順天堂医学
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21 巻, 2 号
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目次
Contents
特集:黄疸
原著
  • 基礎的検討
    田村 重良, 栗原 稔, 秡川 正嗣, 村上 允邦
    1975 年21 巻2 号 p. 151-162
    発行日: 1975/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    消化管造影剤, 硫酸バリウムは長年にわたる研究の結果, 微細病変の描出にも有用であることが知られている. しかし, 強酸中では凝固しやすく, また胃液の多い場合, 粘膜面への付着が悪いなどまだ改良の余地がある. 近年理化学研究所杉本らにより強磁性体であるフェライトが磁気により制御可能な造影剤として開発され, 病変部を特異的に描出する可能性が示唆された. われわれはフェライトの消化管造影剤としての有用性を検討するために各種の実験を試みた. まず造影能について市販の硫酸バリウム製剤3種と比較した結果, フェライトは, 1) X線透過性が高く, 2) 沈降性が亢進し, 3) 濃淡均一性は劣る, など欠点があるが, 4) 付着性にすぐれ, 5) 強酸中での凝固性が低いなどの利点があることがわかった. フェライトが, 硫酸バリウムに比べてX線透過性が高く, 強酸中で凝固しにくいという性質から, 胃前壁病変の描出能に適していると考えられる. このためさまざまのサイズの隆起および陥凹のアクリル樹脂模型を用いて識別能の検討を行なった. 造影剤の層の厚さを5, 10, 20mmにかえて, 造影剤の濃度を25, 50, 75,100w/v%とした場合, いずれの場合もフェライト製剤は硫酸バリウム製剤に比べ識別能が優れていることがわかった. この結果, フェライト製剤は, 主として胃前壁病変の描出に応用できることが明らかになった.
  • 秡川 正嗣, 栗原 稔, 白壁 彦夫, 田村 重良, 村上 允邦
    1975 年21 巻2 号 p. 163-172
    発行日: 1975/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    フェライトの消化管造影剤としての基礎的検討 (第一報参照) にもとずいて, 動物の胃について, 造影診断の可能性を検討した. まずラットの胃に人工の胃潰瘍をつくり, フェライトでX線撮影をした. その結果, 添加剤数種を加え, フェライト濃度を100w/v%にした場合硫酸バリウムとほぼ同様に描出された. 次に同一じフェライトを用いて, 正常犬の胃後壁二重造影像を撮影したところ, 胃壁面に均等に付着し, 粘膜ひだの走行もよくわかる写真が得られた. さらに, 犬の実験胃癌のX線診断も試みた. この結果, フェライトは胃粘膜の微細な悪性所見にいたるまで十分描出し得た. フェライトの性質から, 胃前壁薄層法に適していると考えられるので, 犬胃の前壁に人工的に胃潰瘍をつくり, フェライトと硫酸バリウム製剤でその描出能について対比検討した. その結果, フェライトを用いると, 硫酸バリウム製剤に比して, 容易に胃全体の均一な前壁薄層像が得られた. しかも潰瘍のニッシェと粘膜の集中をみごとに描出した. さらに胃内のフェライトを磁気で移動させて, 犬胃潰瘍を描出しようと試みたが, 磁気の方向, 強さが自由に制御できないと上手に描出し得ないことがわかった.
  • 若林 芳久
    1975 年21 巻2 号 p. 173-181
    発行日: 1975/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    ヒトのリンパ球にphytohemagglutinin (PHA) に代表される各種のmitogenを加えて培養するとリンパ球はいわゆる芽球様化現象を起こすというリンパ球の多様性が明らかにされて以来, この現象は広く血液学あるいは免疫学の分野に導入されるようになった. この芽球様化現象の観察には, 従来, 主として形態学的観察が行なわれていたが, この方法では報告者間で芽球様化細胞に対する見解が分れ, 客観性を欠き, かつ簡便性, 定量性に欠けるなど, 欠点が多かった. リンパ球の芽球様化にともなう核酸合成, とりわけ, RNA合成を観察することは以上のような欠点を補えるものとして, 近年広く利用されるようになった. さて, 近年臨床血液学, 臨床免疫学の分野で, いわゆる免疫抑制療法が盛んに導入されて来ていることは広く知られているところである. かかる治療法に際して, そのtargetは免疫担当細胞であるが, ステロイドホルモンに代表される免疫抑制剤がリンパ球のcell kineticsに対し, どのように作用するかを検討することは, 本治療を行なう上に有意義と考えられた. 本実験においてはPHAで刺激されたヒトのリンパ球の芽球様化現象に対するステロイドホルモンの影響について検討した. 実験方法は正常ヒト末梢血リンパ球1.0×106個に対し, PHA-P100μgを添加し, RNA合成の指標として3H-Uridine 1μCiを加え, CO2 incubator中で24時間の静置培養を行いdisc法により細胞中の核酸を抽出しliquid scintillation counterで測定し核酸中に含まれた3Hの放射活性をもってRNA合成の指標とした. ステロイドホルモンはhydrocortison, Predonin, paramethasoneを用い, それぞれ, 各種の濃度で添加し, RNA合成に対する影響を観察した. 実験結果は, まずPHA刺激によるリンパ球のRNA合成は培養2時間目ですでに強く促進され, 24時間後に最も強く促進されることが明らかであった. そこで, 24時間培養におけるRNA合成の促進の度合いをPHA無添加のコントロール群のRNA合成を100%とする% increaseで検討するとPHA添加群では, 380±70%と強く促進された. つぎに, PHA刺激24時間培養ののちhydrocortisone, predonin, paramethasoneをそれぞれ添加して2時間のincubationにより, RNA合成に対する影響を% inhibitionで観察すると, いずれも極めて強いRNA合成抑制作用を示し, かつ加えたステロイドホルモンの量との間には明らかなdose dependencyがみられた. しかしながら, PHA非添加群に対しては, ステロイドホルモンのRNA合成抑制作用は, ほとんど認められなかった. これらの作用は, ステロイドホルモンがリンパ球の芽球様化にともなう細胞のRNA合成経路に介入して, そのmessenger RNAのtranscriptionのレベルで, あるいは, RNA-polymerase活性のレベルで阻害的に作用しているものと考えられた.
  • --本教室における治療成績--
    山下 秀光, 山崎 博通, 冠木 敬一郎, 添田 昇, 角原 孝, 野口 善範, 大原 憲一, 中山 秀英, 金口 忠彦, 高橋 俊宏, 吉 ...
    1975 年21 巻2 号 p. 182-193
    発行日: 1975/06/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    ネフローゼ症候群を呈した104例のうち, 86例の腎原発性ネフローゼ症候群をBurchの分類に従い, 組織学的変化とステロイド治療効果との関係を検討した. 1) 微小変化群の発生頻度は48% (86例中41例) であり, 発症年令は平均24.1才であった. 2) ステロイド治療に反応する症例は, 蛋白尿, 低蛋白血症, 高コレステロール血症の順に改善あるいは正常化した. とくに微小変化群では改善あるいは正常化が他の群に比し短期間であった. 3) 治療効果において, 微小変化群では近接効果で76%が完全寛解し, 遠隔成績で84%が完全寛解を示した. 4) ステロイド抵抗性あるいは再発する症例では, ステロイドと免疫抑制剤との併用で効果がみられた.
抄録
てがみ
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編集後記
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