農業土木学会論文集
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1992 巻, 160 号
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  • 北海道の山岳地の融雪流出に関する研究 (III)
    秀島 好昭, 澤田 則彦
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 1-10,a1
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    気象・水文観測が行いやすい標高120~210mの中山間地の農地を対象にし, 日射と大気からの熱伝達による時間融雪流出を検討した。積雪層下面で観測した融雪量のピーク起時は, 推定する積雪表面上の融雪量のピーク起時より数時間遅れて発生する。この流出の状況に, 積雪深を関数とする到達時間をとり入れた流出関数を適用し, 融雪流出の状況が符合することを示した。また, 日照時間と時間気温データを使った時間融雪流出解析を行い, 推定値が観測値と符号することを示した。
  • 秀島 好昭, 澤田 則彦
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 11-17,a1
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    従来, 中山間地に設けた農地は, その保全的見知から, 承水路~排水路~小河川へと排水を促進する考え方が採られているが, 流出水を農地近くの小規模水源施設に集水し, 潅漑期に利用する方法が考えられる。本論は, 開墾農地の中間・表面流出量の観測結果から, 給水可能量を推定し, また, 潅概必要水量との対比を行うことで, この集水利用方法の有効性について技術検討を行った。その結果, 2事例地区ではあるが, 融雪流出水を貯留することで, 潅概必要量の約3割程度を給水できることが判明し, この集水・貯留工法が有効と示唆された。
  • 低品質骨材の有効利用に関する研究 (II)
    服部 九二雄, 柘植 巳一
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 19-26,a1
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    良質のコンクリート骨材の枯渇が叫ばれて久しいが, 筆者らは, 中国地方に広く分布するマサ土のコンクリート用細骨材として使用可能性をある程度立証できた。次のステップとして, このようなコンクリートの耐凍結融解性を検討した。その結果, 次のような点を明らかにすることができた。
    (1)細骨材をマサ土としたコンクリートは, 川砂・川砂利からなるコンクリートよりもやや耐凍結融解性は低いが極端に劣るものではない。
    (2)AE剤を混入すれば, マサ土を細骨材としたコンクリートの耐凍結融解性はおおいに改善される。その場合, 空気量は4%以上, できれば6%程度にすべきである。
  • 泥炭地の地盤沈下に関する研究 (I)
    梅田 安治, 矢挽 尚貴, 井上 京
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 27-33,a1
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土地利用の程度が異なる泥炭地で, 地盤と地下水位の連続観測を行った。観測の結果, 未排水の高位泥炭地では, 地下水位の上昇-降下に対応した地盤の変動がみられた。排水系の整備された泥炭地では, 通常の範囲の地下水位変動では地盤の変動はみられなかった。このような地盤変動挙動の違いは, 排水に伴う泥炭の性状の変化によるものである。
    地下水位との関係でみた泥炭地の地盤変動パターンは, その排水の程度によって異なることから, 泥炭地の地盤変動パターンを, 排水の状況に応じて分類した。
  • 多条埋設たわみ性パイプの力学的挙動に関する研究 (II)
    河端 俊典, 毛利 栄征, 近藤 武, 藤田 信夫
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 35-42_2,a1
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    3種類の異なる外圧剛性を有するφ200mmのたわみ性パイプを用いた中型ピヅト内埋設実験結果ならびにFEM非線形弾性解析結果から, 外圧剛性が二条埋設挙動に与える影響について検討した。
    その結果, 二条埋設の場合, 一条埋設時のたわみ量に対するたわみ低減効果は, 外圧剛性が増すにつれて減少するとともに, 鉛直方向より水平方向の方がたわみ低減効果が高いことが分かった。さらに, パイプに作用する垂直方向の土圧分布はパイプの外圧剛性ならびに埋設条件によって大きく変化するが, 接線方向の土圧分布は, パイプの外圧剛性にほとんど影響されないことが明らかになった。
  • 造成農地の排水計画に関する基礎的研究 (II)
    陳 榮松, 堀野 治彦, 早瀬 吉雄, 丸山 利輔
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 43-49,a1
