大型ディスプレーの製造プロセスの簡略化, 回路基板などの電子機器の小型化, 高機能化に伴い, 配線や電極形成に使用される材料としてナノ粒子が注目されている. ナノ粒子になるとその焼結温度がその金属の融点に比べ大幅に下がるが, 粒子同士が融着した凝集体を形成していることが多い. このために, 微細配線, 微細ホールへの埋込などの電子機器に必要とされる用途への展開がおこなわれてこなかったのが実情である. 本稿で述べるナノ粒子は量産型ガス中蒸発法により製造されるもので, 粒子生成直後に表面が表面処理剤で被覆され, 凝集がなく, トルエン, テトラデカン, デカリンなどの有機溶剤中に独立分散していて, 粒径が10nm以下である. 又, アルカリ, イオウなどの不純物を含まず電子材料として適している. このガス中蒸発法は銀で月産数100kgレベルの量産対応が可能となっている, 製造された金, 銀, 銅, ITOなどの金属ナノ粒子インクの特性, 及び, 電子機器の配線や電極の膜形成への応用を念頭においたインクジェット印刷技術による導電膜形成について述べる.
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