近年, 本邦において気管支喘息重症発作に対するイソプロテレノール持続吸入療法の有用性が報告されている. 製剤としてのイソプロテレノールには有効成分
l体のみで構成されたものと,
l体および不活化成分である
d体を等量含む製剤の2種類がある. 今回我々は, 気管支喘息重症発作 (呼吸不全症例は除外) 106例に対してイソプロテレノール持続吸入療法を施行し, 薬剤間 (
dl体41例,
l体65例) に治療経過や効果の上で差が認められるか否かについて検討した。
両薬剤共, 吸入療法導入後早期より, Wood スコア・Spo
2・心拍数・呼吸数とも有意に改善したが, 両群問の比較では, 開始6時間後の Wood スコア, 開始後1~6時間の心拍数の項目で,
dl体に比して
l体で有意に改善が良好であった. Spo
2・呼吸数の推移においては, 両薬剤間に有意差は認められなかった. また,
l体65例では全例症状の改善が良好であったのに対し,
dl体使用群41例では, 症状の改善が不良なため治療を変更した症例が3例認められた.
以上により, 治療効果 (特に吸入療法導入早期) においては,
dl体に比較して
l体の方が優れていると考えられた.
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