農業土木学会論文集
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1995 巻, 175 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 加治佐 隆光
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 1-7,a1
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    不透水層上の地中流の内, 流量の大きい部分を変動流出寄与域と定義して, 移動境界の時間変化を得るための推定式を提示した. 簡単のためにモデル化に際しては, 変動流出寄与域内部への降雨はすべて有効と判断し, それ以外への降雨はすべて保留されると判断した. 水深が小さい時に水深と流量とは直線的関係でないとこの推定式は利用しがたい. 変動流出寄与域の伸張条件も想定されているが, これは論点のひとつとして考察された.
    以上の設定条件にさほど矛盾しない流域として, 粘土質の丘陵地を切盛土工法で造成した階段畑を選定し解析した. 計算例で得られた推定直接流出量は最大流出発生頃に緩慢であったが, 全体的には再現性は良好であった.
  • 河野 広, 白谷 栄作, キム グィエン クァン
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 9-15,a1
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    畑地用水計画法の合理化に資するため, 蒸発散量と根群域への上向き補給水量との差として間接的に消費水量を求める方法に着目し, 計画上の標準的な蒸発散量, 水分消費型, 各種土壌の水分保持特性等の条件を与えて数値実験的に上向き補給水量を算定した. 上向き水分補給はまず表層から始まり順次下方へ伝播する. 表層土壌水分量は夜間に若干回復する. 降雨または潅漑後に水分移動が上向きに転じるのは少なくとも1~2日後である. 上向き補給水量は土壌の保水力に概ね比例し, 最大値はおよそ1.0~1.5mm/dである. 上向き補給水量は蒸発散量に概ね比例し, 根群域の増大につれて若干小さくなる. 蒸発散量中の土壌面蒸発量によっても異なる.
  • 観測流量と合成流量から求めた利水必要貯水池容量の統計学的関係 (I)
    佐藤 政良, 岡本 雅美
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 17-22,a1
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    貯水池の利水容量を決定するのに, 長い観測流量データが得られないとき, 短いデータの統計学的性質を保存する十分長い期間の流量を合成し, それから貯水池容量を決定すればよいという考えがある. そこで, 日本の三つのダムの水田潅漑期の半旬平均流入量時系列を使い, 平均, 分散および自己相関を保存する時系列をThomas-Fiering法で合成し, 観測値と合成値から求められる計画貯水池容量を水需要レベルを変えて比較した. その結果, どのダムでも, 合成流量による容量は観測流量のそれから一定の傾向のズレを示した. TF法合成流量は, 統計パラメータが一致しても, 計画貯水池容量に変換したとき, 観測流量と一致しているとはいえない疑いがある.
  • 観測流量と合成流量から求めた利水必要貯水池容量の統計学的関係 (II)
    佐藤 政良, 岡本 雅美
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 23-27,a1
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    貯水池の利水容量を決定するのに, 長い観測流量データが得られないとき, 短いデータの統計学的性質を保存する十分長い期間の流量を合成し, それから貯水池容量を決定すればよいという考えがある. そこで, 日本の三つのダムの水田潅漑期の半旬平均流入量時系列を使い, 平均, 分散および自己相関を保存する時系列をThomas-Fiering法で合成し, 観測値と合成値から求められる計画貯水池容量を水需要レベルを変えて比較した. その結果, どのダムでも, 合成流量による容量は観測流量のそれから一定の傾向のズレを示した. TF法合成流量は, 統計パラメータが一致しても, 計画貯水池容量に変換したとき, 観測流量と一致しているとはいえない疑いがある.
