日本小児アレルギー学会誌
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25 巻, 4 号
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総説
  • 伊藤 節子
    2011 年 25 巻 4 号 p. 665-673
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/26
    ジャーナル フリー
    IgE-mediated food allergyの診療における早期診断と安全性の確保,QOLの向上の観点から「食物アレルギー診療ガイドライン2012」を読むにあたってのピットフォールを取り上げた.特に抗原診断の過程における詳細な病歴と食物日誌の活用の必要性,乳児期の早期診断におけるスクラッチテストの有用性,抗原コンポーネント特異的IgE抗体のレベルは食物中におけるそのコンポーネントの占める割合の反映であること,プロバビリティーカーブが示すのは単なる確率であること,負荷試験の適応の決定における好塩基球ヒスタミン遊離試験の有用性を中心に述べた.
原著
  • 漢人 直之, 増本 夏子, 田場 直彦, 村上 洋子, 手塚 純一郎, 本村 知華子, 岡田 賢司, 小田嶋 博
    2011 年 25 巻 4 号 p. 674-681
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/26
    ジャーナル フリー
    【目的】集団フリーランニングによるEIA検出目的の運動負荷試験を実施し,負荷試験方法としての妥当性と結果について検討する.【対象】2008年喘息児サマーキャンプに参加した小学生のうち,運動負荷試験を実施できた50名.【方法】ペースメーカーが伴走して6分間走による運動負荷試験を実施し,運動前,直後,5,15分後にピークフロー値を記録した.児は心拍計を装着して,心拍数を経時的に記録し解析を行った.【結果】参加者全員が完走し,PEF最大低下率が15%以上であったのは9名(18%)であった.運動中の最高心拍数は47名(94%)で170/分以上であり,その持続時間は平均約5分と十分な運動負荷が得られていた.【結論】ペースメーカーを伴った集団フリーランニングによる運動負荷試験は,十分な運動負荷を得られ,日常生活におけるEIAの有無について検討するのに有用である.
  • 徳山 研一, 荒川 浩一, 乾 宏行, 河野 美幸, 小山 晴美, 佐藤 哲, 重田 誠, 重田 政樹, 高見 暁, 戸所 誠, 中嶋 直樹 ...
    2011 年 25 巻 4 号 p. 682-691
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/26
    ジャーナル フリー
    【目的】群馬県内の気管支喘息児(以下,喘息児)の発作状況,および患児と保護者のQOLについて経年的変化を解析する.【方法】喘息児の保護者を対象に,喘息症状やQOLに関する質問票調査を行い,併せて治療内容の記載を主治医に依頼した.調査は2001年,2005年,2008年の計3回おこなった.【結果】吸入ステロイドや抗ロイコトリエン薬などの抗炎症薬の処方頻度は経年的に著増し,患児の発作状況(入院・救急受診回数,喘息症状など)は経年的に改善した.一方,患児および保護者のQOLは改善傾向にあったが顕著ではなかった.【考察】群馬県の喘息児の喘息管理状態は治療法の変化に伴い改善傾向にあるが,QOLの改善については今後更に配慮する必要性が示唆された.
  • 山田 裕美, 吉原 重美
    2011 年 25 巻 4 号 p. 692-699
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/26
    ジャーナル フリー
    [背景]園や学校の給食における食物アレルギー対策の取り組みは整備されつつある.しかし,実際の給食対応には地域差が存在している.また,児童福祉施設(保育園)と教育施設(幼稚園・小学校・中学校)間の対応の特徴や問題点の相違は把握されていない.
    [目的・方法]各施設に特化した柔軟な給食対応策を構築する目的で,栃木県の保育園・幼稚園・小・中学校における食物アレルギー児への給食対応の現状を調査して比較検討した.
    [結果](1)給食対応を行っている食物アレルギー児の在籍率は,各施設間で有意な差は認めなかった.(2)保育園では,給食対応のきっかけとして医師の診断書を義務付けている割合が多く,除去食や代替食対応が多く行われていた.(3)各施設とも,給食対応における問題点を抱えており,「施設や設備の不備」は,小・中学校が多く回答した.
    [結語]各施設における給食対応や問題点の相違が認められた.医師が提供する医療情報を中心に,各施設の給食体制の特徴をふまえた食物アレルギー対策に取り組む必要がある.
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2008解説「ガイドラインをどう読むか」
  • 海老澤 元宏
    2011 年 25 巻 4 号 p. 700-704
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/26
    ジャーナル フリー
    小児気管支喘息治療管理ガイドライン(JPGL)は2002で大幅な改訂が行われ,2005でもテオフィリンの使用制限がかけられたが,今回の2008はマイナーな改訂にとどまっている.JPGL2008の最も大きな改定内容は「抗アレルギー薬が長期管理の薬物療法プランから消えたこと」である1).抗アレルギー薬という概念はあっても,現在は薬効別に抗ヒスタミン薬,ロイコトリエン受容体拮抗薬,などと分類されている.喘息治療の国際的なガイドラインであるGINAなどでは「抗アレルギー薬」という分類は最初から用いられていなかった.JPGL2008では単独で有効性が確認されているロイコトリエン受容体拮抗薬,DSCGのみを推奨し,いわゆる経口抗アレルギー薬を保険適応があっても長期管理薬に推奨しなかったことは画期的なターニングポイントであった.
  • 末廣 豊
    2011 年 25 巻 4 号 p. 705-711
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/26
    ジャーナル フリー
    社会・経済・心理的な側面からの特徴をよく理解した上で,思春期から青年期における気管支喘息に対応することが重要である.思春期にはアドヒアランスが低下し末梢気道閉塞が顕在化することが最大の問題点であり,予防対策として自己管理できるように支援する,治療を再評価あるいは強化することが必要となる.
日韓招待講演報告
特集
災害時における喘息・アレルギー患児への対応と問題点 ―東日本大震災での報告と今後への提言―
5.対応パンフレット
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