日本小児アレルギー学会誌
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26 巻 , 5 号
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原著
  • 今井 孝成, 海老澤 元宏
    2012 年 26 巻 5 号 p. 725-731
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル 認証あり
    背景:食品衛生法アレルギー物質を含む食品表(以下アレルギー表示法)では,未だ表示違反が散見される.
    方法:神奈川県所属の食品衛生監視員(以下食監)295名とその施設42箇所を対象に調査を行った.調査項目は,違反件数,食監自身のアレルギー表示法の理解度,食品業者の理解度,求められる対応などとした.
    結果:39施設(92.9%)より回答があり,アレルギー表示法違反の経験は20.5%(8/39)の施設で認められた.食監は205名(回収率69.5%)より回答があった.アレルギー表示法関連の研修の機会があったものは56.9%,違反発見・処理経験があるものは36.8%であった.またアレルギー表示法の目的や食物アレルギーの理解度は概ね良いが,詳細に理解している割合は50%を割った.一方で食品業者の理解度の評価は,総じて低かった.今後求められる対応は,食品製造・販売業者への研修等強化が46.2%で最も多かった.
    考察:アレルギー表示法は未だ食品業者側の理解に問題が大きいばかりか,管理する側の食監においても十分でなかった.食品業者側への啓発はもちろん,管理側の対策を講じる必要性がある.
  • 平口 雪子, 高 祥恵, 海老島 優子, 大和 謙二, 末廣 豊
    2012 年 26 巻 5 号 p. 732-739
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル 認証あり
    目的:インフルエンザワクチンは微量の鶏卵蛋白を含有し,鶏卵アレルギーがあると接種要注意者とされる.明確な接種可否の判断基準がないため,施設間や接種医により判断にばらつきがあり患者にも混乱を与えている.そこで鶏卵アレルギーのある児へのインフルエンザワクチン接種の現状を知るためにアンケート調査を行った.
    方法:鶏卵アレルギーが現在あるまたは過去にあった児の保護者に対しアンケート調査を行い112名から回答を得た.
    結果:鶏卵アレルギーを理由にインフルエンザワクチンの接種を受けられなかったことがある児が52.7%いた.1歳未満の群では保護者の判断で接種を見合わせたケースが多くある一方,1歳以上の群では除去の程度や誘発症状の程度に関わらず接種医から「アレルギーが専門ではない」などの理由で接種を断られたという回答が最も多かった.
    結論:鶏卵アレルギーのある児が積極的に接種を受けられるためには,日本においてもエビデンスとなる安全性の検討と学会などからの接種判断基準の明示が必要であると考えられる.
  • 西田 光宏, 吉原 重美
    2012 年 26 巻 5 号 p. 740-746
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル 認証あり
    コントロール不良な8歳の喘息児が喘息治療と特別支援学校通学目的で入院した.入院直後に症状は軽快し,怠薬と環境因子がコントロール不良の原因と考えた.環境因子の気道炎症への影響を検討する目的で,外泊前後の金曜日と月曜日に測定した呼気中一酸化窒素濃度(eNO)とピークフロー値(PEF)を比較した.結果は,eNOは外泊後に有意に上昇し,次の外泊前に有意に低下した(外泊前22.2±5.7 ppb,外泊後31.9±6.5,次外泊前19.5±7.3, p<0.01).PEFは有意な変化を認めなかった(外泊前432±24.8 L/min,外泊後427.3±28.7,次外泊前437.7±24.6).吸入ステロイド薬を2日間半量に減量した模擬怠薬試験では,eNOは上昇しなかった.家庭訪問でダニ抗原とカビが繁殖しやすい環境を確認した.以上から,eNO上昇は環境因子による気道炎症の増悪と考えた.コントロール不良の喘息児を対象に,外泊前後のeNOの比較検討は,環境調整を必要とする症例の選別に有用と考えた.
  • 長岡 徹, 園部 まり子
    2012 年 26 巻 5 号 p. 747-755
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル 認証あり
    〔目的〕全国の小中高校に配布された「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」(監修:文部科学省,発行:(財)日本学校保健会)に基づくアレルギーの子どもへの支援の目的で,小児アレルギー専門医を学校に招いて講習会を行い,その有効性と問題点を調査した.
    〔方法〕平成21, 22年度にかけて,研修の実施を希望した神奈川県内の公立小・中学校の中から県教育委員会が選定したアドレナリン自己注射薬「エピペン®」(以下「エピペン®」と記す)を所持するなど重篤な食物アレルギー児が在籍する21校に,(社)日本アレルギー学会認定の指導医・専門医が出向き,教職員を対象に1時間半程度の講演と30分程度の質疑応答を行った.講習後,参加者に自記式アンケートで講習会の有効性,問題点を調査した.
