農業土木学会論文集
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2004 巻, 234 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 奥山 武彦, 小綿 寿志
    2004 年2004 巻234 号 p. 583-590
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    太陽光発電を有効利用するためには, 電力の供給方法と負荷となる機器の改良, 低コスト化が欠かせない. 独立型太陽光発電による家畜ふん尿撹拌曝気装置を試作して現地試験を行った. 撹拌曝気装置は, 撹拌筒の中で撹拌羽根を50rpm以下で回転させながら空気を吹き込む方式により, 1.1kWの太陽電池で駆動することができた. 直流モーターを使用して, 費用のかかるインバーターを省略することができた. 直流駆動では, 太陽電池を並列接続して供給電流を増やすことで, 0.1kW/m2の低日射量でも稼働が可能になった. スラリーの粘度は運転前の1/2~1/3に低下し, 圃場への搬出作業の時間短縮とともに, 圃場散布時の臭気低減も評価された. 蓄電池を備えない独立型太陽光発電は日射量による電圧の変動が大きいが, 定速運転が求められないふん尿処理装置などでの使用に適している.
  • 農業水路における淡水魚を事例として
    水野 敏明, 池田 三郎
    2004 年2004 巻234 号 p. 591-599
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業水路は, 淡水魚に対して極めて重要な生態回廊の役割を果たしている. ところが, 近年, 農業水路に生息する淡水魚が急速に減少したといわれ, 淡水魚に影響を及ぼす複数の環境要因を, 統合的に評価する手法の開発が急務の課題となっている. しかし, 農業水路のような複雑な環境システムの統合的な評価には, 1. 複雑な空間システム, 2. 取得に限界のある定量的データ, 3. 比較が困難な多次元要素などの問題がある. 本研究では, こうした問題を改善するために, ランドスケープエコロジーに基づく空間モデルを構築し, さらに, 等質性分析を中心とした多変量解析を連続的に組み合わせて, 生態回廊機能の統合的評価法の開発を行った. この評価法を茨城県の江川のデータに応用してみた結果, 限られたデータから統合的な評価が可能であることが示された.
  • 久米 崇, 長野 宇規, 渡邉 紹裕, 三野 徹
    2004 年2004 巻234 号 p. 601-608
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    中国内蒙古河套灌区の灌漑系統下流部に位置する排水不良農地において見られる土壌塩分分布の不均一性の形成要因を検討するために, 調査圃場に150mmの秋季湛水灌漑を行い, その前後の土壌塩分, 微地形標高, 地下水位および地下水ECの空間分布解析を行った. 分析の結果, 土壌塩分と地下水塩分濃度はほぼ同じパターンで不均一に分布しており, 150mmの灌漑を行つても分布パターンはほぼ同じであった. 秋湛による土壌塩分濃度の低下量は, 水口側から水尻側にかけて少なくなる傾向を示した, 地下水ECの低下量は, 水口側で土壌塩分が地下水に多くリーチングされたことから, 水口側で少なく水尻側で多くなる傾向を示した. 微地形標高と塩分濃度の関係を分析した結果, 微地形標高が灌漑水の浸透量を規定し, 塩分分布を不均一にする原因の一つであることが示された. 調査圃場は, 排水路整備が困難な排水不良地であることから抜本的な塩類集積の改良は難しいが, 塩分分布の不均一性は, 圃場面の整地を行い灌漑水の浸透量を均一にすることで緩和し得ることが示された.
  • 長利 洋, 大志田 建男, 小野寺 忠夫
    2004 年2004 巻234 号 p. 609-616
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    圃場整備後の不等沈下による均平度の低下はやむを得ないこととされてきたが, 不等沈下の原因について圃場整備時の施工状態から検討されたことはなかつた. 本研究では, 基盤整地作業時におけるブルドーザの走行記録から求めた, まき出し厚さや転圧回数等の管理水準が異なる圃場において, 管理と不等沈下の関係を検討した.
    その結果, 管理が不十分な圃場においては盛土部の沈下量が顕著である一方, 管理が十分な圃場では沈下量が小さく. 沈下と管理の関係が明らかであった. また, 沈下量は施工後の初期段階で大きいので, 基盤整地から表土整地までの期間を長くすることも, 基盤面の均平管理には有効な管理方法であることを提案した.
