農業土木学会論文集
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1992 巻, 159 号
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  • 桑原 久実, 玉井 佐一
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 1-7,a1
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    変動水圧作用下にある地盤では, 過剰間隙水圧により液状化が生じることがある。これは, 地盤の侵食や洗掘などの地盤災害と密接な関係があると考えられる。ここでは, この対策の一つである地盤表面にブロック等で載荷することにより地盤内の有効応力を増加させ液状化を防止する工法について研究した。研究方法は,Biotの圧密理論を用いて解析的に行っている。まず, 種々の変動水圧, 地盤について, 液状化深さとそれを防止するのに必要な地表面載荷圧を算出した。つぎに, 排水係数と伝達係数による液状化深さと地表面載荷圧を求め, これらの関係を示すダイヤグラムを作成した。
  • 内部境界をもつ計算領域内における地下水変動の陰形式差分法による解析
    本影 一郎, 南 勲
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 9-15,a1
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    計算領域の内部に琵琶湖という複雑な形をした境界を持つ広域地区の地下水を陰形式差分法で解析した。
    計算領域を土地利用形態から, 田, 混在地, 市街地, 山の4タイプに分け, 降雨, 減水深, 蒸発散の違いにより10地区に区分し, それぞれ異なった水理定数降雨の浸入率などを想定して1年間の地下水変動をシミュレートした。そして, 計算値と実測値を比較した結果, 想定値を実用上使用しても差支えなかろうと考えられた。
  • 新潟平野での測定結果とその特徴
    近藤 正, 三沢 真一, 豊田 勝
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 17-27,a1
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    新潟平野の暗渠排水が施されている水田におけるNとPの差引排出負荷量を求めるため, 開水路潅漑地区とパイプライン潅漑地区の二つの水田群において, 水収支およびN, P濃度を潅漑期間毎日観測した。潅漑期間の差引排出負荷量では, とくにPが大きな排出となっていたのが本地区の特徴であった。暗渠からの溶脱がその一因であった。また, 半旬ごとの差引排出負荷量をみると, 流入負荷量によってはN, Pとも水田が浄化の働きをしている時期があった。一日ごとの排出負荷量の変動は大きく, 代かき田植え期と大降雨時にとくに大きな流出があった。また, パイプライン地区で通年調査を行った結果, 非潅概期間にも無視できない流出負荷量があった。
  • 多水系貯水池群の統合的貯水運用に関する基礎的研究 (I)
    福本 潤一
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 29-35,a1
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    一水系および多水系の貯水池群をシステムとして統合的に貯水運用を行う方法を, 従来の研究を概観した上で, 提示した。つまり,(1)ダムストックに極力頼らず, 取水地点のフローから優先して取水するフロー重視の原則,(2)複数ダム群の貯水運用で, 満水になりやすいダムから優先的に放流取水することによってシステム全体の総無効放流を僅少化するレフィリング・ルール,(3)上記2つのルール運用にもかかわらずシステム全体の貯水が底をつくような異常渇水の対応策として予測操作シミュレーション体制,(4)複数の利水者が共存する場合「日流入量を利水容量比で配分して各利水者の持ち分を明確にする」というバンク原則の各理論を提案した。
  • 雨滴侵食の基礎的研究 (IV)
    深田 三夫, 藤原 輝男, 日下 達朗
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 37-43,a1
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    湛水面に水滴が衝突すると, 衝突直後に発生した正の水圧で土壌面に穿孔が生じ, 土粒子が水中に押し出されて剥離が起こる(I期の剥離)。水深が数mmといった浅い水深では, この剥離量は負の水圧によって巻上げられた土粒子量(II期の剥離)よりも多い。本論では, 湛水深, 衝突エネルギ, 土粒子径の因子を変えて剥離量の測定実験を行った。測定はせん孔の容積を測定する方法と, 試料容器外に飛散した砂粒の質量を測定する方法の2通りを行った。結果を次元解析によって導いた無次元量で整理して相互の関係を検討し, 他の研究者によって測定されたデータとの比較も行い, 第III報で導いたI期の過程における剥離作用のモデル式の検証を行った。
  • 尾崎 益雄, 中曽根 英雄, 藤崎 雅之, 安部 征雄
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 45-52,a1
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    段落流を応用したエアーレータは酸化溝方式において有効である。間欠曝気運転を行うことにより, 90%以上のBOD除去率と80%の窒素除去率が得られる。リン除去は, 塩化第二鉄を凝集剤として添加することにより, 9 0%の除去率を得られる。添加量は, 原水のリンに対する凝集剤の鉄のモル比が1となる量が最適である。この時, 余剰汚泥貯留時のリン再溶出も低く抑えられる。
    混合液温度が低い時は酸素利用速度も低下するので, 十分な脱室を行わせるためには, 高温時に比較して非曝気時間を長くする必要がある。曝気1時間, 非曝気2時間を1サイクルとする間欠曝気運転が適しており, この運転方法はリン除去にも効果的である。
  • 甲本 達也
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 53-56,a2
