音声言語医学
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40 巻, 2 号
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  • 浮田 弘美, 阿部 和夫
    1999 年 40 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    進行性非流暢型失語症例の呼称能力が初診時 (発症後5年目) から3年後までの3年間にどのように変化していったかを検討した.呼称能力検査には100単語呼称検査を用いた.その結果, 初診時は正答率60%であったのが, 39%, 25%, と次第に低下していき, 3年後には15%となった.本症例の誤反応は無反応・語性錯語・字性錯語・保続・不明語に分けることができた.無反応は全検査で認められ, その割合は常に一番高かった.語性錯語も数は少ないが全検査に現れた.しかし, 字性錯語は2年後に, 不明語や保続は3年後になって初めて出現した.また, 語頭音ヒントの有効性が顕著に低下したのは2年後からであった.なお, 初診時から3年間, 発声発語器官に器質的な異常はまったく認めなかった.以上より, 本症例の呼称能力は単に正答数の減少という量的な変化だけでなく, 誤反応の変化にみられたように質的な変化も起こっていることが明らかとなった.
  • ―Palatal Lift Prosthesis (パラタルリフト) 作成過程に伴うnasalance scoreの変化―
    舘村 卓, 平田 創一郎, 福本 雅美, 和田 健
    1999 年 40 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    鼻咽腔閉鎖不全症に対する継続的治療の効果をnasometer (ナゾメータ) によって判定する上での注意点を, 口蓋形成術後鼻咽腔閉鎖不全症のためにPalatal Lift Prosthesis (パラタルリフト) の装着を必要とした3症例を対象に, 作成段階ごとのnasometryと鼻咽腔内視鏡により検討した.内視鏡所見上, 嚥下以外の活動において実質的な面積を有して閉鎖不全状態を認める間は, nasometryの結果と内視鏡上での狭小化の所見は対応していた.しかしながら, 境界線上の不全状態に達した段階でのnasometryの結果は内視鏡所見と乖離した.この段階では鼻咽腔閉鎖平面にbubblingを認め, 鼻雑音が聴取されたことから, 結果の乖離は鼻雑音による鼻腔音響エネルギの上昇によると考えられ, 境界線上の閉鎖不全状態でのnasometryの解釈に注意を要することが示された.
  • ―健常者での軟口蓋挙上に伴う口蓋帆挙筋活動領域の変化―
    舘村 卓, 野原 幹司, 和田 健, 藤田 義典
    1999 年 40 巻 2 号 p. 114-119
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    スピーチエイドの装着により, 発音時の口蓋帆挙筋活動が最大筋活動の40%以下になり, 鼻咽腔閉鎖機能の予備能が大きくなる現象が鼻咽腔の物理的狭小化による結果であるかについて健常者を対象に検討した.被験者ごとに作成したPLP (Palatal Lift Prosthesis: 軟口蓋上装置) を用い, 非装着時・装着時における最強blowing活動および発音活動での口蓋帆挙筋活動を調べ, 筋活動領域についてANOVAにより検討した.その結果, 健常者においてもPLP装着時には, 装着時・非装着時を通じて得られた最大筋活動を上限として決定される筋活動範囲の低い領域に筋活動領域が移行し, 鼻咽腔閉鎖不全症例におけるスピーチエイドによる予備能の増大は, 鼻咽腔の物理的狭小化に伴う非特異的現象であることが明らかとなった.すなわち, スピーチエイドの鼻咽腔閉鎖機能の賦活効果の生理学的背景に, 鼻咽腔の物理的狭小化による必要運動量の減少が関与することが示唆された.
  • ―構音の代償動作と可塑性について―
    立本 圭吾, 鈴木 敏弘, 久 育男, 桑原 直子
    1999 年 40 巻 2 号 p. 120-125
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    左顔面, 舌ならびに下歯槽動脈および内頸動脈から海綿静脈洞に達する巨大な動静脈奇形 (AVM) の7歳女児症例を治療する機会を得た.外頸動脈からの選択的塞栓術が無効であったため, 人工心肺・低体温下に頭部血流完全遮断を施した後に下顎瘻孔部から逆行性に直接的塞栓術を施行することでAVMの根治は達成できた.しかし血流障害に伴い可動舌の壊死脱落が生じた.小児期に可動舌を欠損するという予期せぬ結果となった自験例について, その治療内容を報告すると同時に, 構音の代償運動を構音動態および可塑性の面から検討した.
