日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
15 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 小田嶋 博
    2001 年 15 巻 3 号 p. 263-272
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    小児喘息における運動療法は有効な治療方法であるにも係わらずその実際については必ずしも明らかではない. また, 運動誘発喘息の存在は, 本来運動欲求の強い小児では, 単に体育活動が制限され, 身体機能的発達が制限されるだけではなく, 必要以上に内向的な性格傾向が形成される可能性がある. また, 運動をしないということ自体が総合的な体力形成を障害し, 更に発作を起こし易くするという悪循環を繰り返す. しかし, 学校現場での対応は様々であり, 必要以上の制限がされていると考えられる場合も少なくない. 運動誘発喘息の評価, 予防を適切に行い, トレーニングの計画を立て, それが適切に実施されるために, 学校カリキュラムでの配慮を医療―家族―教師間で連携して行われるようにすることが大切である.
  • 永倉 俊和
    2001 年 15 巻 3 号 p. 273-278
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 南部 光彦, 新宅 教顕, 太田 茂
    2001 年 15 巻 3 号 p. 279-284
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    生後1週以内に投与が開始された抗生物質がアレルギー性疾患の発症に影響するかどうかについて調査した. 抗生物質群58人と, 対照群 (周産期に抗生物質を使用されなかった者) 58人を比較した. 在胎週数や出生体重に両群間で有意差はなかったが, 抗生物質群に前・早期破水と羊水混濁の頻度が高く, また出生時のアプガールスコアが低値であった. 抗生物質群58人中, 4か月時に湿疹がみられたのは18人, その内アトピー性皮膚炎は4人であった. 一方, 対照群58人中, 4か月時に湿疹がみられたのは12人, その内アトピー性皮膚炎は3人であり, 両群間に有意差はなかった. 全経過を通じて, アトピー性皮膚炎と診断されたのは抗生物質群8人, 対照群9人であり, 両群間に有意差はなかった. 喘鳴や気管支喘息の発症, 並びにじんましんの発症も, 両群間で有意差はなかった. その他, 抗生物質群の3人に血便がみられた. 今回の検討では, 新生児期の抗生物質の使用とアレルギー性疾患発症との関連性は認められなかった.
  • 本村 知華子, 小田嶋 博, 西間 三馨
    2001 年 15 巻 3 号 p. 285-290
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    右中葉または左舌区の無気肺を4週間以上持続するか3回以上反復する場合を中葉症候群と診断し, 気管支喘息との関連を検討した. 12年間に診断した中葉症候群は56名 (男性32名, 女性24名) であり, 平均5.4±3.1歳 (11か月~14歳) であった. 気管支喘息合併群38名 (67.9%) は平均6.1±3.3歳であり, 気管支喘息を合併しない群18名 (平均4.0±2.0歳) に比べ高年齢であった. 反復した中葉症候群では一回のみの中葉症候群より気管支喘息の合併が高率であった (P<0.01).
    中葉症候群と診断されてから2年以上経過を観察できた合併例22名に関し気管支喘息の予後を検討した. 中葉症候群診断時 (平均6.4±3.8歳) の重症度は重症5名, 中等症3名, 軽症14名であった. 平均6.2年の経過観察後 (平均12.5±5.6歳) には重症6名, 中等症7名, 軽症8名であり, 1名は寛解していた. 逆に中葉症候群診断時には喘息と診断されずに, 5年後軽症の喘息と診断された児が1名あった.
  • 中川 博之, 又野 典子, 南部 光彦
    2001 年 15 巻 3 号 p. 291-296
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    家庭での吸入療法が効率よく行われているかどうかは不明である. 今回我々は, DSCG尿中排泄率を測定することによって吸入効率を評価し, それを参考に吸入指導を行った.
