日本写真学会誌
Online ISSN : 1884-5932
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86 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • ―Interoperable Master Format と Matroska Video Format の有効性と課題―
    三浦 和己, 清野 晶宏, 長谷川 智弘, 浜田 直樹
    2023 年 86 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル オープンアクセス
    デジタル映画の長期保存における主要課題の一つである,長期保存用のファイルフォーマットの選択が本稿のメインテー マである.最初に選定上の観点と近年の動向について整理し,次に今後の長期保存用ファイルフォーマットの候補として 有力と考えられる Interoperable Master Format(IMF)と Matroska Video Format(MKV)の 2 つのフォーマットを取 り上げ,保存作業のためのワークフロー構築を念頭に調査・検証を実施した.その結果,IMF は利活用に用いるデータ を生成するための保存用フォーマットに親和性が高く,MKV はオリジナルデータの真正性を保持することを目的とした 保存用フォーマットとして有力であることがわかった.
  • 矢島 仁
    2023 年 86 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル オープンアクセス
    株式会社小西六(現,コニカミノルタ株式会社)が昭和 15 年(1940 年)11 月に発表した六櫻社式天然色印画法に関しては, 現物資料が乏しく詳細は不明であった.しかし,その開発者の江頭春樹が創立時からの理事であり教育にも関わった小西 寫眞専門學校,後の東京工芸大学短期大学部(現,東京工芸大学芸術学部)に「江頭先生標本二千点」と題して,その研 究資料の一部が未整理のまま保存されていた.これを解析した結果,この資料の大部分は昭和 10 年代初頭(1935 年〜)から昭和 18 年(1943 年)ごろまでの,トライパッ ク式『さくら三色用フヰルム』による三色分解ネガと『さくら發色轉現紙』によるカラープリント,およびその研究試作 品を含む実物資料であることが解った.
  • 水口 淳
    2023 年 86 巻 2 号 p. 151-
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル オープンアクセス
  • 丸川 雄三
    2023 年 86 巻 2 号 p. 152-156
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル オープンアクセス
    地域研究画像デジタルライブラリ(DiPLAS)の取り組みを例に,写真を対象とした画像情報のデータベース構築と公開 における具体的な手法や課題について考える
  • ―図書資料の保存・修理とは / 基本的な考え方と手法―
    眞野 節雄
    2023 年 86 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル オープンアクセス
    図書館には視聴覚資料などさまざまな媒体の資料があるが,今回は図書を中心とする紙資料について,その保存,特に修 理の課題と基本的な考え方・技術を解説する.あわせて,東日本大震災での津波被災資料を修復した経験から,図書館資 料を保存し,伝えていく意義についても解説する.
  • 芝原 嘉彦, 石塚 弘
    2023 年 86 巻 2 号 p. 163-171
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル オープンアクセス
    ISO/TC 42で写真の画像保存性に関する試験方法および推奨保存条件等の標準化を進めてきている.対象は一般消費者用, 商業用,美術館用に亘り,これまでに ISO 標準 約 50 件を発行し,なお約 10 件の新プロジェクトの議論を進めている. 関連する画像形成技術には,銀塩写真,インクジェット,電子写真,D2T2(昇華型)等の熱転写,他がある.さらにデ ジタルデータの記録媒体の保存性や保存推奨条件の ISO も発行してきた.本稿ではその ISO 文書記載内容,背景にある 議論と課題,今後の方向を概説する.
  • 日比谷 安希子
    2023 年 86 巻 2 号 p. 172-176
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
    2005 年に開館した横浜市民ギャラリーあざみ野は,横浜市が 1993,94 年に取得したアメリカのサーマン・F・ネイラー 氏旧蔵の約 12,000 件のカメラ・写真コレクションを「横浜市所蔵カメラ・写真コレクション」として収蔵管理している. 本稿の第一部ではその保存・活用事業について述べる.また第二部では,収蔵品管理のために 2018 年にアメリカで調査 を行なったダゲレオタイプの保存方法について,実例を挙げつつ報告する.
  • 長原 翔伍, 宮本 成悟, 森島 邦博, 中野 敏行, 小山 真人, 鈴木 雄介
    2023 年 86 巻 2 号 p. 177-188
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル オープンアクセス
    ミュオグラフィは,物質貫通能力の高い高エネルギー宇宙線ミュオンの減衰率を測定することでレントゲン撮影のよう に火山等の大型物体の密度分布を測定する手法である.火山のミュオグラフィ研究において重要な課題の一つは,観測方 向を増やすことで山体内部の詳細な 3 次元密度構造を明らかにすることである.多方向から同一の物体を観測すると,X 線 CT のように 3 次元的な密度構造を推定することが可能である.本記事では,多方向ミュオグラフィの実例として,静 岡県伊東市の大室山スコリア丘における観測,3 次元密度再構成解析,そして得られた三次元密度構造の火山学的な考察 を解説する. 著者らは Filtered BackProjection 法に基づいた 3 次元密度再構成手法をミュオグラフィに応用し,そのシミュレーショ ンによる実現可能性を評価する研究を行った.また,それに基づき実証観測を静岡県伊東市に位置する大室山スコリア丘 で実施した.多方向観測に適した原子核乾板検出器ユニットを新たに開発し,11 方向から観測を行った.その結果,大 室山内部の 3 次元密度構造が明らかにされ,マグマが主火道から山体内に岩脈として侵入した構造の検出に成功した.こ の火山内部の「火道分岐の可視化」は,これまでの研究手法では調査することが難しかったため,火山学・火山防災学に おいて非常に意義がある.また今後,同様の手法が火山以外の対象にも実施されることが期待される.
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