カルボキシメチルセルロース (CMC) の銀塩膜を紫外光分解すると, 銀コロイドを含む高分子膜 (CMCAg
C) と表面が銀ミラーで覆われた高分子膜 (CMCAg
M) が生成した。これらの膜をLangmuir-Blodgett (LB) 法により色素単分子膜を採取するための基板として用いた。使用した色素は, dye I;N-ethyl-octadecylrhodamineBとdyeII;10-(1-pyrene)-decanoicacidである。単分子膜集合体 [CMCAg
M|spacer|dyeI] と [CMCAg
C|spacer|dyeI] は, λ
em=600nm付近に蛍光ピークを示した。一方,[CMCAg
M|spacer|dyeII] と [CMCAg
C|spacer|dyeII] は, 400nm付近の鋭い蛍光ピークにより特徴づけられた。これらの単分子膜集合体の蛍光強度は, 色素膜と銀薄膜の間に累積したアラキジン酸カルシウムスペーサーの厚さが小さい時, かなり減少した。この蛍光消光は, 励起色素 (エネルギードナー) から銀薄膜 (エネルギーアクセプター) へのエネルギー移動にもとつくものと思われる。色素の蛍光強度が, アクセプター層 (銀薄膜) を十分離した場合の1/2となる距離
d0を見積り, 評価した。
d0の値は21nm ([CMCAgM|spacer|dyeI]), 5nm ([CMCAg
C|spacerldyeI]), 9nm ([CMCAg
M|spacer|dyeII]), 8nm ([CMCAg
C|spacer|dyeII]) であった。
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