Ca含有結石患者21名を正常Ca尿症 (NH群) 8名, 腸管吸収型高Ca尿症 (AH群) 8名, 腎漏出型高Ca尿症 (RH群) 5名に分類した後, ヒト副甲状腺ホルモン (h-PTH) を静注し, その反応性から高Ca尿症の病態について検討した. 対照として正常者 (NO群) 5名にも施行した.
尿中Ca排泄量と尿中Na排泄量は, h-PTH負荷前, 負荷後の増加率でAH群のみ強い正の相関を示し, AH群における高Ca尿症の一因として尿中Na排泄量は無視できないと考えられた. また, h-PTH負荷前の%TRPと負荷後の尿中P排泄量の増加率ではNO群, NH群で有意の相関を認めた. しかし, 高Ca尿症では明らかな関係を認めずPのh-PTH反応性に障害があると考えられた. 加えて, AH群では, h-PTH負荷前の血中Pが低値を, 血漿1,25(OH)
2Dが高値を, N-c-AMPが低値を示すことから, 一方RH群でも, 負荷前の血中Pと%TRPが低値を示すことから高Ca尿症における一次的なPの漏出が考えられた. しかし, RH群では同時にCaの漏出があるため, AH群に比べ1,25(OH)
2Dが高値を示さず, N-c-AMPが低値を示さなかったと考えられる.
すなわち高Ca尿症の原因として, 一次的なPの漏出がありCa漏出の程度によりAH群からRH群まで連続的な病態が存在していると考えられた.
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