(目的) 前立腺癌は進行例でも内分泌療法で一旦制癌されるが, 多くは再燃する. 再燃後の予後は不良だが, 症例により大きく異なる. 内分泌療法で一旦制癌された後にPSAが再上昇した74例につき, PSA関連パラメーターと病期, 予後との関係を.
(対象と方法) 対象は, 初期治療として内分泌療法を含む治療により, PSAが10ng/ml以下に低下した後に再上昇した前立腺癌74例である. これらについて, 治療前PSA値, PSA nadir 値, 治療開始からPSA nadir までの期間, 治療開始から再燃までの期間, 再燃時のPSA倍加時間 (PSA-DT), 再燃後二次治療に対するPSAの反応をもとめ, 臨床病期, 予後との関係を検討した. 予後は, 病期Dの例のみについて再燃後の癌特異生存率を Kaplan-Meier 法にてもとめ, 生存率の差の検定はログランク検定で行った.
(結果) 病期の進行とともに, 治療前PSA値は有意に高く, 再燃までの期間, PSA-DTは有意に短くなった. 二次治療に対するPSAの反応では, 病期B+Cでは病期Dに比べ有意にCR+PRが多かった. 再燃までの期間が10ヵ月未満の群, PSA-DTが2ヵ月未満の群は, それ以上の群に比べて有意に再燃後の予後は不良であった.
(結論) 治療から再燃までの期間, 再燃時PSA-DTが再燃後の予後因子であり, 再燃後の治療方針をたてたり, 患者や家族に予後の見通しを説明する上で, 重要な判断材料になると考えられる.
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