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    造成農地における洪水流出現象を明らかにするために, 屋内と屋外で大型ライシメータによる等流状態での地表水の流下実験を行った。
    その結果, 等流状態の場合でも, 実用上Manningの抵抗期が成立すること, その場合の粗度係数は, 畝立地裸地, 草地, 芝地の順に大きくなることを明らかにした。また, 屋外実験でも, Manningの抵抗則が成立し, 裸地, 草地の順に粗度係数は大きくなることを示した。
    以上の結果は, 造成農地の流出解析をより物理的な立場から行うための重要な足掛かりを与えたものといえる。
  • 土地利用秩序形成を目的とした圃場整備の提案 (I)
    有田 博之
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 51-57,a2
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    都市化地域では農振白地における圃場整備が農業生産条件の保全とともに土地利用秩序形成に不可欠であることを示し, 都市化を考慮した整備の必要性と, その技術的課題について論じた。要点は以下のとおりである。
    (1)農振白地は, 農振農用地の保全機能と快適な居住空間の形成機能の両側面をもつため, ここでの圃場整備を積極的に位置づける必要がある。(2)市街化区域の土地区画整理事業が困難である原因の一つは, 従前の圃場整備にある。このため, 圃場整備段階で都市化に対応する条件を用意するのが現実的。(3)農振白地における圃場整備の基準が都市の基盤条件を満たすようにすると共に, 義務的非農用地換地を創設し, 都市施設用地を確保する。
  • 融雪流出の基礎的研究 (III)
    倉島 栄一, 佐藤 晃三
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 59-69,a2
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    積雪密度とアルベドの経時変化を検討し, 簡単なアルベドの推定式を作成した。
    これらの推定機構を熱収支融雪モデルに加えて, 融雪量のほかに積雪深, 積雪水量, 積雪密度を算定できる熱収支積雪・融雪モデルに拡張した。
    このモデルを, 札幌, 湯田, 上越の3地区, 計20冬期間に適用し, 適合性を検討した結果, 積雪深, 積雪水量の推定精度は良好であった。とくに積雪深の適合性を目的とした計算においても積雪水量はよく適合し, 入手が容易な積雪深資料によってモデルのパラメータである降雪密度を定めることが可能である。
  • 田渕 俊雄
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 71-72,a2
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業地域の小河川で非潅漑期に精密に測定した水質のデータを用いて, 測定回数と算出平均値の変動幅について検討した。NO3-N濃度の場台には測定回数が月1回の場合に標準偏差σの2倍で表した変動幅は±0.8mg/lで, それは平均値の14%に相当した。測定回数が月2回では10%である。T-N濃度では月1回で変動幅は10%以内に収まる。SS濃度は月1回では変動幅は100%を超え, 週1回でも30%以上で精度は悪い。
    潅漑期では水質の変動は非潅漑期よりも大きく, 精度は悪くなる。山林地域では変動は小さく, 月1回の測定でNO3-N濃度の変動幅は平均値の10%以内に収まった。
  • 楊 朝平, 長谷川 高士, 内田 一徳
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 73-74,a2
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    物理特性, とくに, 粒度分布に着目し, 豊浦標準砂とコンクリート細骨材(Sand A)における繰返しK0圧密挙動と勇断強度の相違を考察した。この結果,(1)両試料における繰返しK0圧密時の主応力径路のヒステリシスループの形は類似していることが特徴である。(2)両試料において, 粒度の効果に起因した繰返しK0圧密時の軸ひずみ履歴の相違は正規圧密状態で著しい。(3)粒子摩擦に起因する内部摩擦角成分のφfは, 豊浦標準砂では約30.5°, Sand Aでは約35.3°である。(4)Sand Aにおいて, 圧密を繰返すとともに内部摩擦角φ'は大きくなる傾向がある。それに対して, 豊浦標準砂はいったん小さくなってから増大する。
  • 特殊田の造成に関する調査試験 (VII)
    土崎 哲男
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 75-80,a2
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    特殊田造成の立場から, 作物の対象をジュンサイにおいて, その特性, 生育条件, 水管理方法, 栽培管理方法, およびジュンサイ田の調査などを行い, 調査結果をジュンサイ田造成に関する技術的諸元に反映させようとしたものである。
