1978年1月より1989年10月までに社会保険中京病院, 名古屋記念病院, 小牧市民病院, 市立岡崎病院にて施行した1次死体腎移植144例の成績を報告した. 患者の年齢は14~54歳, 平均35歳であり, 男性は100例, 女性は44例であった. 慢性腎不全に至った原疾患は, 糸球体腎炎132例, 腎孟腎炎3例, その他9例であった. 腎提供者は119例144腎であり, 年齢は4~68歳, 平均41歳, 男性66例, 女性53例であった. 免疫抑制法は1978年1月より1982年11月までの15例をステロイド, アザチオプリン, ALGの3剤で (I群) 1982年11月より1986年12月までの49例のステロイド, シクロスポリンの2剤で (II群), 1987年1月より1987年12月までの23例をステロイド, シクロスポリン (4mg/kg), ALG (500mg) の3剤で (IIIa群), 1988年1月よりの57例をステロイド, シクロスポリン (6mg/kg), ALG (1,000mg) で (IIIb群) 行った. 各群別の1年, 2年, 5年の移植腎生着率は1群で40%, 33%, 19%, II群で78%, 74%, 64%, IIIa群で64%, 55%, IIIb群で89%であった. 1年, 2年, 5年患者生存率は, I群で86%, 84%, 79%, II群で98%, 96%, 96%, IIIa群で92%, 92%, IIIb群で100%であった. シクロスポリンの登場により著しい死体腎移植成績の向上が認められた.
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