目的: 難治性声門閉鎖不全疾患に対する自家脂肪声帯内注入術の効果を検討する.
方法: 声帯溝症4例, 術後瘢痕および喉頭外傷3例に対して声帯内注入術を施行した.術前後に, ビデオストロボスコピーによる粘膜波動の状態および空気力学的検査を施行した.
結果: 術後, 発声時の粘膜波動の改善が認められた.また, 多くの例で, 最長発声持続時間が延長し, 発声持続時間が延長しなかった例でも, 自覚的な発声しやすさが得られた.
結論: 声帯内脂肪注入術は, 声帯溝症などの難治性声門閉鎖不全疾患のリハビリテーションとして効果があると考えられた.
しかし, 術後瘢痕例では, 注入後の効果が十分に得られなかった例もあり, 注入以外の粘膜の補正も考慮すべきであると考えられた.なお, 注入後の効果の持続期間については, 今後の経過観察および検討が必要と思われた.
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