近年, 音声障害の自覚的評価方法として, アメリカで提唱されたVoice Handicap Index (VHI) が注目されている.われわれは, VHIの日本語版を作成して音声障害患者に対して使用し, その有用性について検討を行った.対象とした音声障害症例は163例で男性79例, 女性84例であった.VHIスコアの平均は男性34.5, 女性41.6で女性のほうが高い傾向を示した.男性では40歳代以下のスコアが50歳代, 60歳代のスコアより低い傾向を示したが, 女性では年齢による差があまりなかった.疾患別では機能性発声障害, 反回神経麻痺, 声帯萎縮・声帯溝症の症例でスコアが高い傾向を示した.大部分の疾患では, 機能的側面および身体的側面のスコアが感情的側面のスコアより高かった.音声障害の治療後には, 多くの例でスコアが減少し, VHIは患者自身の音声障害に対する自覚度の把握, 適切な治療法の選択, および治療効果の評価を行ううえで有用と考えられた.
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