  • 調整池とパイプラインによる水田潅漸システムの研究 (III)
    広瀬 慎一
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 29-36,a1
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    調整池とパイプラインによる水田潅漑システムにおいて水収支調査を行い, 水利用の動向に関し次の事項を明らかにした.(1) 潅漑期を通じての調整池依存率は, 受益面積が小さいほど大きい.(2) 調整池から潅漑地への日最大取水量は, 普通期最大用水量を上回り, 潅概の自由度を増している.(3) 調整池は7月後半から8月にかけて多く利用されている.(4)経験の積み重ねあるいはテレメータによる監視システムにより, 調整池の規模に応じた潅漑が行われるようになる.(5) 調整池の容量は, 普通期最大用水量の6時間分を見込んでいるが, その利用率は20~70%の間に分布することが多い.
  • 調整池とパイプラインによる水田潅漑システムの研究 (IV)
    広瀬 慎一
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 37-45,a1
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    水田潅漑の末端ブロックを対象とした, 調整池とパイプラインによる水田潅漑システムにおいて水収支調査を行い, 次の事項を明らかにした.(1) 調整池から潅漑地への取水量Qfiは, 朝と夕方にピークが生じるが, 朝のピークは普通期最大用水量qを上回り, 自由度の大きな潅漑が行われている.(2) Qfiがその日平均値avrQfiを上回る部分を, avr Qfiの時間数で表して貯留時間Tpoとすれば, 調整池容量VはTpo・avr Qfiと表すことができる.(3) 調整池の有効利用量 (日量) の多い日の実績によれば, 貯留時間Tpoは3~6hに分布し, 受益面積が小さいほど大きくなる傾向がある.(4) 調整池は7月から8月にかけて多く利用されるので, avrQfiとしてqを採用する.
  • 飯田 俊彰, 上木 勝司, 塚原 初男, 上木 厚子
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 47-56,a2
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    酸性降下物観測の空白地帯であった東北地方南部日本海沿岸地域において, 1990~92年に採取された降水を分析し, 湿性酸性降下物の特性を解析した. 本地域の降水は晩秋から春先にかけての11月~3月に酸性度が高く, それは高い非海塩SO42-濃度に起因していた. 一方NO3-濃度には明確な季節的変動は認められなかった. 本地域の降水中の非海塩物質の組成は, 11月~3月には中国北部での組成に, 4月~10月には関東地方をはじめとする日本国内でのそれに近似していた. 降水時の気象条件とあわせて解析した結果, 本地域では晩秋から春先にかけてアジア大陸から長距離輸送される非海塩SO42-によって降水の酸性化が起こっているものと推察された.
  • 朴 鍾和, 瀬口 昌洋, 加藤 治
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 57-65,a2
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    底質の巻上げさらには干潟形成のメカニズムや過程を明らかにするために, 静止海水中に沈降, 堆積した底質の流動特性について実験的研究を行った. なお, 実験は有明海奥部浅海域の2地点で採取された底質を用いて, その海域の状況に符合した実験条件のもとで行われた. 実験の結果, 粘度あるいは降伏値といった底質の流動特性は底質の種類, 初期懸濁濃度, 海水の塩分濃度および含水比に影響されることが示された. 特に, 底質の流動特性値と初期懸濁濃度および含水比との関係はべキ乗の関係であることが見出された. しかし, 海水の塩分濃度の流動特性への影響は非常に小さかった. これらの関係と底質粒子間の凝集構造との間の密接な関連性の存在が推測された.
  • 中村 貴彦, 足立 泰久, 鈴木 光剛
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 67-72,a2
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    The applicability of the proposed equation on the fltation and settling velocity of a single Microcystis floc was examined using additional data which were taken at different seasons. It was found that the degree of scatter in the velocities were a few times larger than that obtained for non-biological samples. The extent of scatter in the velocities for small sized colonies were larger than that obseved for large colonies. These findings imply that there exists a transition from uniform structure to self-similar structure of the colony. From the analysis of settling velocities of pressurized colony, it was clarified that the morphology of Microcystis flocs can withstand for theapplied pressure up to 1.0 MPa.
