CODAにおける親への通訳役割は,情報伝達に止まらず親と社会との仲介役を担いCODAの心理的発達に影響を与える.CODAは,青年期の葛藤を経て成人期には親から心理的に自立するが,自立時期に長期を要する場合が見られ寄与する要因について数量化II類を用いて解析した.CODA 23名を対象に,目的変数を自立時期とし,22歳以前の自立例を通常自立群(18例),以降を後期自立群(5例)とした.説明変数は,著者らの研究1(面接調査)と研究2(心理尺度)結果から11項目を設定した.
CODAの心理的自立時期の長期化と関連の強い要因は,青年期に戸惑いと不満感情が低値であること(p<.01),児童期に親を擁護する気持を有すること(p<.05),同胞との通訳役割分担がないこと(p<.05)であった.相関比.77,判別的中率100%であった.親への通訳役割を背景としたCODAの親を擁護する認識は,年齢不相応な責任感を生起させ,青年期の戸惑いと不満感情が抑制されて心理的自立が長期化すると考えられた.
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