本日ここに退職記念講演の機会を与えられましたことは私にとり非常な光栄であり, 順天堂医学会および関係者に厚くお礼申し上げます.
演題の超音波医学は, 私が昭和25年順天堂医科大学外科に研究生として入局以来, 外科学の勉学と同時に超音波の医学的応用の研究に着手して以来, 本年で超音波医学研究満40年になる訳であります. この間, 超音波医学は国内は勿論世界的にも医学領域に新分野を確立するにいたったのであります.
ここで特に申し上げたいことは, この超音波医学の研究特に現在世界的にも臨床医学に大きな貢献をなしている超音波診断法は, 世界的に見ても順天堂で始められ順天堂で育てられてきたと言っても過言ではないという歴史的事実であります. また本学の研究施設である超音波医学研究センターは, 基礎および臨床研究部を備えたもので, その後の世界における超音波医学研究所の文字通りの創始となったものであります.
しかもこれらの全く先例のない新しい学問領域の開拓が, 大学当局のご配慮の下で多くの順天堂大学の同窓生の皆様の力により, 講座の枠を越えた団結と協力により成就されたものでありまして, この機会にこれら大学当局と順天堂大学の同窓生の皆様にお礼を申し上げると同時に, 心からなる敬意を表する次第であります.
またこの超音波医学研究40年の長きに汎り, 超音波医学研究を通じ, 親身なご指導を賜りました故有山登先生・福田保先生・田中憲二先生・山川邦夫先生・柿原辰雄先生等の恩師の先生方, また若くして亡くなられた研究仲間の先生方に心からなる感謝と共に, この記念講演を捧げるものであります.
抄録全体を表示