  • 吉田 昭治
    2004 年2004 巻234 号 p. 617-631
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本論は次の仮定:「土構造をpedの集合体とし, 一次圧密はped間のマクロ間隙の, 二次圧密はped内のミクロ間隙の圧密脱水によるものとし, pedからなる土骨格と土粒子からなるpedは共に弾性体とし, マクロ間隙の浸透水はダルシー則に, ミクロ間隙の吸着水は非ダルシー則に支配されるものする」から, マクロとミクロ間隙それぞれについて体積圧縮係数と圧密遅延時間係数, 計4個の圧密定数を導入して圧密支配方程式が定式化され, ラプラス変換法によって解析解が求められた. この理論値は, 標準圧密試験データは24時間を越えて、網干らの試料長を違えた圧密試験データは時間係数で100以上まで, ともに精度よく説明することができ, 二次圧密の主領域でもH2-スケール則が成り立つことがはじめて確かめられた.
  • 近藤 雅秋
    2004 年2004 巻234 号 p. 633-639
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    pH制御装置における制御薯去の優劣を決め調節良否の数量化を検討した・まず調鯖間や調節良好性の点で, 自動制御は手動制御よりも優れた. 調節時間について, 自動を最短時間・手動を平均時間で代表させ比較したところ, 自動は手動の1/2.5と時間が小さかった. さらに良好率で判断した調節良好性について, 手動が50~60%に対して, 設定条件で規定される自動は100%というように泊動は手動よりも良好率が大であった. 次に調節良好の条件は, 注入率が小, 単位撹拌時間が大, pH安定判断条件が厳である. 別表現では, 少量ずつでも時間をかけて注入することであり, 単位注入量が小で判断時間が大に相当する. 注入状況をスペクトル解析した結果, 調節良好のスペクトル勾配値は-0.5で, 不良は-0.9であった.
  • 鈴木 正貴, 水谷 正一, 後藤 章
    2004 年2004 巻234 号 p. 641-651
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    圃場整備による用排分離や排水路の深堀は, 水域ネットワークを分断させ, 魚類の生息環境を悪化させている. 本研究は, 圃場整備後に小規模魚道によって接続された水田, 農業水路, 河川において, 水域ネットワークの接続が魚類の生息に及ぼす効果を検証することを目的とした. 調査の結果, 次のことが明らかとなった. 1) ドジョウは, 小規模魚道を介して水域ネットワーク内を移動していた. 2) U字溝用水路は魚類の移動経路として機能していた. 3) 小規模魚道によって接続された水田は, ドジョウとフナ属の再生産場, および豪雨時の魚類の退避場として機能していた. 4) 水尻からの排水頻度を増やすことで, 魚類の水田からの降下が促進されると示唆された. 5) 小規模魚道によって接続された土水路は, ドジョウの越冬場およびギバチの再生産場として機能していた.
  • ラシュワン モハメドアボエルーハマド, 甲本 達也
    2004 年2004 巻234 号 p. 653-659
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    電気式コーン貫入機構をすべり線解法を用いて3次元的に解析した. 解析では土は完全塑性剛体とし, 応力はMohr-Coulombの破壊包絡線及びHaar-von Karman条件を満足すると仮定した. コーン先端の周囲のすべり線場を, コーン先端角2α=60°に対し, 3種類のコーン及びシャフト表面の摩擦係数 (ζ) に対して解析した. その結果は, 支持力係数 (Ncp) によって表されている. 電気式コーン係数砺の値は9.3~14.5の範囲で与えられ, これらは多くの研究者が提案した値の範囲に含まれるものであった.
  • 赤江 剛夫, 宇野 徹, 史 海濱, 李 延林
    2004 年2004 巻234 号 p. 661-669
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    内蒙古, 河套灌区では, 全塩収支では明らかに塩分蓄積の傾向にありながら, 塩類化は改善の傾向にあると灌区技術者や農家は実感しており, これらの矛盾した実態の原因は不明であった. そこで, 灌漑水から土壌水, 浅層地下水, 排水路水にいたる経路での塩分組成の変化, および耕地と塩害地における土壌中の水溶性および非水溶性イオン組成を分析した. 得られた結果は以下の通りであった.(1) 黄河から取水した灌漑水は, 電気伝導度 (EC) 1mS/cm, ナトリウム吸着比 (SAR) 3~5であるが, 灌漑後土壌を通過した地下水のECは3~7mS/cm, SARは7~20へと, いずれも大幅に増大した. 塩害地地下水は耕地の地下水とほぼ同じECであったが耕地よりも高い値SARを示した. 排水路水も地下水と同様のイオン組成を示した.(2) 土壌中の水溶性陽イオンのほとんどをNa+イオンが占め, 全塩濃度が高い塩害地ほどNa+の割合が高い.(3) 酢酸アンモニウムで抽出したイオン量は, 水溶性イオン量の総量より10倍程度多く, 最も卓越したイオン種はCa2+であり, 塩害地よりも耕地でCa2+の割合が高かった.(4) 灌漑水中のCa2+は土壌中で非水溶性塩として沈積する.(5) 農地の塩分管理指標としては, 全塩収支よりも易移動性イオン, たとえばNaイオンの収支の方が適切であると考えられた.
