重粘土汎用ほ場における作付け履歴と作土の新鮮土, 風乾土および炉乾土のコンシステンシーの関連を調査した. 前歴畑作物の新鮮土の液性・塑性限界, 塑性指数は, 同じ粘土含量で整理すると, 前歴水稲作付け土壌のそれらよりも明瞭に小さかった. 乾燥処理によって, 液性・塑性限界, 塑性指数は低下し, 同時に, 前歴による差も小さくなり, 炉乾土のそれらには前歴の違いによる差はほとんど認められなかった. また, 液性・塑性限界は, 粘土含量が多くなれば, 大きくなる明瞭な関係が認められたが, 塑性指数には, 粘土含量との明瞭な関係はみられなかった. 新鮮土と炉乾土との塑性指数比を試料相互のコンシステンシー特性の評価に用い, 土壌の畑地化の進行について考察した. 塑性指数比1.85を境に, 前歴水稲は大きな値に, 前歴畑作物は小さな値に分類された. 水稲作付け時, 深さ方向へ約2.0以上で似通った値を示した作土周辺の塑性指数比は, 畑作物への転換後4年間は表面から大きく低下したが, その後の低下は小さく, 10年以上の長期にわたって畑作物を栽培すると, 作土全体にわたって1.4以下の小さな値に低下した.
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