  • 四日市 章
    1999 年 40 巻 2 号 p. 126-132
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究は角膜反射式のアイカメラを用いて, 聾学校中学部に在籍する重度聴覚障害児で, 言語的な能力の高い生徒を対象とし, 彼らが字幕付きのテレビ番組を視聴しているときの実際の注視点の動きを観察し, 字幕や映像をどのように注視しているのかを実測した.番組視聴時の注視点の分布は, 字幕部分と字幕以外の映像部分に2分しており, 全視聴時間の約40%が字幕の処理に費やされていた.番組内容を解説する場面では, 登場人物の会話場面に比べ, 被験児は画面上の多くの点を注視していることが示された.また, 新しい字幕が提示された場合には, 約0.2秒後にはその字幕の読み取りを始めていること, 字幕を常に意識しそこから情報を読み取るため, 画面全体の映像への注視に制約が生じていること, 字幕が連続して提示される場合には, 新しい字幕の発見が遅れる可能性があることが示唆された.
  • 谷 哲夫, 見上 昌睦
    1999 年 40 巻 2 号 p. 133-140
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    脳卒中後吃様症状を呈し, 失語症や高次脳機能障害の存在がないと考えられた男性3症例の発話症状および発話時の血圧・脈拍数の変動の分析を通して, 発達性吃音との類似点と差異について先行研究と対比し検討を行った.その結果, 以下の類似点および差異がみられた.1) 類似点: (1) 課題別吃様症状生起率は自由会話および4コマ漫画説明時に高く, 復唱課題では低かった. (2) タイプ別生起率では音・音節の繰り返しで高かった. (3) 3例中2例に随伴症状がみられた.2) 差異: (1) 一貴性効果は認められなかった. (2) 適応性効果は低かった. (3) 血圧・脈拍数上昇率と吃様症状生起率との有意相関は認められなかった.
  • ―その診方と指導―
    田中 美郷
    1999 年 40 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • Paul Warren Flint, Akihiro Shiotani, Bert W. O'Malley Jr.
    1999 年 40 巻 2 号 p. 148-155
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    Current surgical strategies for the treatment of laryngeal paralysis are limited by the muscle atrophy associated with denervation. Moreover, attempts at reinnervation have not affected significant change in surgical outcome. To address this clinical problem, we have developed a rat laryngeal paralysis model to study novel gene transfer strategies. A muscle specific non-viral vector containing the a-actin promoter and hIGF-I gene formulated with polyvinyl polymers injected into denervated adult rat thyroarytenoid muscle has been shown to produce significant increase in muscle fiber diameter, significant decrease in motor endplate length and significant increase in percentage of endplates with nerve contact.
    Applied to laryngeal paralysis, hIGF-I gene therapy provides opportunity for augmentation of surgical treatment modalities by prevention or reversal of muscle atrophy, enhanced nerve sprouting and reinnervation. If proven effective, gene therapy may be applied clinically to fine-tune current surgical procedures or even eliminate the need for surgical intervention.
  • Margaret W. Skinner
    1999 年 40 巻 2 号 p. 156-163
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    The Clarion, Med-E 1 Combi 40 and Nucleus 22 or 24 Cochlear Implant Systems programmed with the Continuous Interleaved Sampler (CIS), Simultaneous Analog Strategy (SAS), or SPEAK speech coding strategies on the average enable postlinguistical-ly deaf adults to understand 70-80% of words in open-set sentences by sound alone. Congenitally deaf children who were implanted between 2 and 5 years of age, received intensive spoken language training over a period of years, and use the most recent speech coding strategies, on the average are able to understand 30-40% of one-syllable, open-set words by sound alone. Several key studies indicate that the earlier a deaf child is implanted, the less language delay there is, the more intelligible their own speech is, and the earlier they are ready to be mainstreamed in normal hearing schools. Adults and children must have appropriately fitted speech processor programs (that are changed as soon as hearing changes) to achieve these levels of success. Because cochlear implants do not provide normal hearing, habilitation for children and rehabilitation for adults are essential. Preoperative evaluation, implantation, and postoperative care can only be effectively provided by close collaboration of a multidisciplinary team.
  • 日本音声言語医学会言語委員会 , 運動障害性 (麻痺性) 構音障害小委員会
    1999 年 40 巻 2 号 p. 164-181
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    1987年に発足した運動障害性 (麻痺性) 構音障害小委員会の10年間の活動経過について報告した.本委員会では, 1980年に本学会言語障害検査法検討委員会・運動障害性構音障害小委員会によって発表された「運動障害性 (麻痺性) 構音障害dysarthriaの検査法―第1次案」 (以下, 第一次案) を基に「dysarthriaの有無とタイプの鑑別ができ, さらに臨床的に使いやすい短縮版検査を作成すること」を目的に活動を行った.この活動の経過を以下の順にまとめ報告した. (1) 臨床上よくみられるdysarthriaの4つのタイプの患者と健常者に対し第一次案を実施し比較検討した結果, (2) この結果に基づき, 第一次案から検査項目を取捨選択して作成した短縮版 (試案) の内容, (3) 短縮版 (試案) を用いた判別分析の結果, (4) 短縮版 (試案) に検討を加え作成した短縮版の内容.
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