  • 小林 晃, 青野 智則, 山本 清仁, 青山 咸康
    2004 年2004 巻234 号 p. 671-677
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業用水利施設は既に長期にわたつて共用されているものが多く, 今後はこれらの点検・補修によつて機能を維持させることが重要である. その際には, 構造物の実情を把握することが必要であり, 有効な非破壊検査手法の開発が課題である. 本論では, 安価で測定も比較的簡便な電気探査手法を用いた内部構造の診断手法を検討した. まず, コンクリート厚さの検査手法の開発を遺伝的アルゴリズム (GA) を用いた2次元断面トモグラフィで行った. そしてコンクリート亀裂深さの推定を行つた. これはトモグラフィ技術では探索が困難なので, 本論では概略の亀裂深さ同定手法の検討を行つた. 電気探査は測定が簡易であるがノイズが大きい. その処置方法としてGAのフィットネスを用いた重み付平均化法を開発した. また, コンクリートへの電極の設置についても新しい手法を開発した.
  • 張 玉, 桝田 英幸, 杉山 博信, ウイタカ アンドリュ
    2004 年2004 巻234 号 p. 679-688
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    新潟, 村上, 高田の各気象台における日単位の降水量時系列データを2~3グループに期間分割することにより, 降水量特性の長期的変動を統計的に評価してみた. その結果, 下越地方に位置する新潟における確率降雨量は近年では増加し, 村上でのそれは減少しているが, 上越埴方に位置する高田での増減量は僅少であること, 新潟での確率降雨量の生起頻度は経年的に高くなっているが, 村上では低くなっており, 高田では対象とする水文量で傾向が異なること等が分かった. また, 各埴点における確率降雪量は近年になると減少傾向を示しているが, 高田のそれは僅少であることと新潟でのひと雪降雪量が微増していることが特徴的であること, 各地点における確率降雪量の生起頻度は近年, 低くなっていること等が分かった. 上述のことは, 日単位の降水量データを用いた確率水文量の変動評価には, 埴域的な気候特性が現れることを示唆している.
  • 家田 浩之, 塩沢 昌
    2004 年2004 巻234 号 p. 689-695
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    粒状媒体中の不飽和流における溶質分散への粒径の均一性の影響を調べるために, 粒径が均一なガラスビーズ, および不均一なビーズを充填したカラムを用いて, 飽和および不飽和定常流における濃度置換実験をおこなった. 4極ECセンサーにより測定されたカラム内の4点における濃度変化曲線から, 各深さにおける分散長λを決定した. 飽和流では, 粒径分布にかかわらず, λは粒径の2~4倍で深さによらず一定であり, 移流分散方程式 (CDE) がよく成立した. 不飽和流では, λ は飽和流よりも数倍大きくなったが, 粒径が不均一なビーズのλは, 深さによらず一定でCDEがよく成立した. 一方, 粒径が均一なビーズでは, λは粒径が不均一な場合よりもきわめて大きく, また測定点が深くなるほどλが大きくなり, CDEの適合性がよくなかった.
  • 村上 章, 西村 裕希, 西山 竜朗
    2004 年2004 巻234 号 p. 697-705
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    飽和豊浦砂について非排水平面ひずみ試験を行い, せん断過程において試料側面を高速ビデオカメラで撮影した. さらに, PIV (Particle Image Velocimetry) を用いた画像解析により砂供試体の変形を非接触で計測し, せん断過程で試料に生じる局所変形や渦度分布を得た. 得られた結果から, 載荷初期においてひずみの網目構造が形成され, ひずみの発達する方向は, 最大主応力方向と最小主応力方向とに発達するものに分類できること, 網目構造が座屈することにより主せん断帯が発生し, 網目構造の座屈には, 渦運動が関与すること, 供試体の側方への膨張に伴い, 渦度が一箇所に集中し, 主せん断帯の形成へとつながることを明らかにした.