    本報では, まず最近における全国のジュンサイ採取状況を示した。その上で, 主として東北地方の主なジュンサイ田の調査事例をあげ, それらからジュンサイ田造成計画上基本となる区画形状, 面積, 耕土と基盤, 畦畔, 取水口と排水口, 舟付場, ポンプ類, 防風ネットなどを検討し, ジュンサイ田の試験的造成に備えた。
  • 特殊田の造成に関する調査試験 (VIII)
    土崎 哲男
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 81-87,a2
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本報は, 諸管理が容易で良質, 高生産の可能なジュンサイ田を造成する立場から, 盛土畦畔の侵食と法面保護畦畔の調査試験の結果について, 検討と考察を試みたものである。
    盛土畦畔の侵食状況調査の結果から, 計画水深60cm程度が適当である, 盛土構造の場合は表土被覆が有効である, 盛土畦畔の容積は経年的に確実に減少し弱体化しているなどの資料を得た。また, 法面保護畦畔の造成試験からは, 耐久性で優れているのは逆字フルーム畦畔, コンクリート矢板畦畔, 次いで木板畦畔, ビニール波板畦で, ベニヤ板畦畔は7年で使用限界となったなどの資料を得た。
  • 都市緑地における植生の土・水環境 (I)
    矢部 勝彦, 谷川 寅彦, 福田 勇治
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 89-94,a3
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年, 全国各地で都市再開発の一環として緑化事業が盛んに行われている。これは都市に住む人々に憩の場を与える意義のあるものといえる。したがって, 今後, 都市緑地の造成はますます増大するであろう。しかし, このような緑地造成にあたり, 樹林地として適切な土壌条件, 土壌水分条件などは全くというほど明らかにされていないので, 新しく造成する場合にはもっぱら経験に依存している。本報では, 完熟していると考えられるA植物園の樹林地およびそれに隣接した樹園地の土壌条件と土壌水分条件を明らかにすることを試みた。その結果, 現状における樹林地および樹園地の土層状況土壌の物理性などの実態をある程度明らかにすることができた。
  • 都市緑地における植生の土・水環境 (II)
    谷川 寅彦, 矢部 勝彦, 福田 勇治
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 95-100,a3
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    前報では都市緑地としての植物園内の樹林地とそれに隣接した樹園地における土壌環境の実態について調査・検討した。その結果, 土層状況は樹木の植栽地点の違いにより若干異なり, 樹林地の土壌の物理性は一般森林土壌の物理性とも異なることを明らかにした。本報では, このような土壌の環境条件のもとに植栽されている樹木にとって日常の土壌水分環境がどのような状況に置かれているかを追究した。すなわち, 土壌の乾燥期における樹林地と樹園地の土壌水分環境の実態把握を行い樹種別の土壌水分環境の比較を行った。その結果, 一部の地域で樹木が生育に厳しい環境にあることを明らかにし, さらに, 本調査地域の水分環境の特徴を明らかにした。
  • 柚山 義人
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 101-106,a3
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    集落排水処理の施設の設計や維持管理の技術を発展させるためには, 微生物反応の速度論に関する研究が不可欠である。
    本報では, まず, 微生物反応のモデル化の考え方, 有機物および窒素除去の原理, 流入汚水と活性汚泥の性状および組成について整理した。つぎに, 回分式活性汚泥法による汚水処理過程を解析する上で留意すべき点にウェイトをおき, 活性汚泥の増殖, 基質(有機物, 窒素)の除去, 酸素収支の動力学式を誘導し, おのおのの関係を系統的に整理した。
  • 需要主導型水管理と水路組織
    三野 徹, 山本 徳司, 長堀 金造
    1992 年 1992 巻 160 号 p. 107-112,a3
    発行日: 1992/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    開水路では, 水路中の流達遅れが大きいために, 末端需要と供給の間の調整を図る上で, 供給主導管理が必要であるといわれている。ピーク時には供給主導管理が必要であるとしても, 余裕のあるピーク時以外では, 開水路の持つ変動吸収性を活用することによって, 需要主導型の管理が可能となる。ここでは, 需要変動中の各周期成分に対する開水路の変動吸収特性は, 水路の持つ平均化時間を指標として評価できることを示し, 末端での需要変動を平均化するという視点から, 調整容量と通水機能をもつ組織としての水路系のあり方について検討した。
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