    DSCG尿中排泄率1%未満の患児は26例中17例であった. 尿中排泄率1%未満の者は, 低年齢児 (3~7歳) では15例中12例 (80%), 高年齢児 (8~13歳) では11例中5例 (45%) であり, 低年齢児にその割合が高い傾向がみられた (p=0.103). また尿中排泄率1%未満の者は,「~しながら」吸入している者では19例中16例 (84%), 吸入に集中している者では7例中1例 (14%) であり,「~しながら」吸入している者にその割合が高かった (p=0.005). 尿中排泄率が低かった者を中心に吸入指導を行った結果, 尿中排泄率1%未満であった17例中, 吸入指導後の尿中排泄率を測定した9例では, 全員にDSCG尿中排泄率の増加傾向がみられた.
    DSCG尿中排泄率を測定することによって, 吸入効率を評価できると同時に, 吸入指導を必要とする喘息児を把握でき, また吸入指導の効果も評価できると思われた.
  • 月岡 一治, 宮澤 正治, 田辺 直仁, 赤澤 宏平, 峰岸 文江, 大久保 輝男, 武井 伸一, 西間 三馨, 森川 昭廣, 勝呂 宏, ...
    2001 年 15 巻 3 号 p. 297-310
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    日本人健常者 (6~18歳) のピークフロー (以下PEF) 標準値の検討を行ったのでその結果を報告する. 対象は胸部疾患と喘鳴の既往歴がなく, 喫煙経験がない小学1年から高校3年 (6~18歳) の日本人健常者2614名 (男子1241名, 女子1373名) である. PEFメーターは市販されているミニライト (ATSスケール) のスタンダードレンジを用いた. 対象者の年齢と身長がPEF値に有意に影響していたことから, 標準予測式は
    男子(L/min)=64.53×Ht(m)3+0.4795×Age2+77.0
    女子=310.4×Ht(m)+6.463×Age-209.0
    が得られた. 各国の同年齢群との比較を行った.
  • 伊藤 浩明, 松下 ゆかり, 吉田 潤, 小崎 武, 坂 英雄, 坂本 龍雄, 鳥居 新平
    2001 年 15 巻 3 号 p. 311-316
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    思春期における喘息死の予防は, 小児アレルギー学の直面した課題の一つである. 我々は, 軽症持続型と思われていた中学3年生の喘息死を経験した. 心肺停止で入院し, 脳死状態で11日間治療した後に腎不全で死亡した. 病理所見では, 気道内腔の粘液塞栓, 杯細胞の増殖, 基底膜や気管支平滑筋の肥厚など気道のリモデリング像が明らかで, 慢性気道炎症の存在が示唆された. 本例は, 二人の主治医に重複受診しており, 両主治医とも自分の処方のみで発作がコントロールされていると判断していた. 実際には定量噴霧式β2刺激薬 (MDI) を1ヶ月に2本以上使用し, 運動誘発発作のために, マラソンなどは自粛していた. 本症例のようにMDIの過量使用によって重症度がマスクされている場合でも, 運動誘発発作の存在は重症度を見直して十分な抗炎症療法を開始するポイントとなるべきであると考えられた.
  • 藤高 道子, 加藤 恭博, 川口 浩史, 佐倉 伸夫, 上田 一博
    2001 年 15 巻 3 号 p. 317-321
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    オキサトミドの血中濃度と臨床効果との関係は明らかでない. 今回, オキサトミド内服中の喘息患者6名 (2~17歳) の, オキサトミドとその活性代謝物であるM-11, 活性を持たない代謝物であるM-5の血中濃度を測定し, 臨床効果との関係を検討した. オキサトミド内服2~4時間後の最高血中濃度は, オキサトミドが5.5~16.0ng/mlで, 従来の報告と同様, 実験的有効濃度と大きく乖離しないが個人差は大きく, M-11は4.5~44.3ng/ml, M-5は0.5~44.2ng/mlでオキサトミドと同じく個人差が大きい結果となった. オキサトミドの最高血中濃度は, オキサトミド内服中の月平均喘息点数と有意な関係になかったが, M-11あるいはオキサトミド+M-11の血中濃度は喘息点数と有意な負の相関関係を示した. M-5と喘息点数は有意な相関関係になかった. 検討症例数が少ないため今回の検討では確定はできないが, 薬理活性を有するオキサトミドとM-11の血中濃度を測定することがオキサトミドの臨床効果を検討する際に役立つ可能性があると考えられた.
feedback
Top