音声言語医学
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49 巻, 1 号
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  • 福島 邦博, 川崎 聡大
    2008 年 49 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2008/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    聴覚情報処理障害 (Auditory Processing Disorder: APD) とは, 末梢聴力には明白な難聴を呈さないが, 中枢性聴覚情報処理の困難さによって難聴に似た症状を呈する状態である.しかし, APDの疾患概念は比較的新しく, 臨床場面での具体的な診断および介入方法には若干の混乱も見受けられる.本稿では, 自験例のAPD症例について報告し, この疾患の診断を中心に概念と介入方法についても概説する.提示した症例は, 初診時11歳8ヵ月の女児で, 騒音下で会話が聴き取れないことを主訴とし本院来院となった.画像所見では, 両側側頭葉後部内側の局所脳血流量の低下を認め, DLTでは単音節, 単語とも正答率の有意な低下と顕著なREA傾向を認めた.CSTではS/N 0 dBで受聴困難であった.APDの診断のために, 他疾患の除外診断と画像診断, 聴覚的検査を併用することが必須であるが, 日本語の特性に根差した診断および介入方法を確立するためには, 今後の研究の進展が望まれる.
  • 山本 真由美
    2008 年 49 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2008/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    平成16年4月から平成19年3月までの3年間に, 市立砺波総合病院において入院治療を受けた患者のうち, 廃用による摂食嚥下障害が認められ, 摂食嚥下訓練が行われた廃用症候群患者30名を対象として, 摂食嚥下訓練の効果を調査し, その効果に影響する因子について分析した.
    摂食嚥下訓練として, 筋力向上訓練と嚥下機能向上訓練を行った.
    訓練前は全例が絶食状態だったが, 訓練により30名中23名 (76.7%) が摂食可能となりおおむね良好な効果が得られた.
    摂食嚥下訓練の効果に影響しうる因子として, 性別, 年齢, 発症・手術から訓練開始までの期間, 訓練期間, 認知症の有無, 入院前の身体機能, 退院時の身体機能, 入院前と退院時の身体機能の変化, 空嚥下の9項目について分析した.訓練効果に影響する因子は, 空嚥下の程度 (p=0.015) のみで, 空嚥下のできなかった患者では半数以上が経口摂取不能であった.摂食嚥下機能障害を早期に評価して, 特に空嚥下が起こらなくなる前の訓練介入が有効と思われた.
  • ―下顎歯列弓拡大後の変化について―
    和田 満美子, 阿部 雅子, 松崎 雅子, 森 良之, 須佐美 隆史, 高戸 毅
    2008 年 49 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 2008/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    小舌症と小下顎症を伴う症例 (23歳, 女性) に対して, 術前および術後の歯科矯正治療と下顎歯列弓狭窄に対する拡大手術による外科的矯正治療を行い, 治療過程の構音の変化と咀嚼機能について検討した.
    1.構音検査では, 治療前と同様に/t, d, n, r/は舌と口蓋後方でつくられる口蓋化構音に近い歪み音, /s, dz, ts/は上顎前歯と下口唇で音がつくられる/f, v, pf/に近い歪み音であった.構音動態としては, 治療前と比べ構音位置や構音方法に明らかな差は見られなかった.
    2.語音発語明瞭度は, 術後6ヵ月で低下したものの, 術後1年3ヵ月で治療前とほぼ同程度にまで改善していた.治療過程で口唇音や母音の異聴が一時的に増加したが改善し, 異聴傾向としては治療前とほぼ同様であった.
    3.文章了解度は, 術後6ヵ月で低下したものの, 術後9ヵ月で治療前とほぼ同程度にまで改善していた.
    4.咀嚼機能にも改善が見られた.
  • 磯貝 仁美, 伊藤 裕之, 小泉 千秋, 森田 智之
    2008 年 49 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2008/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    症例は, 拡張型心筋症・気管支喘息の既往があり, 呼吸困難を起こした後, 気管内挿管され低酸素血症・嚥下障害をきたした63歳の男性である.嚥下障害は軽度であったが, 咽頭食道透視検査で誤嚥を認めた.高次脳機能障害が疑われ, 神経心理学的検査を試みたところ, 記銘力や理解力の低下を認めた.嚥下障害に対しては, 理学療法を主とした間接的機能訓練を行った.機能訓練を行う理学療法士が食事に付き添い, 厳重な管理下で経口摂取を行った.その結果, 自分自身で下咽頭に貯留した食物残渣を喀出するなど自己管理ができるようになった.咽頭食道透視検査で誤嚥がなくなり, 3食経口摂取が可能となって退院にいたった.記銘力・理解力が低下している場合でも, 神経心理学的所見を含め, 臨床像から問題点を明らかにして機能訓練を進めることが必要であると考えた.
  • 2008 年 49 巻 1 号 p. 32-80
    発行日: 2008/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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