貯水池の利水容量を決定するのに, 長い観測流量データが得られないとき, 短いデータの統計学的性質を保存する十分長い期間の流量を合成し, それから貯水池容量を決定すればよいという考えがある. そこで, 日本の三つのダムの水田潅漑期の半旬平均流入量時系列を使い, 平均, 分散および自己相関を保存する時系列をThomas-Fiering法で合成し, 観測値と合成値から求められる計画貯水池容量を水需要レベルを変えて比較した. その結果, どのダムでも, 合成流量による容量は観測流量のそれから一定の傾向のズレを示した. TF法合成流量は, 統計パラメータが一致しても, 計画貯水池容量に変換したとき, 観測流量と一致しているとはいえない疑いがある.
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