    〔結果〕参加者アンケート結果では,設問ごとの集計で有効回答799人のうち,研修が「大いに役立つ」600人(75%),「どちらかと言えば役立つ」181人(23%),合わせて98%の参加者が「役に立つ」と回答した.課題とされる「エピペン®」の必要性について尋ねた設問(有効回答788人)では,やはり設問ごとの集計で小児アレルギー専門医による説明を通して,「理解できた」666人(85%),「どちらかと言えば理解できた」120人(15%)に上った.
    〔考案〕小児アレルギー専門医が学校に出向いて行う研修を数多く実施することは難しいが,研修の機会が多い養護教諭だけでなく,子どもたちと最も多くの時間を過ごす担任となる教諭に対しても十分に行われる必要があると思われた.教職員の具体的な疑問に答える専門医との質疑応答を重視したガイドブックの作成など,今後,さらに有効性を高める形の研修実施が望まれる.
ガイドライン解説
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012
  • 井上 壽茂
    2012 年 26 巻 5 号 p. 756-761
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル 認証あり
  • 吉原 重美
    2012 年 26 巻 5 号 p. 762-768
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル 認証あり
    本ガイドラインにおいて,2歳未満の小児喘息を乳児喘息と規定する.その理由として,この年齢では呼吸器系における解剖学的,生理学的特徴から気道狭窄を起こしやすいからである.また,小児喘息の60%が2歳までに発症している.そこで,小児喘息のよりよい予後を確立するために,発症早期からの適切な診断に基づく早期介入を含めた治療,長期管理が重要である.そのためには,乳児喘息をallergen-induced asthmaやvirus-induced asthmaのようなフェノタイプに区別した治療戦略を考慮する必要がある.長期管理により3か月以上コントロール状態「良好」を維持できれば治療のステップダウンを行う.しかしながら,乳児喘息は喘息発症後の期間が短いことと,早期診断が必ずしも容易ではなくover diagnosisの可能性もあることから,広義に喘息と診断された児ではステップダウンを早めに考慮する.さらに,長期管理をするためのツールとしてJPAC(Japanese Pediatric Asthma Control Program)や夜間睡眠日誌などの質問紙が有用である.
  • 末廣 豊
    2012 年 26 巻 5 号 p. 769-775
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル 認証あり
    社会・経済・心理的な側面からの特徴をよく理解した上で,思春期から青年期における気管支喘息に対応することが重要である.思春期にはアドヒアランスが低下し末梢気道閉塞が顕在化することが最大の問題点であり,予防対策として自己管理できるように支援する,難治化の要因をよく理解したうえで治療を再評価あるいは強化することが必要となる.
食物アレルギー診療ガイドライン2012
喘息死委員会報告
  • 荒川 浩一, 小田嶋 博, 末廣 豊, 赤坂 徹, 坂本 龍雄, 西間 三馨, 鳥居 新平, 三河 春樹, 松井 猛彦
    2012 年 26 巻 5 号 p. 781-789
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル 認証あり
    日本小児アレルギー学会・喘息死委員会宛に1989年から2011年10月までに気管支喘息があって死亡し登録された症例は新規登録3名を加えて236例で,対象外を除いた207例について解析した.男女比は127/80(1.6:1)であった.死亡場所は,年長になるほど学校内あるいは養護学校,下校時など学校が関与する症例が認められた.
    死亡前1年間の重症度は,不明・未記入を除くと軽症28%,中等症29%,重症43%であり,発作重症化に関わる要因として,入院歴が52%に認められたが,意識障害を来すほどの重症発作,挿管,isoproterenolによる治療の既往は少なかった.喘息死に関与した要因では,予期できない急激な悪化,適切な受診時期の遅れが最も多かった.適切な受診時期の遅れを来した要因として,患者・家族による判断の誤りが多く,短時間作動性β2刺激薬の加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)やモーターネブライザーへの過度依存,怠薬の順であった.薬物療法について,1997年以前と1998年以降の死亡例を比較すると,キサンチン製剤とβ2刺激薬の内服,自宅でのネブライザー吸入,pMDIは減少し,吸入ステロイドは増加傾向にあるものの38%に留まっていた.また,β2刺激薬貼付剤や長時間作用性β刺激薬の使用が新たに認められるようになった.今回,欠損家庭について調査したが,全体の15%にのぼり受診時期の遅れを来す要因となったと推察された.
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