  • 一恩 英二, 上田 哲行
    2004 年2004 巻234 号 p. 707-714
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業用水路におけるメダカの分布とそれに影響を及ぼす水理環境要因について調査を行った. 調査は. 石川県かほく市内日角地区において, 春季から秋季にかけて, 3年間にわたって行われた. メダカは水温が20℃ を超えると水路下流域から上流域へ分布を拡大し. その分布範囲は, 水温が30℃ 前後となる盛夏に最大となった. 水路上流域においては, メダカは流速20cm・s-1以下の区間に主に分布していた. 非灌漑期には, メダカの分布範囲は流速が10cm・s-1 以下の水路下流域に限定されるようになった. 調査期間を通じて. 安定した水深を持ちかつ流速の小さい水路下流域は, メダカの主たる生息場所となっていた. また, この水路下流域は, 河北潟西部承水路の水位によって形成される背水区間とほぼ一致しており, その背水区間の環境に配慮することはメダカの保護に重要であると考えられた.
  • 青森県北津軽地域の低平地水田を事例にして
    泉 完, 佐々木 長市, 工藤 啓一, 松山 信彦, 村山 成治
    2004 年2004 巻234 号 p. 715-721
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    青森県北津軽地域の低平地水田において長期6ヵ年継続した不耕起水田の用水量調査を行い, 長期継続による初期灌水量と蒸発散浸透量, 圃場の均平度の変化などについて検討した.その結果, 1.初期灌水期間の消費水量は, 不耕起栽培を長期に継続しても15mm/d程度であり, 田植前の灌水期間は田面がかなりの乾燥状態でも6日間程度で十分であること, 2.不耕起田の一筆平均蒸発散浸透量は, 6年目15.3mm/dで不耕起栽培の継続によって次第に大きくなるが, 排水路水位が高いため急激な用水量の増大にはならなかったこと, 3.5mメッシュによる不耕起田の均平度は6作後の標準偏差が±1.5cmで, 不耕起栽培を長期に継続することによる均平度の顕著な劣化は意外に認められなかったこと, などを明らかにした.
  • 松井 宏之
    2004 年2004 巻234 号 p. 723-728
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    利根川上流域に位置する4流域を対象として, 月水収支モデルの適応性について比較した. 月水収支モデルは月水収支サブモデルと積雪・融雪サブモデル (雪サブモデル) からなり, 月水収支サブモデルは6つ, 雪サブモデルは5つのモデルを対象とした. 比較の結果から, 1) 雪サブモデルの同定後に, 月水収支モデルを同定することが望ましいこと, 2) 雪サブモデルにはMoussaviモデルと植原の融雪率算定式を組み合わせたモデル, 月水収支サブモデルには前記の雪サブモデルを備えたThomas abcdモデルが適していることを示した. Thomas abcdモデルによる月平均流量の平均相対誤差は21.5%と比較的良好な結果であった.
  • 金山 素平, 大坪 政美, 東 孝寛, 肥山 浩樹
    2004 年2004 巻234 号 p. 729-734
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    不撹乱有明粘土の除荷過程における膨張特性と載荷. 再載荷過程における圧密特性を把握するため, 段階的な載荷・除荷による一次元の圧密. 膨張試験, 圧密・膨張・再圧密試験を行った. 区間膨張指数Csiは, 過圧密比OCRが16以下においてlog OCRの増加に対してほぼ直線的に増加し, その後のlog OCRの増大に対しては緩やかな上に凸の曲線を示した. 二次膨張係数Casは, 二次膨張が開始する時点の間隙比編と直線関係を示し, eswの増加にともない増加した, さらに, CasCsiの比であるCas/Csi, とOCRの間にはべき関数的関係があることを認めた. 一方, 再載荷過程における二次圧密係数Caeは, 載荷過程のそれと比較して1/2以下の値となった. また, 過圧密・正規圧密領域におけるCaeと圧縮指数Ccの比であるCac/Ccは, 圧密降伏応力または除荷前の最大圧密圧力と圧密圧力の比である応力比mを用いて評価することができた.
  • 奥島 修二, 伊藤 清栄, 長利 洋, 山本 勝利
    2004 年2004 巻234 号 p. 735-741
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業には農産物を生産するだけでなく多面的機能がある. 作物栽培に必要な農業用水を確保するための水路についても, 農家が実施している水路の浚渫や草刈り作業の維持管理作業が良好な環境維持・形成等の機能を発揮している. しかし, その機能を支えている農家が負担している水路の維持管理作業に対して支払われている具体的な金額については検討されることがなかった.
    都市化が進行している仁井田堰土地改良区について, 水路の維持. 管理に要する費用負担について検討した. その結果, これらの機能提供に対して支払われている金額は世間の相場に比べて著しく安価であり, 農家や土地改良区の労力奉仕により多面的機能を提供している実態を明らかにすることができた.
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