音声言語医学
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31 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • Masako Fujiu, André-Pierre Benguerel
    1990 年 31 巻 4 号 p. 363-372
    発行日: 1990/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    A Computer-Assisted Speechreading Training system for Japanese (CAST-J) has been designed to train adults with an acquired hearing loss to improve their communicative ability with an effective use of visual speech information. Adults with cochlear implants are the primary target population for CAST-J, as long as they the auditory channel as their primary source of information for speech perception.
    The lessons of CAST-J are organized around the concept of viseme. Fifteen visemes of Japanese have been selected for this study : five vowel, seven consonant, and three haku (mora) visemes. There are sixteen lessons, each of which includes sections designed (1) to review previously taught visemes ; (2) to practice the recognition of a new viseme ; (3) to practice new and old visemes by the tracking method ; and (4) to recap the lesson. Two additional lessons are available for pre-and post-training comparison.
    The hardware required by CAST-J includes a microcomputer, a video disc player, a high resolution video monitor, and a printer. The system, with its interactive environment, allows the instructor and/or the trainee to select the appropriate speaking rate (fast or slow) for the video, to practice speechreading with or without audio signal, and to skip the optional lessons or part of a lesson, depending on the level of the trainee.
  • ―臨床像と文字言語の獲得―
    北野 市子
    1990 年 31 巻 4 号 p. 373-380
    発行日: 1990/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    モヤモヤ病による重篤な麻痺性構音障害を呈した幼児2症例の臨床的特徴と文字言語の獲得について, 若干の考察を行った.臨床的特徴としては, (1) 本症例の口腔器官の麻痺は摂食機能を含む広範なものである, (2) 口腔器官の麻痺は長期にわたって残存し, 改善がみられなかった, (3) 麻痺の持続により顎口腔形態に変形が生じている, (4) 構音運動はほとんど不能で, 母音様発話と筆談による意志伝達が主である.
    本症例の言語訓練の内容として早期の文字導入を試みた.その結果, 両例とも音声言語の補助手段として文字言語を使用するに至った.そして文字想起時に発声して想起しようとする行動がみられた.このことから, 文字の習得にとって構音の確立はかならずしも必要ではなく, むしろ構音活動の企画過程に含まれると思われる, 文字に対応した固有の神経機構の形成が重要なのではないかと推察された.
  • ―耳鼻咽喉科医に対するアンケート調査報告―
    川崎 順久, 福田 宏之, 酒向 司, 塩谷 彰浩, 辻 ドミンゴス 浩司, 高山 悦代, 蓼原 東紅
    1990 年 31 巻 4 号 p. 381-387
    発行日: 1990/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    小児声帯結節の治療方針について, 全国の耳鼻咽喉科医62名を対象にアンケート調査を行った.その結果, (1) 60名中55名が小児声帯結節は男児に多いと回答した. (2) 治療方針は保存的治療, 経過観察, 希望があれば手術を行う, の順に多かった. (3) 積極的に手術を施行しない理由として, 再発しやすいから, 自然治癒しやすいから, との回答が多かった. (4) 手術を行う場合, 96.9%が入院のうえ, 93.8%が挿管全身麻酔によるラリンゴマイクロサージェリーを施行すると回答した. (5) 以上の結果から, 小児声帯結節の治療方針として, まずは保存的治療あるいは経過観察を行うという意見が大半を占めたが, 音声外科を専門としない耳鼻咽喉科医の間では本疾患の自然治癒に関する認識は不十分であった.
  • 遠藤 教子, 福迫 陽子, 河村 満, 塩田 純一, 正木 信夫, 廣瀬 肇
    1990 年 31 巻 4 号 p. 388-396
    発行日: 1990/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    脳梁の梗塞性病変により症候性吃音をきたした症例を報告した.
    (1) 症例は56歳, 男性, 会社員, 左利きを矯正した両手利きであり, 吃音の既往はなかった.脳梗塞により, 左不全運動麻痺およびspeech dysfluencyが出現した. (2) dysfluencyの内容は, 語頭の音・音節の繰り返しが主であった.適応効果, 一貫性, 随伴症状はいずれも認められなかった. (3) speech dysfluencyは, 発症後5カ月でほとんど目だたなくなった. (4) X線CTおよびMRIから, 本症例の主病変は脳梁であることが明らかであった. (5) 本症例のspeech dysfluencyを早口症 (cluttering) , 同語反復症 (palilalia) などとの鑑別により症候性吃音と診断した.あわせて, speech dysfluencyの鑑別診断の着目点について検討を加えた. (6) 他の言語障害を伴わず単独に生じた症候性吃音 (acquired stuttering) の文献例をまとめ, その症状, 病変部位などについて検討した.
  • 岩田 誠
    1990 年 31 巻 4 号 p. 397-403
    発行日: 1990/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 田中 美郷, 進藤 美津子, 橋本 佳子, 加我 君孝
    1990 年 31 巻 4 号 p. 404-411
    発行日: 1990/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    失語症者のコミュニケーション障害は2つの異なった側面から考察しうる.すなわち, ひとつは聴覚検査, 言語学的検査, 神経心理学的ならびに神経学的検査などの客観的テストによって評価できる障害であり, もうひとつはコミュニケーションの根本をなす心理学的ないし主観的側面である.
    本研究では, 感覚性, 運動性ないし混合性失語症を有する43名の成人患者を対象にした.これらの患者は脳のCTまたはMRI, 純音聴力検査, 言葉の認知検査, トークンテスト, SLTAなどを受けた.また患者自身, その家族および言語治療士にはそれぞれの立場で, 失語症およびコミュニケーション障害の程度を本目的のために作成した評価尺度に基づいて評価してもらった.得られた結果は, (1) 失語症およびコミュニケーション障害の重症度の評価は3者それぞれかならずしも相関していなかった.一般に, 患者は自分の障害を重くみる傾向がみられた. (2) 患者の供述によると, コミュニケーション障害は緊張状態におかれるといっそう増強し, このような事態は言語治療の場合ですらも生じている.
    本研究から得た結論は, コミュニケーションの芯をなすものは言語ではなく「こころ」であり, 言語はコミュニケーションの道具以外の何ものでもないということである.
  • ―長期経過をふまえて―
    佐野 洋子
    1990 年 31 巻 4 号 p. 412-425
    発行日: 1990/10/25
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    失語症者が真に求める援助とは何かを探る目的で, 失語症者の長期経過の追跡調査を行った.対象は発病後3年以上 (平均8.9年) を経過した失語症者141名 (男118名, 女23名) である.調査結果からつぎのことが示唆された.
    (1) 発症年齢により, 原因疾患の構成が異なり, 脳損傷の様態に差が生じる.ひいては, 失語症のタイプにも差がみられた.
    (2) 発症年齢が若年の場合, 失語症の改善幅は, 高年齢群に比べて明らかに大きい.
    (3) 141名中44名 (31.2%) が職業を得ているが, 55歳未満発症例でも, 就業できなかったた例が半数にのぼる.
    (4) 発症後長期間たってもなお, 失語症状に対する障害受容は困難な症例が多い.
    (5) 失語症者への援助においては, 失語症者の発症年齢, 脳損傷の状態などから予後を適正に予測し, またおかれている社会的状況に応じた個別プログラムが立案されるべきである.援助の実行には, 医療の枠を越えた幅広い社会の支持が必要である.
  • 編集委員会
    1990 年 31 巻 4 号 p. 426
    発行日: 1990/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 小池 靖夫
    1990 年 31 巻 4 号 p. 427-430
    発行日: 1990/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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