, 左84dB, 1000Hzの気骨導差は右耳55dB, 左耳65dBであった.音声言語面の障害について精査を行ったところ, 読書力偏差値は中学校3年3学期レベルに換算すると偏差値55であった.言語性IQは94, 動作性IQは103, 全検査IQは97であった.構音検査では軟口蓋破裂音や歯~歯茎摩擦音, 硬口蓋歯茎摩擦音, 硬口蓋摩擦音, 硬口蓋歯茎破擦音の口蓋化を認めた.本症例は手術を希望しなかったが, その理由として, 1) 聴力が改善するとこれまでの生活が無駄になるという考え方, 2) 外耳道形成後に生ずる可能性のある耳漏の問題, 3) 聴力の回復を強くは希望していないという点, 4) 症例に聴力が回復した状態を理解してもらうことが困難, といった問題があげられた.先天性聴覚障害とこれに伴う言語面, 心理面の問題をもっ成人例に聴力改善手術の適応を検討する場合, 聴力が改善した後も言語面, 心理面の問題は依然として残存することが予想され, 慎重な対応が必要と考えられた.
  • 岩田 まな, 佃 一郎
    2000 年 41 巻 4 号 p. 335-341
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    1年以上当科でcommunication治療を継続した143例中, 学齢以上の段階でspeechが獲得できていない自閉症児24例について, その原因を推測した.
    (1) 全くspeechのない自閉症児群は24%, speechはあってもcommunicationがとりにくい症例を加えると約40%であった.
    (2) 全例に知能の遅れが認められ, speech獲得の大きな阻害要因と考えられた.しかしその中でも, 知能障害が特に強い群と, 自閉症状が前面に出ている群に大別できた.
    (3) 知能障害が強い群の中には大頭, C.P., 脳波異常をもつ症例および染色体異常, フェニールケトン尿症の疑いのある症例が含まれていた.
    (4) 発語失行を疑う症例が3例あった.
    (5) 状況判断の困難, 意思表現の困難など基本的communication能力が不十分なため, 自傷, 他害をもつ症例が半数以上を占めた.
  • ―超音波断層法による観察 (第二報) ―
    石毛 美代子, 阿部 雅子, 新美 成二
    2000 年 41 巻 4 号 p. 342-351
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    側音化構音の構音動態を超音波断層法とダイナミックパラトグラフにより観察した.右側口角から呼気が流出する4症例において舌後方の舌縁に構音点と考えられる動きを認めたことをすでに報告したが, 今回はこれら4症例の構音訓練前後の構音動態と新たに左側口角から呼気が流出する1症例の観察を行った.
    その結果, 側音化構音となっている破裂音, 破擦音では音産生に先立って舌が挙上し, 音産生時に舌後方の呼気流出側の舌縁が急速に下がること, 母音や摩擦音では音産性時に同部位が下がることが認められた.訓練後の正常構音では舌後方の舌縁の動きはほぼ左右対称であった.ダイナミックパラトグラフでは, 側音化構音時は舌が硬口蓋の中央部にまで接触していたが, 訓練後の正常構音では硬口蓋中央部へは接触していないことが観察された.
    以上の結果から側音化構音の音は呼気流出側の舌後方の舌縁で作られ, 音および呼気は頬部と歯列の間から口腔外へ出るものと考えられた.
  • 前新 直志, 山田 好秋, 磯野 信策
    2000 年 41 巻 4 号 p. 352-364
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    心理的要因は, 話しことばの速度, リズム, 流暢性と密接に関連している可能性がある.内的側面としての「精神テンポ」と吃音症状としての「発話エラー」の関連性を検討するために, 8名の吃音自覚者および21名の吃音無自覚者に対して文章音読とフィンガータッピングによる「精神テンポ」, 心理的負荷条件時として「条件付精神テンポ」を計測し, その速度および安定性 (ゆらぎとする) について, 吃音自覚の有無, 発話エラー, それぞれの関係を検討したところ, 次の知見を得た.
    (1) 精神テンポの速度は全被験者で心理状態によって変化しやすい傾向にあるが, 個体差が大きく吃音者に特異な傾向があるとは考えにくい. (2) 精神テンポのゆらぎについて条件付精神テンポとの比較から吃音自覚者で8人中6人 (75%) , 吃音無自覚者で21人中4人 (19.0%) に教示による変動が認められ, 吃音者の固体内恒常性は低い可能性が示唆された.また (3) 4名の吃音者について, 精神テンポの安定性が吃音無自覚者の平均から大幅に外れ, 特異的な傾向にあることが示唆され, さらに (4) 精神テンポの安定性と発話エラーを比較した時, 群内での統計的な相関は得られなかったが, 4人の吃音自覚者の値から精神テンポの安定性は, 発話エラーというよりも吃音に対する心構えによる部分が大きい可能性が示唆された.
  • ―第一報: 直音と拗音の比較および母音の分析を中心として―
    西尾 正輝, 新美 成二
    2000 年 41 巻 4 号 p. 365-370
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    Dysarthria患者58例を対象として構音の明瞭性について分析を行い, 主に以下の結果を得た.
    1) 直音と拗音の比較では, いずれの重症度群ならびにタイプにおいても, 直音の正答率が有意に高値を示した.
    2) 母音と子音の比較においては, いずれの重症度群ならびにタイプにおいても, 母音の方が高かった.
