高含水状態における不撹乱土試料の圧縮(圧密)による構造変化を,圧縮土の収縮挙動を測定することにより検討した。また、圧縮による構造変化と物理性の変化との関連について考察した。
(1)圧縮による収縮挙動の変化は、取縮曲線上の構造収縮の変化に現れ,圧縮荷重が大きくなると構造収縮は消失する。
(2)圧縮により構造発達係数の値は減少するが,圧縮荷重が不撹乱土の圧密降伏応力を超えると顕著な減少を示す。
(3)圧縮により収縮性間隙と死間隙は増加し,構造性間隙は減少する。構造性間隙の減少は全間隙量の減少より大きい。
(4)収縮性間隙の実測値と計算値から圧縮による構造変化の内容を考察し、圧縮荷重が圧密降伏応力より小さいと団粒の配列変化が、大きいと団粒内の土粒子配列の変化が生じることを推定した。
(5)圧縮による物理性(透水性、保水性)の変化は構造変化とよく対応しており、飽和透水係数と粗間隙量は圧縮荷重が圧密降伏応力より大きくなると著しく減少する。ただし,細間隙量は圧縮荷重が小さいとむしろ増加する場合もみられる。
最後に,本研究は北海道大学農学部農業工学科の卒業論文として行われたことを付記し,実験を担当した田中智君(現,大豊建設(株))に謝意を表します。
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