順天堂医学
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22 巻, 2 号
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目次
Contents
退職記念講演
症例報告
原著
  • I.新生ラット培養心筋細胞に関する形態学的研究 II.新生ラット培養心筋細胞の膜電位に関する電気生理学的研究
    家本 武
    1976 年22 巻2 号 p. 171-189
    発行日: 1976/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    培養心筋細胞に関する形態学的・電気生理学的検索を, 幼若ラットの心臓を用いて施行した. 心房・室筋をtrypsin処理し, 単一細胞に分離後, Eagle MEM液にて培養した. 自発的拍動を呈す単細胞および数層・直径数百ミクロンの細胞群の拍動数は, 37℃では大部分が規則的に20-160/分 (平均65/分) であり, 前者は後者に比し20-40%の拍動数の減少をみ, 最大拍動数は培養3日-7日であった. 培養細胞と培養前幼若ラット心臓の連続切片とを組織化学的に比較し, 刺激伝導系細胞は, 培養下ではLarge Polygonal Cell (5%) であり, 固有筋細胞はUsual Polygonal Cell (70%) で共に自動収縮するmyoblastであって, 結合組織系細胞はSpindle Cell (25%) で非拍動性fibroblastと考えられ, この構成比率はin vivoのそれとほぼ同一である. 電顕による微細構造は, 基本的には培養前と同一構造を呈すると思われた. 微小電極法による細胞群の細胞内電気現象は, 全ての膜電位に歩調取り (前) 電位を, またPlateau相は90%以上に認め, 活動電位は78.3±3.9 (48-102) mV, 静止電位57.1±3.1 (37-75) mV, 活動電位持続時間234 (150-320) msecであった. また各種カテコールアミン, 新しい強心薬のGlucagon, Dibutyryl cyclic AMP (DBcAMP) の膜電位に対する効果を特に前電位に焦点を合わせ検討した. これら薬物による拍動数増加は, 主として前電位の勾配上昇により発火頻度が増すためであり, その効果はIsoproterenol (10-7M) >Noradrenaline (10-7M) >Dopamine (10-5M) ≑Glucagon (10-5M>DBcAMP (10-4M) であった. さらに外液Ca++濃度の増加がGlucagon, DBcAMPの前電位勾配上昇作用を増強 (逆も真) させることは, これら薬物により収縮期のみならず拡張期にもCa++の関与が示唆された.
  • 長谷川 紅子
    1976 年22 巻2 号 p. 190-200
    発行日: 1976/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    1.4種類のbarbituratesについて正向反射および体温に及ぼす影響を経時的に検討し, 脳内5-HT量の増加との時間的関連を調べた. 2. 正向反射の消失と脳5-HT量の増加との間にはかなりの相関がみられた. また, 体温下降作用と脳5-HTの増加との間には経時的によく一致した関係が認められた. 3. 脳5-HTの増加は少し遅れて脳5-HIAAの増加を伴った. 4. reserpine投与後, 催眠量以下のPentobarbital sodiumによって正向反射が消失し, 同時にresrp-ine単独投与にくらべて, 脳5-HTおよび脳5-HIAA量の増加が認められた. 5. probenecid処置後, barbiturate投与により, probenecid単独投与の場合より, 脳5-HIAAの有意の増加が認められた. 6. monoamine oxidase活性はbarbiturateによってin vivoにおいても, in vitroにおいても阻害されなかった. 7. 以上の結果から, barbituratesによる薬理作用の発現には増量した脳5-HTのうち遊離のかたちのものがあずかっていること, 脳5-HTの増加は分解系の抑制ではなく合成系のactivationによること, ならびにbarbituratesにより脳5-HTのturnoverが促進されることが示唆される.
  • 会津 雅子
    1976 年22 巻2 号 p. 201-210
    発行日: 1976/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    モルモット盲腸紐のグリセリン筋を用いて, その諸性質を吟味した後, 本筋のATP収縮におけるCa2+, Sr2+およびBa2+の賦活作用の大きさを比較検討して次のような成績を得た. 1) 50mM KCl, 5mM MgCl2, 20mM histidine buffer溶液 (pH6.8) 中でのATP収縮にはMg2+のほかに試薬中に含まれる微量のCa2+が関与していた. 2) ATPの濃度と収縮との関係を検討した結果, 4mM ATPで最大張力を示した. 3) Ca2+による賦活張力の発生閾値はpCa=5.5に, 最大張力を示す濃度はpCa=3.8において認められた. 4) Sr2+による賦活張力の発生閾値はpSr=4附近にあり, またpSr=2.6附近において最大張力に近い張力を発生した. 5) Ba2+による賦活張力の発生閾値はpBa=3.5附近に, またpBa=2.6において最大張力の76.2%の張力発生を示した. 6) pCa=8, pCa=7およびpCa=6の溶液中において4mM ATPにより, 常に最大張力の約25%の張力発生がみられ, 濃度に依存せず一定の張力を示した. 7) 溶液中の自由Ca2+濃度は小川の見かけの安定度数を用いて算出し, Sr2+およびBa2+の場合にもCa2+の場合に準じて補正した見かけの安定度数により算出した. 8) 以上のように盲腸紐グリセリン筋はCa2+のほかにSr2+およびBa2+にも感受性を示し, その大きさは最大張力の50%の張力を発生する各イオン濃度を求め, その逆数によって比較すると, Ca2+: Sr2+: Ba2+=1: 1/28: 1/67となった.
  • --その開発と臨床経験--
    阿部 亮
    1976 年22 巻2 号 p. 211-226
    発行日: 1976/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    ICU, CCUのcomputer化は諸外国 (特に米国) において開発中である. 本邦ではICC, CCUで心電図以外の各種情報をon lineで収集し, 診断, 治療に役立て実用化に成功している例はない. 順天堂大学ICU, CCUにおいては1971年よりcomputer systemの開発を行ない, 1974年6月より実際の病床にon lineで接続, 試用を行なって来た. hard wareなどの工学的な面については既に発表したので, 本論文では主としてsoft wareおよび実用面について述べる. 臨床面からみた本systemの特徴は, (1) o nlineおよびoff lineで入力されたdataをもとにしてstatusの診断を行なう. (2) on limeで収集された情報をtrend-graphで表わし, 過去の変化傾向を展望し, 乗るべき状態の予測に役立たせる. (3) 可能なものはmonitoringで同時監視を行ない, 必要に応じてalarmを発生させる. の三点に要約される. 主として心疾患術後の患者約50例についてon line監視を行なった. statusの診断は診断論理その他に検討の余地を残しているが, trend-graphは既に実用の段階に達しており, 特に心拍出量をWarnerの手法を応用してon lineで測定し, 全身末梢血管抵抗などとの経時的変化の関連をtrend-graphで表わし良い結果を得ている. また心疾患術後の回復過程を知る指標として肺シャント率の算出をも行なっている. その他動脈圧, 尿量などのtrend-graph表示も実用の域に達している. 信頼性については多少の問題点を残しているが, 本邦では最初の試みであり, 現在の段階で既に一応実用に耐えうると考えられる.
てがみ
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