    3) 母音の音素別分析では, いずれの重症度群においても/a/で最も高く, 前舌母音である/e/と/i/で低下する傾向がみられた.タイプごとの分析では, 運動麻痺を特徴とするタイプと麻痺を特徴としないタイプで傾向が異なった.
    4) 母音の異聴傾向では, /i/は/e/に, 逆に/e/は/i/に置換されやすい傾向がみられた.
    以上の結果に基づいて, dysarthriaにおける構音治療について検討を加えた.
  • ―第二報: 子音の分析―
    西尾 正輝, 新美 成二
    2000 年 41 巻 4 号 p. 371-378
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    Dysarthria患者58例を対象として子音の構音の明瞭性について分析を行い, 以下の結果を得た.
    1.構音方法別分析では, いずれの重症度群ならびにタイプにおいても, 通鼻音と摩擦音で正答率が比較的高く, 破裂音, 破擦音, 弾音で比較的低い傾向がみられた.
    2.構音点別分析では, ほぼいずれの重症度群ならびにタイプにおいても, 6種の音種間で有意差を認めなかった.
    3.有声音と無声音の比較では, ほぼいずれの重症度群ならびにタイプにおいても無声音の方が正答率が高かった.
    4.音素別分析では, 音素によって68.39%~30.08%と著しい差がみられ, 特定の異聴傾向が認められた.
    以上の結果にもとついて, dysarthriaにおける構音治療について検討を加えた.
  • 加藤 高志, 福田 宏之
    2000 年 41 巻 4 号 p. 379
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 山口 宏也
    2000 年 41 巻 4 号 p. 380-384
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    声帯溝症の音声訓練に関して米国の34人の言語療法士にアンケート調査を行った.軽度症例にはカウンセリング, 高度症例には音声外科と音声訓練の連携治療という傾向がみられた.音声訓練の方法としては声の濫用の除去, 声の配置法, 呼吸法の訓練が主であった.4人の中等症例に声の配置法を行った結果, 聴覚印象で気息性, 努力性の成分の減少, 声門間隙の狭小化, 仮声帯発声の軽減などが認められ, この訓練法の有効性が示唆された.
  • 部坂 弘彦
    2000 年 41 巻 4 号 p. 385-388
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    声帯溝症に対するアテロコラーゲン注入の目的は, 声帯の粘膜波動を再出現させることにより今までより良好な音声を獲得することにある.一側性反回神経麻痺の場合は, 麻痺側声帯筋層内に反復注入することにより音声改善を得られる場合が多い.しかし声帯溝症においては筋層内に注入してもコラーゲンの蓄積は少なく, 嗄声が改善せず治療の限界を感じている.これは声帯の運動麻痺がないため, 発声, 嚥下時の筋肉運動収縮によりコラーゲンが拡散するものと推測される.また粘膜下注入しても緊満化するだけで注入後コラーゲンが白色状に残存するが, 声帯の粘膜波動が再出現しないため自覚的音声の改善は少ない.しかし, 粘膜下注入した例はその白色部分が残存することに注目し, 健側声帯の粘膜下に注入してみると非常に良好な音声が長期間持続する症例を経験している.今回動物実験の結果とともに声帯溝症に対するアテロコラーゲン注入の適応について報告する.
  • 田村 悦代, 北原 哲, 甲能 直幸, 古川 太一, 北川 洋子
    2000 年 41 巻 4 号 p. 389-394
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    声帯溝症に対するvocal rehabilitationは, きわめて困難といわれてきたが, 対症的に声帯の容量を増加させ, 新たな声帯遊離縁を作る方法の一つに声帯内注入術がある.われわれは自家脂肪を注入物質として用い, 良好な結果を得たのでその詳細について報告するとともに, 声帯内脂肪注入術における今後の改良点と声帯の溝に対するアプローチに関する検討も加えた.
    2例の声帯溝症症例に対して, 全身麻酔下に, 経皮的自家脂肪注入術を施行し, 術後の音声の評価を行った.術後音声は, 自覚的, 他覚的に改善した.しかし, 注入術は, 注入後の脂肪吸収による効果の持続に問題があり, 移植術も考慮すべきであることや, 溝に対する直接的なアプローチとして, 溝を切徐術し, トラニラストを投与することも, 音声のなお一層の改善に寄与できる実験結果を示した.
  • ―I+III型の実際と有茎真皮移植の実験報告―
    田中 信三, 田辺 正博
    2000 年 41 巻 4 号 p. 395-399
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    中等度~高度の嗄声を伴う声帯溝症例3例に甲状軟骨形成術I+III型を行った.本法は, 甲状軟骨翼を縦に切離して外側の断端を内前方に落とし込み, 声帯を内方へ圧迫するとともに喉頭の前後径を短縮させる手術である.いずれも, 術後は, 声門閉鎖不全が改善し自覚的に音声の改善が得られたが, 他覚的な聴覚印象では嗄声の改善は軽度であった.
    声帯溝の高いスティフネスに起因する声帯振動障害を改善するために, 甲状軟骨形成術を応用して, 前頸部の真皮を有茎で声帯粘膜下に移植する手術を考案した.摘出喉頭による実験では, 甲状軟骨を大きく開窓することで, 声帯靱帯や披裂軟骨声帯突起に容易く到達でき, 移植組織の縫合固定も可能であった.
  • ―声帯内側頭筋膜自家移植―
    角田 晃一
    2000 年 41 巻 4 号 p. 400-402
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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