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本論は軟弱地盤の補強のための箱型基礎工法の提案を行うとともに, 本基礎法による軟弱地盤の支持力補強のメカニズムについて述べたものである。
    箱型基礎工法とは構造物施工予定の軟弱地盤内において, 地盤改良杭を連結して箱型の垂直壁を設ける基礎工法であり, 垂直壁の(1)構造物下の地盤の側方流動を阻止し,(2)壁表面における粘土の付着摩擦の発生の効果により基礎の支持力を増加させるものである。
    室内における軟弱な粘土に対する本基礎モデルの載荷試験によれば, 基礎支持力の実験値と理論値はよく合うことが確かめられた。
  • 宜保 清一, 江頭 和彦, 林 義隆
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 57-63,a2
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    残留強度は, 土・岩が発揮する最小の排水強度であり, リング勇断試験装置を用いて測定される。残留状態に至るまでの最小勢断変位量は, 土粒子の性質や垂直応力の大きさによって変化し, 大変位となり, 残留強度測定に長時間が必要とされた。残留強度のパラメータφrと2μm以下粘土分, 塑性指数およびスメクタイト量との相関関係を基にし, 物理的および鉱物学的分析によるφrの類推の可能性が明確にされた。
  • 火山灰下層土の限界間隙に関する研究 (II)
    佐々木 長市
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 65-71,a2
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    開放浸透流を持つ水田土層を不撹乱採土(ローム)し, 成層水田モデル土柱(3層構造)を作製し, 深度別の降下浸透水のDO値と圧力水頭を測定した。
    その結果, 排水位の低い条件下では降下浸透水のDO値が第I層(耕土, 黒ボク)および第II層(耕盤, 黒ボク)で2ppm前後であったが, 第III層(地盤, ローム)に降下するや否や高DO値(6ppm)台に上昇, 維持される流れとなることを確認した。かつ, このような降下浸透水の値の増減は, 各層の限界負圧を境界として生じていることを検証した。以上の浸透特性から, 土壌における開放浸透水と閉鎖浸透水のDO値増減特性とこの判別指標としての限界負圧の有効性を明らかにした。
  • 土地利用モデルに関する研究 (III)
    松本 久司, 北村 貞太郎
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 73-80,a2
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農地転用の動態を世帯人員の関数としてとらえ, 人口と世帯数の簡単な時系列モデルで論述することは, 汎用的なモデルを構築する上で, 重要なポイントである。
    一方, 都市近郊地域における世帯人員の推移は, 母都市と周辺都市の影響度に区分できることを明らかにし, それは地域間の相互作用を知るうえで重要な不唆を与えるものである。
    本論では, 農地転用を含む社会現象の動態が, 簡潔な微分方程式で説明され得ることから, 本時系列モデルが農地転用モデルの基礎になるものと考える。
  • 水田土層の水質浄化機能に関する研究 (I)
    石川 雅也, 田渕 俊雄, 山路 永司, 中島 淳
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 81-89,a2
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    潅漑期間中に暗渠を開いて浸透を起こした水田(千葉県角来地区)で, 窒素を中心とした水質成分の動向を追求し, 自然状態における物質収支を実測した。その結果, 窒素とリンの差引排出負荷量(減少量)は, 14kgN/haおよび0.05kgP/haであり, 浸透による窒素負荷量の減少率は42%であった。また, 流入水と暗渠流出水の水質を比較すると, CODを除けば両者ともに同程度かあるいは流入水の方が高かった。したがって, 印旛沼湖水を水田に流入させ, 暗渠を利用することで窒素やリンの負荷量の減少が期待できる。ただ, COD濃度および負荷量が増加した。これは土壌に存在するFeおよびMn等の還元性物質の溶脱が原因であった。
  • 水田土層の水質浄化機能に関する研究 (II)
    石川 雅也, 田渕 俊雄, 山路 永司, 中島 淳
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 91-99,a2
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    さまざまな水質負荷での水稲栽培実験をポットにより行い, 水田土層の浄化機能と用水濃度, 浸透水量および稲の有無との関連を定量的に確かめた。また, 収穫した稲の生育評価をするために生長解析を行い, 水稲に対する用水濃度と浸透水量の影響を検討した。その結果, 用水濃度が1~10mg/lの時, 浸透量が2~40mm/dの間では水稲有無にかかわらず, T-NやNH4+-Nの浸透流出水負荷量は低い値で用水からの除去率は70~99%となり, 水質は大幅に浄化された。また, 用水濃度の生長に及ぼす影響は大であった。したがって, 潅漑期間に暗渠等の降下浸透を利用することで窒素成分の水質は浄化され, また, 用水が低濃度であれば収量増が見込まれることを示した。
  • 中村 良太, 築山 弘毅
    1992 年 1992 巻 159 号 p. 101-105,a2
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    用水改修計画の原案作成過程における専門家の思考過程が, エキスパートシステムのテストランとその調整の繰返しの作業の中で分析された。専門家はまず第一に, 改修しようとする用水を診断し, その結果を4段階評価で項目ごとにまとめ, システムに入力する。システムはそれを用いて用水の型を分類し, それに応じて将来の変化を予測する。つぎに, 各種の対応策の組合せがシステムの探査マップに従って順次選択される。その結果, 最も現在の問題点を軽減させる対応策数種類の総合した結果が妥当な事業計画として出力される。利根川流域のいくつかの用水に適用した結果はほぼ満足できるものであり, 原案作成過程がシミュレートできた。
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