イソフルレン吸入を施行した気管支喘息重積発作の15歳女児を経験した. 患者は通年型, 重症で前医にしばしば入院していた. 今回も発作のため同医を受診し, ステロイド剤静注, キサンチン製剤, β交感神経刺激剤の投与をされたが発作は憎悪し, 当院へ重積状態で紹介された. 意識レベルの低下, 高CO
2血症を認め, 気管内挿管し, 人工呼吸を開始した. しかし気道内圧は高く, 換気は困難であった. 前記製剤に加え, 気道拡張作用をもつ麻酔薬イソフルレンの吸入を開始し, HFJVおよびPSVを併用し, 後遺症なく救命することができた. 本邦での小児気管支喘息重積発作に対するイソフルレンの使用報告は散見されるが, PSVとの併用の報告は少なく, HFJVとの併用の報告は見あたらない. これらの併用は気道内圧を低下させるのに効果的であり, 有効な治療法と考えられる.
また, ロイコトリエンなどの化学伝達物質が気管支喘息患者で上昇しているという報告がある. 本症例の重積発作時の気管内洗浄液中のLTB
4, LTC
4は発作改善時に比し高値であった. これらの化学伝達物質が喘息重積発作の局所の病態へ関与している直接の証拠と考えられた.
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