【背景】アドレナリン自己注射製剤 (エピペン®) の普及に伴い, 不適切な使用例の報告が増加している.
【目的】食物アレルギー児と保護者の, エピペン®の取り扱い方の習熟度と使用すべき症状の認識度を明らかにする.
【方法】エピペン®の処方更新に来院した中学生以上の食物アレルギー児33名と保護者97名を対象にエピペントレーナーの取り扱い方の習熟度を調べた. また家庭での取り扱い方の練習の状況, 保管場所, 使用すべき症状の認識度などについて, 無記名アンケート調査を行った.
【結果】取り扱い方の観察ではトレーナーラベルの確認, 注射部位の選択と注射部位に障害となる物がないことの確認, 押し付け時間などの点で不適切な手技が観察された. 取り扱い方の練習では1年以内に1度も練習をしたことがないと答えた者が大半を占めた. また, 対象患者の半数近くはぐったりする, 失禁, 息苦しさなどの重篤な症状の発現時でも, まだエピペン®を使用する時期ではないと誤認していた.
【結論】エピペン®は処方時の指導だけでは, 取り扱い方や使用すべき症状の持続的な理解につながらないことが示唆された.
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