(目的) 2003年よりPSA検診による前立腺がん検診をおこなってきた.2003年から2007年の結果について検討した.
(対象と方法) 50歳以上の男性のうち希望者に対しPSA単独によるがん検診を行った.PSA値が4.00ng/mlを越えるものを要精密検査者とした.
(結果) 2003年度の池田市の50歳以上の男性は18,161名であった.PSA検診を受けたのは2003年度から2007年度まで3,738,3,905,4,129,4,410,4,515名であった.PSA高値であったのは7.9%~9.8%(中央値9.1%)であった.2次検診を受診したのは161,81,70,75,60名で生検を受けたのは130(80.7%),57(70.4%),45(64.3%),38(50.7%),42(70.0%)名であった.前立腺癌は91,33,29,20,25名に認められた.これは1次検診受診者の2.43%,0.85%,0.70%,0.45%,0.55%であった.5年間での検出率は0.96%であった.臨床病期Bは137例(69.2%),病期Cは52例(26.3%),病期Dは7例(3.5%)で不明は2例であった.87例(43.9%)で前立腺全摘術が,61例(30.8%)で内分泌療法が,37例(18.7%)で放射線治療が,7例(3.5%)で無治療経過観察が選択された.6例(3.0%)が他院での加療を希望され不明であった.
(結論) 2003年から2007年までに198名が前立腺癌と診断された.臨床病期Bは137例(69.2%)であり,早期治療に結びついた.この早期治療が死亡率の低下につながることが期待される.
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