  • 酒井 俊典, 宮内 定基, 堀田 隆
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 73-80,a2
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    アンカー問題における粒子径効果の評価を, 粒子径の異なる2種類のガラス玉を使用し, アンカー引抜き実験による荷重変化, およびトラップドア装置を用いた勢断帯の発達過程の両面から行った. その結果, 同一アンカー直径であっても粒子径の大小により無次元荷重値に違いが見られた. 勢断帯の発達過程は, 粒子径の大きさの影響は受けなかったが, 勢断帯の幅は粒子径に依存した. また, 勢断帯内部の勢断ひずみは粒子径とアンカー直径の相対的大きさによって異なった. これらの結果より, 粒子径の大小によって地盤の破壊の進行性の程度は大きく異なり, アンカー問題において粒子径効果が大きい影響を及ぼすことを明らかにした.
  • 齋藤 晴美, 福川 和彦, 多田 浩光, 加治屋 強
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 81-86,a2
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    担い手(借り手)が大々的に事業参加しやすく, 圃場整備事業の実施を契機に農地の流動化による経営規模の拡大が一層図られるよう, 負担金, 小作料および調整組織について新たな提案を行う.
    具体的には, 農地の所有と利用を分離し, 担い手(借り手)が事業参加しやすいよう,(1) 借り手が長期間リース料を支払う「施設使用料」制度,(2) 特定の機関を活用し農地の流動化を促進するとともに借り手は使用料と地代を毎年支払い, その機関が貸し手に地代を一括前払いする方法を提案し考察する.
  • マレーシア・ムダ地区について
    藤井 秀人
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 87-94,a2
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    熱帯モンスーン水稲二期作地帯における直播栽培の用水量の実態についてマレーシア・ムダ潅漑地区を事例に報告する. 直播栽培普及後 (1988-1990) の用水量を移植栽培のころ (1979-1981) と比較し, 第1作を中心に行われる乾田直播栽培では大幅に, 第2作中心の潤田直播栽培ではかなり移植栽培より用水量が少ないことを示す. 用水量変化の原因について直播栽培 (潤田直播と乾田直播) と移植栽培の圃場作業と水管理の違いから考察した. また直播栽培の普及率や水路密度が異なる4地区を選定し, 3年間 (6作期) の用水量について作期, 雨量との関係を分析し, 直播栽培の比率が高い地区や水路密度の高い地区で用水量が少ないことなどが示された.
  • フィリピンの転換畑における作物水分消費の研究 (I)
    金森 秀行
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 95-108,a3
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    転換畑は耕盤層の影響で下層土中の水分移動が複雑多様になるので, 土壌水分減少法を使用した場合は, 下方移動損失量と蒸発散量を厳密に区別しなければ, 過大な消費水量になる. アジアの転換畑は, 熱帯のために蒸発散が大きく, 転換も乾季間だけなので, さらに水分動態が複雑になる. 本報は, 熱帯転換畑のトウモロコシの調査から, その土壌水分動態をトータルポテンシャル (TP) 勾配と土壌水分減少量の推移から分析し, 耕盤層の影響を明らかにした. 特に, 熱帯特有の非常な高蒸発下では, 耕盤層と表層の間のTP勾配が水分移動方向と逆の勾配を示す現象が起こることを見つけ, その生起条件を提示した.
  • 広瀬 慎一
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 109-118,a3
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業用水の需要と供給のギャップを調整して, 自由度の高い潅漑を主な目的とする調整池の容量について, その研究の流れを展望した. まず既往の設計基準「畑地かんがい」,「水路工」,「農業用水(水田)」, および水道施設設計指針における, 調整施設に関する考え方と基準を概観した. 次に調整池の容量に関する近年の研究事例として, 緒形の水収支のシミュレーション,長らの台形時間集中モデル, 江崎らの水需要モデルのパターン化, 吉野らのバッファーポンドの不等流計算, 三野らの水路施設のフィルター特性による変動吸収能力, 広瀬のパイプラインと調整池による水田潅漑システム等について論じた.
  • 丹治 肇
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 119-120
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 森 保文, 須賀 伸介
    1995 年 1995 巻 175 号 p. 120
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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