順天堂医学
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24 巻, 1 号
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目次
Contents
特集 臨床各科の中の精神医学
原著
  • 藤井 佑二
    1978 年24 巻1 号 p. 32-48
    発行日: 1978/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    胃癌の細胞診は, その細胞採取法の変遷と共に進歩してきたが, 細胞採取法が確立した現在, 診断学の不遍化が要求されてきた. しかしながら, 現在のところ細胞診は診断基準としての悪性指標があるにもかかわらず, 検者の主観に基づいて判定されている状態である. 診断に客観性を求めるためには, 判定基準を客観的に評価することが必要であり, そこに細胞診の計量化の要求が生じた. 一方, 細胞診の普及に伴う検体の増加に従って, 細胞診の自動化が重要な問題として取り上げられ, ここにも細胞診の計量化の必要性が生じた. そこで胃癌細胞診の計量化に関する基礎的研究を目的として次の研究を行なった. 顕微分光光度計を用いてスキャンニング法を応用し, 核径, クロマチン量, クロマチンパターンの三つをパラメーターとして, 明らかに良性細胞であるClassIの細胞160個と, 明らかに悪性細胞であるClassVの細胞160個計320個につき計測し, それぞれのパラメーターが細胞診の計量化のパラメーターとして適正であるか, どうかにつき検討した. その結果三つのパラメーターによる成績はそれぞれ非常に高い診断率を表わし, それぞれが優秀なパラメーターであることを示した. 一つのパラメーターで誤診した例でも, 二つのパラメーターで重複して誤診した例は少なく, 320個中1個のみが重複誤診した. しかし, 三つのパラメーターが全部で重複誤診した例は認められなかった. そのことから三つのパラメーターはそれぞれ独自の意味を持ち, 核径, クロマチン量, クロマチンパターンともに必要不可欠のものであることを証明した.
  • -血行動態を中心にして-
    高橋 文行
    1978 年24 巻1 号 p. 49-64
    発行日: 1978/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    心膜炎の臨床像は多種多様であり, 典型的なものを除くとその診断は必ずしも容易ではない. これは種々の生体の代償と適応が行なわれる結果, 軽微な徴候にとどまる例も多いためであろう. そこでこの様な臨床症状の発現の機序を血行動態面から解析することを試みた. すなわち, 実験的に心膜腔内に液体を注入し, 心タンポナーデを作製し, それに伴なう各種パラメーターの変動を観察した. また, 心膜の圧・容積関係を検討したところ, 液体注入時と排液時とでは心膜腔内圧に明らかな“hysteresis”現象が認められ, 心タンポナーデ時の血行動態の変化をよく説明した. さらにこの機序として, 心房, 心室に於けるnegative transmural pressureが重要な役割を果していることが伺がわれた. 一方, 心タンポナーデ時に於ける心収縮力低下の有無を期外収縮後の第1拍目にみられるpostextrasystolic potentiationの態度から推定することを試みたが, その結果心不全時にみられる著明なpotentiationが認められなかったため, 心収縮力の低下は無いものと考えられた.
  • 片岡 二郎
    1978 年24 巻1 号 p. 65-74
    発行日: 1978/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    ヒトの胎生期, および生下時のhemoglobinの主要構成を占めるfetal hemoglobin (Hb F) の産生調節機構は未だ明らかではない. しかしながらadult hemoglobin (Hb A) に関してはerythropoietin (ESF) がその合成を促進することが知られている. 今回, Hb Fの産生調節機構を検索する目的で, 満期生下時胎児から採取した臍帯血内有核細胞にESFを添加して培養を行ない, 培養液中に59FeCl3を加えてheme合成の指標とし, 同様に3H-leucineを加えてhemoglobin合成の指標とし, 臍帯血内有核細胞のheme合成, およびhemoglobin合成に対するESFの影響を検討した. その結果, (1) 72時間までの培養では, ESFの添加によりheme合成は経時的に促進すること, (2) 添加したESFの量とheme合成の程度との間には正の相関が認められたこと, (3) しかし, これらのheme合成の程度は臍帯血により個体差があること, (4) ESFの添加により, Hb F・Hb Aともに合成の促進が認められること, などの結果を得た. これらの結果は, ESFがHbF合成の産生調節に関与しているであろうこと, かつ, 臍帯血中にESFに反応する赤血球系幹細胞が存在している可能性を示唆している. また本実験に際して, Hb FとHb Aの分離に関してはZade-Oppenの方法で検討したが, 微量のHb Aの定量については問題がありさらに検討の余地が残された. 一方, Singer法によるHb Fの測定を行なったが, 採血から測定時までの経過時間が測定値に変動を与えることを再確認した.
症例報告
てがみ
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編集後記
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